第20話
「はぁ…はぁ…はぁ…」
いや〜、走った走った。今日は朝から走りっぱなしだ。
まさか騎士達に追われるとは。しかも捕まったら牢獄とか言ってたな。シャレにならん。
「あっ、騎士達全員倒せば良かったんじゃね?」
う〜ん……いやいや、流石にそれはまずいだろ。悪い噂が広まっても困る。
「これからどうすっかな〜……」
何しろ行く当てもない。やる事もない。あっ、やる事と言ったら武器集めがあったな。まあ、何をするにしてもこの街は出ないと駄目かな。
「ひとまず、ギルドで近くの町でも聞くか」
ーー ギルド ーー
「こんばんは〜、あっ! 燈雅さんですね? 騎士達に連れられて大丈夫でしたか?」
「ああ、なんとか……。それより、ここから一番近い町はどこだ?」
「一番近いですか? となると……門を出て真っ直ぐ行った先にありますね」
「町の名前と特徴は?」
「町の名前はリグトで、ここら辺では結構大きめの町です。ここでは年に一回、コロシアムが開催されています」
「コロシアムか……」
コロシアムってのはもちろん賞金が出るんだろうな〜。でも相手はきっと人だよな〜。人と戦うのは正直つらい。出るかどうかは賞金次第だな。
「よし、そこへ行こう。だいたいどのくらいかかる?」
「歩いて2日ぐらいですかね」
「分かった。ありがとう」
ーー 門 ーー
しまった〜門番の存在を忘れてた。どうする、壁を乗り越えるか?いや、流石に無理か。20mくらいあるし……。行ってみて捕まりそうだったら走り抜けよう。
「すまん、ここを通りたいんだが……」
「え〜ここを通りたい〜ヒック、あ〜腕輪見せろ、腕輪〜」
酒くさっ! 確かにもう夜近いけどさ、仕事中は止めようよ。
「お〜い、こいつじゃないか〜? うっぷ…、国王の指名手配の奴〜」
まずい!
「あ〜、そうか〜? お前指名手配されてんのか〜?」
「いや、されてないです。」
「だってよ〜、じゃあ違うな、わはははは……オエッ」
「こんなとこで吐くなよ〜、あっもう通っていいぞ〜」
まじか! この門番には感謝しなくては! 助かったよ! 今度は酒を奢るよ、貸しだ。
ーー 城 ーー
「すいませんっ! 取り逃がしてしまいましたっ!」
「ちっ……。まあしょうがない。………おいっ、あの勇者達には逃げられたら困る。これからは料理に入れる薬の量を増やせ。」
「量を……ですか? 流石にばれるかも知れませんが……」
「かまわん。もう軽い催眠状態に入っているんだ。多少怪しまれても大丈夫だろう」
「かしこまりました」
〜〜 透美の部屋 〜〜
「はぁ〜〜、今日も一日疲れたね〜」
「確かに疲れましたね」
「塔矢はあの怪我大丈夫かな?」
「きっと大丈夫だと思いますよ?」
「そうだよね〜。って言うか最近、なんか喋り方おかしくない? 妙に固いって言うか……」
「? そうですか? 前からこんなだったと思いますが……」
「そう? なら特に気にしなくても良いのかな〜」
「それより、今日の夕食は何か変な味がしませんでした?」
「特に思わなかったけど……」
「そうですか……。なら私の勘違いですかね」




