第17話
「はあぁぁぁあっ！」
塔矢の剣が燈雅の太ももにせまる。
ガキィ！
本当いきなりだなこいつは！ もっとゆっくり行こうよ！
「はぁあ！ せい！ やあぁぁああ！」
燈雅の右腕に右薙ぎ、突き、袈裟斬りがとぶ。
ガキィン！ ガッ！ キィン！
随分と剣が上手くなったもんだ。
俺？ なんかこの剣持ってから自然に体が動くんだよね〜。
「お前……、どこで剣を習った！」
「………独学ですけど？」
「嘘をつくなぁぁあっ！」
剣が燈雅に振り下ろされる。
まずいっ！
ズガガガガカァン！
「よく避けれたなぁ」
あっぶな！ 手掠ったけどほんとよく避けれたわ。
「おいおい、大事な城を壊していいのか？」
あの攻撃はやばい。壁まで一直線にえぐれている。
「気にすることは無い。全力でやれ」
おおぉい！ あの王様何言ってんの？！
俺、死んじゃいますよ？ ガチで。
「どうした？ びびって動けないか？」
あーもうっ！ イライラするっ！ なんでこんなのと戦わなくちゃいけないんだ！ 俺はラノベにあるような異世界を堪能したい！
こうなったらすぐ終わらせるのが一番だ。
全力でいいんだよな。だったら……
燈雅は剣に多めに魔力を流す。
「今度はこっちから行くぜぇぇえ！」
「来いよ！ ん？」
燈雅はバックステップをし、剣を横に振った。
「一体何のつも ”ズバンッ” ……グフッ…」
「キャァァァァッ！」
うっせぇな！ ギャラリーは！ 俺だって斬りたい訳じゃないわ！
「何を……した……」
「さぁな。もう決着はついただろ」
終わりだ、終わり。国王は……後ろか。
「おい、王様。これで終わ……」
ポタ、ポタポタ……
は？ 何で俺が血を吐いてる？ 胸から剣先がでてるし。くっ……油断した！
「うがあぁぁぁぁあ！」
体を動かし無理矢理剣を抜く。
「はぁ…はぁ…はぁ……」
「なんだ燈雅。もうお終いか？」
「うるせぇ…いかにもテンプレな事いいやがって」
そういいながらポーションを背中と胸にかける。
これじゃ駄目だ。どうすれば……。飲めば中から治るかもしれない。
ゴクッゴクッ
「まずっっ！」
「お前……ポーション飲むとか馬鹿だろぉ〜」
やっぱ飲むもんじゃなかったらしい。周りの奴らみんな笑いやがって。
でも飲んだおかげか分からないが大分楽になった。
「それよりお前、どうやって治した」
「話す必要はねぇぇ！」
瞬時に燈雅の懐に潜り込む。
「はあぁぁぁああっ！」
そのまま切り上げようとするが……
「もうめんどくせーわ」
ガッキィンッ！
塔矢の持っていた剣が折れ……、いや斬られてしまった。
「………なっ！」
「もうこれで終わりな」
塔矢の背後にまわり、袈裟斬り、左薙ぎ、左切り上げと連続で斬り伏せた。
ズパパパンッ！
「う……ぐぁ…あぁ………」
「俺の勝〜ち」
塔矢は膝をつき、そのまま倒れた。
