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名称

僕が振り向くと、ダークエルフが血だらけで倒れていた…訳ではなく、ただ気絶しているだけのようだった。


「良かった……。」


僕の言葉を聞いて、目の前の小さな子供は首を傾げる。


「どういう意味かな?」


「えっと、お前がこの化け物…怪物……?」


前々から気になっていたのだが、化け物と一括りにされてはぐらかされていたこいつらは何と呼べばいいのだろう?少なくともエルフは化け物じゃないし、よく考えたら僕とジーナが最初に出会った吸血鬼も化け物という種類には分けられない気がする。


「そうだね、急に手伝わせちゃったし、あっちの事はジーナ達に任せて色々と説明の時間を取ろうか。」


僕が真面目な顔で頷くと、イロハはダークエルフの身体に手を置いて、何やら聞きなれない言葉を唱え始めた。


「転送速度照査。ファイブスリー、エイトX、デンジャラスゼロ…完了。」


「なあイロハ、いま何やったんだ…?その体から出る言葉じゃなかった気がするんだが」


「それも含めてこのお店で話すよ、流星お兄ちゃん」


名前を逆にするな、と心の中でツッコミを入れて僕達はお好み焼き屋へ入った。


ちなみに僕はお金を持ってきていないので代金はこの子供が払います…なんかすいません。



「良し、出来るだけ質問に答えるよ、〇のお兄ちゃん。」


「待てそれアウトだ、本当に。境遇がちょっと似てるだけだから。」


僕はイロハの著作権ガン無視の発言に冷や汗をかきながら咳払いをして、いきなり本腰を入れるのも何だし些細な事を質問した。


「そうだな、お前らが化け物って呼んでる奴らの正式名称を教えて欲しい。ダークエルフや吸血鬼は化け物とは言わないはずだろ?」


「ぼくは化け物って呼んだ覚えないから、多分ジーナが橋高兄ちゃんに分かりやすく言ってたんだと思うよ。名称正式はこれと言ってないかな。員全まとめて、ではなく族種の前名で呼んでいる。」


イロハは単語を反対にするのがマイブームなのか?いやそうじゃなくて、…待て、話が入ってこない。…ハシタカニイチャン?


「えーと、つまり?種族だからダークエルフとか吸血鬼って呼んでるって事でいいか?」


「良く分かったね。あ、取り敢えずドリンクだけ頼もうか、焼くの面倒だし」


「冷やかしに来たみたいで悪いけど、しょうがないか。僕も焼き方知らないしな…まあ安定のコーラで。お前は?」


問いかけると、イロハは珍しく戸惑っている様子でこちらを見つめてきた。あれ、この子誰?迷子?うちのイロハはこんな顔しないんだけど


「えと、あの、飲み物がよくわからない。どれを頼めばいい?」


「ああ、そっか。オレンジジュースとかが丸いけど、コーラかメロンソーダにチャレンジしてみるか?シュワシュワするぞ」


「シュワシュワ…メロンソーダ?」と頭にクエスチョンマークが浮かんでいそうな顔をして、子供らしくないイロハが子供っぽく顎に手を当てて真剣に考えていた。


「良し、じゃあメロンソーダで」


このタイプの店には珍しいが、タッチパネル式の注文だった為、僕はコーラとメロンソーダを選んで注文した。


「イロハ、次の質問いい?」


「うん、何でも質問していいよ」


僕が知りたい事ベスト3には入る質問だった。何故、何故なのだ。何故お前達は、



「何でお前らは吸血鬼やらダークエルフやらを倒してるんだ?あいつらが何か悪いことをしたのか?それとも」


「それとも?」


飲み物を選んでいた無邪気な子供は、いつも通りの不敵な笑みに変わっていた。


「お前ら人間が、一方的に他種族を粛清してるわけじゃないだろうな?」


僕は信頼を込めて、そう問いかけた。























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