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第30話

久々の投稿となりました。

だいぶ期間が空きましたが不定期更新は変わりません。

申し訳ないm(_ _)m

 さーて、やる気上げて闘技場に入ったはいいけど流石にこれはな〜……


「引っ込めぇーー!」

「出て来んなぁーー!」

「くたばれぇーー!」

「お前のせいだぁーふざけんなぁ!!」


 耳を塞いでも聞こえるこの大歓声ブーイング)、鬱陶しいことこの上ない。それに相手も相手だからなぁ……


「はっはっは! 相変わらずの人気だねぇ。羨ましい限りだよ、……ぷっあはははは!」


 いやぁ、人はここまでうざくなれるなんて大発見だわ。さらに凄いのはこいつ、初対面だぜ? こんなに笑うか?ふつーはよ。


「では第二回戦、ヤーハル対トウガ・カミタニの試合を始めます!」


 で、さらっと始めようとする審判ね。もうなんでもいいわ。


「それでは試合………開始ぃ!!」


『ファイアボールッ!』


 真っ直ぐ飛んで来る火球を避ける。成る程、戦い方は普通の魔術師か。でも勝ち残ったって事は何かしらつよいんだろ〜な〜。小手調べだな。

 刀を抜き、一気に相手と間合いも詰める。


「はぁああああっ!」


 そのまま右上段から斬りつけた……はずだった。


ガギンッ!


 刀が何もない空中で止められ、鈍い音が響く。すぐに刀を構え直し再び斬りつける。だが全て一定の間隔で空中で止められた。


『ファイアレインッ!』

「ッ!」


 相手の放った魔法を横に避けようとするが、範囲魔法だったために避けきれず、右脚を負傷した。


『ヒール』


 手を傷に当て、ヒールを唱え回復する。

 ああ〜、痛いもんは痛いな。刺された時程では無かったけどな。それにしても、あれはどうなってんだ?


「わーはっはっは! どうだ、手も足も出ないだろ

う! 私の自動防壁オートプロテクション)の前では無駄だぁ!」


 ご丁寧に説明ありがとう。防壁ねぇ、いいな〜やっぱああいうのも憧れるよな〜。さて、どうやって突破するか。一応さっき刀には魔力流してたんだけどね。


「こっちからいくぞ!『ファイアレイン』」


 あの攻撃は厄介だな。上空からの範囲攻撃とは、基礎魔法にしては強いよな。……あの防壁は魔法も防ぐのかな? 実験実験。


 ファイアレインの範囲から抜け、魔法を放つ。………避けられると困るので魔力を多く込め、弾速を上げておいた。


「ぐはっ!」


 いよっしゃ! 魔法はあの防壁で防げないらしい。このまま魔法で攻めてもいいんだけど………もう一つだけ実験だ。


 相手がダメージから回復し、こちらに杖を向け

る。相当怒ってるみたい、顔が怖ーわ。


「おのれぇ! 『ファイアボール』『ファイアボー

ル』『ファイアレイン』ッ!」


 ちょっとぉおおおっ! そんなに撃たなくてもいいじゃん! フラフラしてんじゃん! 消費MP考えろよ!

 大量に飛んで来る魔法を全力で避けながら壁に向かって走る。そして十分に距離をとったら再び刀を構える。


「はーはっは! 馬鹿め、剣は効かないってのが分からないのか!」

「そいつはどうか……なっ!」


 刀に多めに魔力を流し、思いっきり横に一閃す

る。するとギリギリ相手まで剣線が伸びた。


バリバリバリッ!


 僅かだがヒビが入ったな。もっと魔力を込めれば突破出来るかな? よし、もう一度。


「お、おい! 今何をしたっ! 何故そこから斬れるんだ!」

「答えるか、ばーか」


 そう答えながら再び魔力を込め始める。ちょっと時間がかかるな。どうやら込める量が多い程、時間がかかるっぽい。


 相手が詠唱を始める。詠唱って事は最低でも上級レベルか。そんな高威力な魔法なんて撃たせるか!


「おらよ……っと!」


バリィンッ!


「う…ぐぁああ……あ…」


 防壁のおかげでダメージは軽減されたようだが確実に斬られ、倒れた。


「いやいや、反対側の壁まで斬りつけるとかおかしいだろ」


 そう、壁際にいながら反対側の壁が斬れたのだ。はっきりいって、自分の武器が怖くなってきた。規格外にも制限が欲しいものだ。

 ん? 審判が俺の左手を掴んだ。え? さっきの勝ち方はまずかったか? そのまま不意に腕を上げさせられる。


「だ、第二回戦の勝者は、トウガ・カミタニーー!!」


 ………………………………。


 ………………この沈黙止めて貰えます!? 勝ったんですから少しは歓声くらいあっても………。そう思った瞬間でした。


「なに勝ってんだテメェはぁー!!」

「負けろよぉ、くそやろうぉ!!」

「お前ぇの試合なんか見たくねぇんだぁ!!」


 う ぁ あ あ あ あ …………。またもやブーイングの嵐。もう俺のメンタルはズタボロですよ。もうここに居たくないわ〜。宿に帰りますか。
















「ふ〜、今日はもう宿から出ないでのんびりしてようかな」


 宿の玄関の扉を開き、中に入る。するとやっぱりそこには爺さんが居た。


「マグ爺もさ、こんなとこいないで部屋にいて休めばいいのに」


 マグ爺とは、この爺さんの名前がマグナだからである。この宿に長々いても暇だからね、色々と話をしてましたよ。あっ、ちなみに魔法の弾速とか詠唱とかもマグ爺から聞きました。物知りだと思ったが案の定この世界では常識らしい。


「ほっほっほ、部屋にいてもここにいてもさほど変わりは無いんでのぉ」

「そうかい、なら何も言わねーよ」

「ところで……さっきから後ろにいるのは誰か

な?」

「はっ?」


 爺さん何言ってるんだ? とうとう幻覚でも見た

か? とでも思って後ろを見る。

するとそこにいたのはーーーーーーーー


「あら、ばれちゃったかしら」


 今日試合前に会った女性、ミレーヌがいた。


「ええっ!? うそ、いつからいた!?」

「闘技場出た時からよ」


 うわ〜マジか〜。こんな美人がついてきていて気づかないなんて……。やっぱ俺、人生損してるよな〜。


「それにしてもお爺さん、よく気づいたわね。隠密ハイドの魔法使ってたのに」

「ほっほ、なんとなくいるような気がしただけじゃよ」

「ふ〜ん、そう」


 絶対嘘だな。もうこの爺さんは色々と規格外な存在だ。当たり前のように心を読んでくるような人間だ。魔法見破っても今更感の方が強いし。


「まあそんなことより、着いてきたって事は何かあるんじゃないかの?」


 そういえばそうだな。っていうかおかしくね? 俺に聞きたい事なんて無いでしょ。


「ああ、そうね。忘れてたわ。えっとね、試合前の話覚えてる?」

「ああ、覚えてるぞ。確か称号の話だっけ?」

「ええ、それよ。どうも気になっちゃって。改めて聞きに来たわ」


 あーそういう事か。まだ調べて無かったな。ステータスの自分の名前に解析かければいいんだっけ。


「まだ調べて無いんだ。今調べるから待っててく

れ」

「分かったわ。それまでお爺さんと話しでもしているわよ」


 お爺さんと話ねぇ。なんとなくあの二人の会話は理解出来そうに無いな。知らない単語が飛びかってる。さあ、こっちはこっちでちゃちゃっと調べますか。

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