第18話
ふぅ……思ったより疲れたな。何より刺されたのは精神的にキツイ。良くあいつは躊躇いなく人を刺せたな。何かあったか?
「お前らさ、ぼーっとしてないで早くそいつ治したら?」
うわ〜、そのあからさまに俺を睨むのやめてくれる? みんな揃いも揃ってさ。
「次は私が戦う! 塔矢の敵は私がとる!」
いやいや、死んでないから。敵っておかしいからね? それにお前、勝てないでしょ。
「王よ! どうなさるんですか!」
「大丈夫だ。そんなのはお前も分かっているだろう。すぐに回復魔法をかけたからな」
「そうではありません! あの者についてです!」
えーっと、 ……騎士長! 人を指差さないでくれる? 不愉快です。
「それは皆が落ち着いたら話す。もちろん、塔矢が起きてからだ」
え〜暇。 暇なんだけど。ギルドいきたいな〜。
「すいません、俺、帰っていいっすか?」
「なにっ!」
その目止めて! 騎士長さんマジ怖いっす!
「い、いや〜。俺ここにいてもやる事ないし、早く帰りたいな〜と」
「駄目だ。塔矢が起きるまでここで待て」
そ、そんな〜。あーもうテンションだだ下がりだわ〜。俺、ここじゃ何も出来ないじゃん〜。
「燈雅、闘技場に入りなさい。今すぐ倒してやるわ!」
こいつ、こういう時だけまともな口調になるんだよな〜。
「はぁ……お前試合前の話聞いてた? ここはそう頻繁に使えないって言ったろ? それにお前は塔矢より強いのか? そうは見えないけどな〜」
「くっ……やってみなきゃ分かんないでしょ!」
「いや、分かるから。ステータスがある以上その通りだろ。よっぽどのチートがあるなら別だけど」
「っっ…………! 純華は悔しくないの?! あこまで言われて!」
「悔しいけれど私達じゃ勝てないでしょ? 塔矢にも勝てないんだから」
「なっ…………」
「お前よりよっぽど物分かりがいいみたいだな」
あいつはどこ行っても変わんないな。感情に全く流されない。
「ほら、分かったら自室にでもいて、こいつが起きるのを待ってろ」
「あっそうだ。王様! 俺にも部屋一個貸して〜」
「貴様ぁぁ! 王に対してなんという……!!」
「燈雅とやら………、あまり調子に乗るんじゃないぞ………」
怖っ! 王様怖っ! 騎士長はともかく、王様は怒らせないようにしなくては。……………別にいっか。そもそもこんな王様に下手にでる必要はねぇんだ。
「フロイト、奴を部屋へ案内しろ」
「…………はっ」
騎士長の名前はフロイトね。覚えていたらこれからは名前で呼ぼう。覚えていたらね?
ギィ……
「ここだ。次に呼びに来るまで出るんじゃないぞ」
バタンッ!
もうちょい優しく閉めようよ。ドアがかわいそうだ。
「しっかし…………いい部屋だな」
部屋全体が白で統一されていて、とても綺麗だ。
「それにしても、一体どうやって塔矢は回復したんだ?」
そう、今日一番の問題だ。あいつはポーション使って無かったしな。ポーション以外の回復手段が何があるのだろう。 う〜ん、分かんないな〜。回復……回復……
「あっ! 魔法か!」
そうだよ、魔法だ。確かさっき回復魔法がどうとかって言ってたしな。そうか、回復魔法か〜。使いたいな〜。 ん?
「魔法ってどうやったら増えるんだ?」
分からないぞ? そもそも魔法は増えるのか? まずそこが疑問だ………………………………………………………………
一旦魔法について考えるのは止めよう。疑問はまだあるんだ。
剣術。そもそも俺があこまで動けるのがおかしい。あれはやる気がどうこうって問題じゃ無かった。うーん、とりあえずステータスを出せば何か分かるかな?
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カミタニ トウガ
lv 28
ランクF
所持金 83110z
HP 728/728
MP 1391/1391
STR 117
VIT 107
INT 836
MEN 112
【スキル】
・基本魔法 〈治癒〉〈水〉〈火〉・解析
・魔法極大化
【称号】
・勇者ならざる大賢者 ・九死に一生の死力
・武装賢者
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なんで魔法が増えてるんだ?! 覚える基準は何なんだ一体! う〜〜ん……今は考えるを止めよう。
とりあえず…………解析だな。
〈基本魔法 治癒 〉
・消費MP 20
・治癒の基本魔法
「ヒール」が使えるようになる。
〈武装賢者〉
・魔法を使わず、接近戦をした賢者に贈られる称号
・歴代の賢者の武器を持っている時、その武器にあった体術を会得出来る。
………………………またチートかよっ!




