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第27話

会話に一行開けるの止めました。

 え〜と、領主ですか。領主……ねぇ。いや、もうぶっちゃけますけど、どのくらい偉いのかさっっっぱり分かんないっすね。まあ唯の一貴族よりは偉いのだろう。隣でガイが頭下げてるし。


「まさかハイト様だとは知らずに……。申し訳ありませんでした! ……おいっ! お前も頭を下げろ!」


 それにしても眺めが壮観だなぁ。冒険者の半分くらいが頭を下げ、もう半分は固まってるし。これが俺に対してだったらどんなに気分がいいか。


「聞いてるのか! 頭を下げろ。ハイト様だぞ。敬意を払え!」


 やっぱり結構上の階級の人っぽいな。言い方的にも凄く偉い人そうだしな。でもな〜、人に頭を下げるのはちょっと……。それに、あんま知らない人なんてもっと嫌だし。


「え〜っと〜、はっきり言って貴方はどのくらい偉いんですか?」


 俺の発言にまた場が固まる。ありゃ? この発言はまずかったかな?


「な……! お前はなんてことを……」

「いい。私から説明しよう。私はこの街を収めている領主の家系だ。この街においては貴族より立場は上だ。だから騒ぎを起こさないよう注意したんだ。ここまで言えばわかるかな?」


「いや、でも偉いのって貴方の親ですよね? 何であんたは自分も偉いと思ってんだ?」


「くっ…! 当たり前だ! この先私もこの街を収めることになるのだ。だから……」

「だから今からもう偉いのか? 全く……偉い奴らは馬鹿ばっかだな」


 ふ〜、いやぁ言いたい事を言うのはスッキリするな。おっと、あいつの護衛かな? 剣の切っ先を俺に向けてくる。


「お〜い、騒ぎを起こすなって言ったのはそっちだぞ? なのに自ら騒ぎを起こすのか〜?」


 よし、剣は下ろしたな。それでいい。超怖い。まじで痛いのはごめんなんで。


「貴様……! 目上の人に対してその態度でいいと思ってるのか!」

「はい? 別に立場とか俺には関係無いんで。冒険者だし」


 やばいな。そろそろ第二試合が終わりそうだ。色々聞きに行かなきゃならないのに。急ごうかな。


「どこに行く! 待て!」

「嫌です」


 ったく、ガイは相変わらずうるさいな。少しは黙ってろよ。耳障りだなぁ。











「それでは第三試合を始めます! 選手は集まってください!」


 よーし、ようやくだな。ルールはざっと聞いたし大丈夫だろう。要は何をしてもOK。ただ、戦意の無い相手を攻撃するのは無しのようだ。っていうかどうやってそれを判断するんだよ。


「では、ルールを説明します。攻撃手段は武器、魔法です。戦意の無い相手に攻撃はしてはいけません。なお、戦意のの無い相手に攻撃しようとした場合、審判が止めに入ります」


 ちゃんと審判がいるのか。まあ普通に考えたら当たり前か。


「それではすぐに始まりますので闘技場に入って下さい」


 人がどんどん入って行く。誰も言わずとも皆が皆離れて闘技場に散らばった。


 そう言えば俺は剣だったな。相手が死んでら相手の責任とは言ってたけど、流石になぁ

……躊躇うよな。魔力を流すのは止めておこう。人が真っ二つとか洒落にならん。


『それでは! 試合を開始します! 第三試合……始めっっ!』


 うわぁすげぇ。あっちこっちで戦ってんな。乱戦だよ、乱戦。まあ勝手にやってて下さい。頭数が減ってきたら参戦しますよ。それにしてもこの世界の人達は血の気が多いのかねぇ。


「うおらぁあああっ!」


 見知らぬ男がいきなり真正面から斬り掛かってくる。やめろよ。俺は人間観察してんだ。面倒なのでサッと躱す。


ゴンッ!


