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TOGETHER  作者: SINO
~第二部 切り札~  一章 八人目は居候
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ナンバリング・12

 夕子が持つ超能力は、普段はまったく使わない。

 というより、自分の意思では使えない。コントロールできるように訓練していたのは、志乃に会う前までで、彼と一緒に留守番をするようになったここひと月は、何もできずにいたから、多分、元に戻ってしまっているだろう。

 そのため、最初から勘、という形で発揮されているちからは、今も変わらない。

 出掛けているメンバーがいつ帰ってくるか、それに合わせて食事の用意をする……それが、彼女らしい勘、といえた。

 味噌汁を温め直し、炊き込みご飯をよそってテーブルに並べ終えたときに、健と志乃が戻ってきた。

「おかえり。アキラが来ているよ」

 そう言ったのは高志だ。

 隆宏は、その名を出すのも嫌なようで、黙ったままだった。

 志乃が、かなり空腹だったのか、香りに誘われるようにそそくさと席に座る。

 健は、護がここにいる理由と、今頃まで玲が残っていることに首を傾げたものの、それなら、と夕子に言った。

「先に食べていてくれるかな。ミノルの様子を見てくるから」

「はい。あの、彼とアキラさんの食事はどうしましょうか?」

「アキラさんはオレと一緒でいいよ。ミノルは……そうだなぁ……」

「お粥を作りましょうか?」

と、隆宏を気にしながら尋ねる。

 当の隆宏は、やはり嫌いな言葉を聞いたというふうに顔をしかめた。

 健が笑って、彼を覗き込む。

「オートミール……と言ったっけ? それも病人食じゃなかった?」

「意地悪だなぁ。そんなもの、買ってこなければないだろう?」

「駅前のスーパーはまだ、開いていたよ?」

 つまり、誰かが買いにいけば済むことらしい。

 確かに、お粥を作るより、オートミールのほうが栄養価は高い。クセはあるものの、アレンジも可能だから、今の実には、こちらのほうがいいのかもしれない。

 仕方ない、と、隆宏が立ち上がった。

「わかったよ。行ってくる」

 渋るような態度だったが、何も、買い物が面倒だったわけではない。

 ただ、隆宏にとって、見るのも嫌な食材のひとつなのだ。

 メンバーの誰かのためでなければ、腰を上げなかっただろう。

 玄関へ続くドアを開けたとき、椅子を引く大きな音が聞こえた。

「俺も行く!」

 何を思ったか、目の前の料理にてをつけようとしていた志乃が、さっさとついていってしまった。

 どうやら、食事はお預けらしい。

 せっかく温めたのだが、仕方がない。

 夕子は、苦笑しながらお椀を下げ始めた。

「悪いね、ユウコ」

 そう言いながらも、健が階段に足をかける。

 そのあとをついてきたのは高志だ。

「ケン、あの荷物、どこに運んでいいのかわからなくて置いてあるんだけれど」

 一緒に上がりながら言う高志に健は、

「あとで持っていくからいいよ」

と、言った。

「それで?」

「……それだけだけれど……。なあ、ミノルは会えないほど悪いわけ?」

「どうなんだろう? アキラさんからは聞かなかった?」

「彼が部屋に入るなと言ったんだよ。症状を聞く前に……タカヒロが怒ってしまったから……」

 上がりきった健が、手すりに手をかけたまま、振り返った。

「怒った? 彼が?」

 何があった?

 目で問いかけた健に、高志が逆に俯く。

「オレにはわからないよ。試した、とか言っていたんだけれど。……アキラが何を試したのかも、タカヒロが怒った理由も、オレにはさっぱり。それより、ミノルは?」

「部屋に入らないように言っておいたのはオレなんだよ。マモルだけを傍につけるとね。それなら納得できるだろう?」

 恐らく、主治医である玲から入室を禁じられたから不安だったのだろう。

 それが証拠に、護のためとわかる健の配慮に、高志は明るい表情を向けた。

「それなら納得できるよ」

「わかったら、下で待っていてくれる?」

「それからさ、先に食べていてもいいかな? 体が鈍っているんだ。図書館近くにスポーツジムを見つけたから行ってきてもいい?」

「構わないよ」

 今回の場合、健の仕事を高志に回したとしても、運動不足は解消できないだろう。

 よく、三日も我慢したと感心する。

 あと何日続くかはわからないが、高志はいつも、自分なりの楽しみ方を見つけるから、反対をする理由がない。

 それに、彼が言い出したということは、すでに予約を取っているはずだ。

 健の快い返事に、高志は時間が惜しいのか、階段を駆け降りていった。

 残った健は、目の前のドアをノックして、部屋に入った。


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