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僕と12の王ーー13番目の召喚獣ーー  作者: ラフフ
プロローグ〜異邦の騎士と月の姫〜
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カズマ1

どうぞよろしくお願いします。色んな意味でスローペースですが温かく見守ってくださると幸いです。

 唐突に降ってきた落雷が原因だった。

 空は快晴、太陽を遮るものはなにもなく、絵の具のような青が途切れることなく地平線の彼方まで続いている。

 なのに、だ。


 今朝の天気予報でも「今日は日本全国お洗濯日和♪みなさん張り切ってお出かけしましょう」と、可愛らしいお姉さんがシャキシャキした笑顔で伝えていたのを倒れる間際に思い出す。


 嘘つき。


 そんなことを言われたものだから、たぶん油断があったのだろう。

 まさかそんな天気で唐突に雷が降ってくるなんて思いもしない。

 油断さえしていなければ避けれたものを・・・

 いや、無理だ。

 どちらにしろ俺は死ぬ運命だったのだ。


 東和馬。享年16歳。高校2年。

 共働きで忙しい両親を持ち、家事はお手の物。

 好きなことは料理と部屋の掃除。趣味はない。

 部活動にいそしむでもなく、ただ漫然とした日々を送り、平凡な大学に進学。

 その後は中小企業の営業職としてほどほどに活躍するが、きっと結婚もできず、やがて老衰で死んでいくだけのつまらない人生だろうと思われたが、本日というお日柄もよい日に落雷を受けて死ぬという派手な死に方で人生の幕を閉じる。


 眩いまでの死に方だ。が、めでたくはない。


 あれ、ほんとに誇るものがないな。熱中できるものを何も見つけられないって悲しいことだなあ。

 焼け焦げた体からプスプスと空気が抜ける情けない音がでる。


 さよなら、人生。さよなら、みんな。


 ここで具体的な名前がでてこないのが、人としてダメなところだと思う。

 そこまで深い絆のある人を作れなかった、そういうことだろう。


 薄れゆく意識のなかで東和馬はみずからの短い一生を卑下した。

 こんな短い人生でも、もっと俺にできることがあったんじゃないか?

 世界を救うなんて大げさじゃなことじゃなくても、唐突に死んでも、友だちとの走馬燈が思い出されるくらいには生きている意味があってもよかったはずだ。


 死に際に浮かべる顔がひとつくらい。


 そんな友人は結局、ひとりもいなかった。


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