「うがっ……」


 あっ、俺の後ろは壁でした。……なんかごめんね? ってか気絶してんな。どんな勢いで向かって来たんだよ。馬鹿だろ。俺が避けるって思わなかったのかよ。


「せぇいやぁあああっ!」


 またか! うぜぇよ! 他の奴狙えよ! 咄嗟に剣で応戦しちまったじゃねえか!


 そのまま相手の剣を弾き横に回避して距離をと

る。相手は剣を弾かれた勢いで尻餅をついていた。


 いや、弱くね? 何でこんなのにでてんだよ。この疑問はすぐに解消された。


「俺は……俺は金がいるんだぁああ! じゃなきゃもうこの街には居られねぇんだよぉお!」


 なるほどね。借金ってとこか。でもごめんね? それ、俺には関係無いんで。


 相手の振るう剣を叩き落とし、思いっきり腹を殴る。


「う…うぁあ……あぁ………」


 うん、そのまま倒れててね? あんたとの関わって俺に特、ないですから。

 すぐ後ろに壁が来るまで下がり、周りを見渡す。

 大分数が減ったな。だいたい最初の三分の一くらいかな。そろそろ参戦しますか。

 まずは〜……剣持ってる太った奴!


「はぁあああああっ!」


 相手は走って来る燈雅に気づき、剣を構える。だがこちらの顔を見るなり驚愕の表情を浮かべていた。


「なんでお前がいるんだ! お前はムーンウェルトに居た筈だろう!」


 ムーンウェルト? 聞いたこと無いな。そもそもこんな奴と会った事あったっけ?


 そんな事を考えながらも相手に斬りかかる。相手は受け止めずに避けた。その後、右、左、右下からなど斬りかかるが全て避けられる。何故だ? 受け止めた方が反撃はしやすいと思うんだけど。


「なあ、お前誰だよ。会った事あったっけ?」

「なっ……! お前……忘れたとは言わせねぇぞ! ランクを奪っておいてぇ!」


 ランク? ……ぁあ! ギルドで絡んで来た奴か! なるほどねぇ、剣を受け止め無いのはまた剣が斬られると思ってるからか。納得。


「ああ、うん。も、もちろん覚えてたよ? ちょっと顔と名前が思い出せないだけで……」

「それを忘れたって言うんだぁああ!」


 ごもっともです。今回はあんたの言うことはまさしく正論だ。ほんとすいません。

なんか闘技場入ってから謝ってばっかだな、俺。


「おらぁあああっ!」


 こいつの攻撃は変わってないな。前も弱いと感じたのに今はそれ以下だわ。こんなの目を瞑ってても勝て…………ないですね。すいません、調子に乗りました。


 剣を弾いては蹴り、また剣を弾いては殴る。すると不意に後ろから殴りかかってくる奴が居た。

はぁ…、今いいとこなんだから邪魔しないでくれる?


 拳を躱し、アッパーをいれる。するとあっけなくそいつは倒れた。

 何故だ。闘技場なのに弱い奴しか居ないぞ。どうなってんだ?


「よそ見を……するなぁあああっ!」

「ちょっと黙ってて」


ゴンッ!


 おそらく今までで一番とも言える改心の一撃を放ったダイトだったが、それをすんなり躱され顎にカウンターパンチが入った。

 あっ……やべ、倒しちゃったよ。白目剥いてのびてるし。まあいいか。それより残りを倒しに………


『試合終〜了〜! 第三試合勝者は〜……トウガ・カミタニだー!!』


 試合終了の合図とともに大きな歓声があがる。

 なん……だと……。まだ沢山居た筈だ。

何故……。


 実はあのアッパーで倒された男は他の人を全員倒していたのだ。それで残った二人を倒そうと近づくと運悪く燈雅に瞬殺されてしまったのだ。


 考えても仕方がないな。とにかく勝ったんだから喜ぼう。ん? 急に歓声が止んだな。


 突然静かになった観客席から大きな声が響いてきた。


「こいつだぞー! 街への物資を止めたり、貴族や冒険者を襲ってるのはっ!」

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