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コロニア探索

中層に降り立つ。

いつも思うけど、それほど暗くない。


上層の隙間から射す日差しと、上層の底にある小さな擬似太陽が中層を万遍なく照らす。

明け方に近い、そんな明るさだ。


地球の大地 、今は下層と呼ばれているけど・・・その上に、2段の層がある。

それが中層と、上層だが、構造上に違いはない。

見た目上はまるで三層の大地が初めからあったように思えてしまうが、2000年近く前から作られ始めた立派な建造物だ。

既に失われたテクノロジーだが、数千年はもつと言われている。

今の人類にはこれらを作る技術はない。

今あるもののメンテナンスだけだ。


昔はここにも沢山の人が住んでたと聞くが、そんな面影はほとんどなく、一部しか残っていない。

森が茂っており、それが、中層全体を暗いイメージに仕立て上げている。


「よし、行こう」

「待ちなさいよ。解散前の説明があるでしょ」

「そうでした」

「・・・もう少し落ち着いたら?ソワソワしすぎ」

ソワソワの内、8割はリサのせいだ。

はやく見つけて終わらせて、共振するか申し込みたい。


今から行われるのは最終確認だ。

今回の探索の方向、限界距離。

緊急ルートと連絡方法。


コロニアは一度吸収されると、その輝きを失い、崩壊する。

大体数ヶ月後に別の場所に出来るが、予測は難しい。

僕は意外と鼻が利く。

今日は南方面に行こう。うん。


ひと通り説明が終わり、解散の指示が出た。

リサがやってくる。


「さ、どの辺に行く?」

「今日は南に行こうと思う。少し深めに」

「わかった。ちゃんと守ってね?」

「・・・本当に必要?」

「あら、そういう問題じゃないわ。気持ちよ、気持ち」

「わかったよ。ちゃんと守る。必要ないと思うけど」

「はいはい、ありがと」

実際、立ち振る舞いや、身のこなし方を見ると僕より上手くやれると思ってる。ラトコ属は他属と比べて接近戦に長けている。

僕はルサ属の癖に手先も性格も不器用だ。

必ずしも属性の特徴が出るわけじゃない、といつも言い聞かせ・・・納得している。


足を一歩踏み出してみると、ジャリっと硬いものを踏んだ。


「おっと」

「あら、崩壊して結構経ってるかしら」

吸収されたコロニアには価値はない。

くすんだ色、ひび割れていて、空っぽである印象しかのこらない。


吸収する前はあんなに輝くのに、と自然に思う。そして何故出現するのか、と。

アニモが出現する理由の一説にはこの構造物のせいでもある、と言われていた。

人々が死んで、その生体エネルギーが溜まっている場所だと。

それだと、この構造物がないと僕たちは生きていけなくなる事になる。

それは違うような気がするけど。


人類がアニモがないとその人格を保てない事がわかってまだ歴史が経っているわけじゃない。

まだまだ、わかってない事だらけだ。


南に向かい、道に逸れて進んでいく。

人に踏まれた後が消えていく。

草木の密度が上がり、徐々に、人があまり入っていない場所になっていった。

ここからが腕の見せ所だ。


「こっち側だ」

「なんで言い切れるの?」

「ここ数ヶ月のみんなのレポート。南南東方面は全体の5%も向かっていないし、短い距離で終わってる」

「・・・よく調べたわね。結構な量よ?あれ」

「読むのは好きなんだ。書くのは苦手。てか今は死活問題だしさ」

「それもそうね。なんとかしないと」

ミサは歩きながら口を尖らせる。


デュオを組んでくれるか聞きたい。

共振するか、確かめたい。

でも、その前に、相手がいるか聞かないと。

じゃないと、アメリの時みたいに惨めな思いはしたくない。

でも、今聞こう、うん。


「リサは、デュオのあい・・・」

「黙って・・・何かいない?」

僕も意識を集中する。

確かに、いる。


僕は指先で気配のする方向を指差すと、ミサも同意した。

僕は近くにあった石を拾った。

同時にミサは、何が出てきてもいいように、構える。

・・・結構息合ってんじゃん。

素直に嬉しくなった。


目配せをして、投げた。

「痛ってぇぇえ」

声が聞こえるとは思ってなかった。だけどこの声には聞き覚えが。

「誰?リョウ?」

「わかってるんだったら聞くなよ!!あー痛え」

肩を押さえながら出てきた。

「だから言ったでしょう。結構真面目にやってるから邪魔だって」

ナナミも申し訳なさそうに出てくる。


「何してんの!」

思わず声が出てしまった。

「いや、ちょっと心配だったんでな」

「ホント、勘弁してよ。もうちょっとでケガさせるところだったよ」

「いや、十分怪我したぞ」

こいつらは自分のコロニアも探さずに何やってんだか。

呆れた顔をリサに向けると・・・まだ警戒していた。


「この人達じゃない。他にいる」

雰囲気で冗談を言っていない。

僕も含めて、みんな身構える。

一応、全員訓練を受けている。こう言う時はふざけすぎない。


インセクトがいる。

外骨格を持つ生物。

虫、と言えば一言で終わるが、その大きさは小型動物から、十数メートルの大きさまでと言われている。

レベルで管理され、U(不明)、S、A、B、C、D、Eに分類される。


種類、形状も千差万別で、種として成立している生物ではないともされている。

ただ、インセクトにも共通する事がある。

コアがあり、その色は(パープラ)だ。


このあたりはいわゆる安全地帯と言われており、普通、コロニア探索はほぼ事故なく終わらせることができる。

それゆえか、あまり良質なコロニアは手にはならない。

しかし、絶対ではなく、このような事故も決して珍しくない。

ただ、安全地帯とあってEランクしかいない。


Eランクのインセクトは、単純、ないしは小型であるもので分類されている。


木々の向こうから音が近づいてきている。

一拍、音が止まったと思ったら突然、液体が飛んできた。


「うわっ」

リョウが膝をつく。

顔を押さえている。

「大丈夫か?!」

「だ、大丈夫だ!構うな!!」

強い酸や毒の類ではなさそうだ。

粘りのある液体が顔にかかり、取り除くのに手間取っている。


「気を付けて!」

リサが叫ぶ。


飛んできた方向を見ると・・・やはりインセクトだ。

ただ、その大きさに驚く。

「う、嘘だろ?」

「なんでDがいるの?!」

ナナミが、叫ぶ。


この辺に出て来るインセクトは、せいぜいが腰位までの大きさだ。

しかし目の前にいるのは、自分と同じ高さに目があった。

黒光りする脇に幾多もの脚がついている。

大きな脚が4本あり、大型犬のように身体全体を支えている。

複眼らしき目が4つ程あり、それぞれが怪しく光り、その4つの目の真ん中にコアがあった。

こちらの動きは捉えられているようだ。


インセクトはこちらを警戒し低めに構え、ゆっくり頭を揺らしながら近づいて来た。


お読みいただきありがとうございます。

なかなか難しいですね。


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