第14話
〜〜 数時間前 〜〜
「王よ、先程の二人は何者ですか?」
「私が個人的に依頼を出した冒険者だ。
あの一緒に召喚された者は邪魔なのでな、あらかじめ消しておこうと思ったのだ」
「なるほど。こちらの考えが及ばず不躾な事を聞いてしまい、申し訳御座いませんでした」
「なに、気にすることはない。あいつが消える事を考えれば愉快な気にもなれるしな」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「急げ急げ〜。昼飯が逃げる〜」
俺はこんな高い山の頂上にいたのか。
降りる時間がとても長く感じる。
「急げ〜急げ〜昼飯が〜 ”ビュン” ぐわぁっ!」
痛ぇっ! 俺の手の甲に短剣が刺さってる!
一体どこから飛んできた!
「痛ぇ……、おいっ!誰だっ!今すぐ出てこい」
………………………
出てくる気はないか。なら……
「こっちから行くぞっ!」
剣に普段より多めの魔力を流す。
「はあぁぁぁああっ!」
短剣が飛んできた方へ思い切り剣を振った。
ズパパパパパンッ!
剣を振った先にあった木は全て腰の高さぐらいから切断される。
「やっぱりか、どうやら魔力を多めにして振ると、込めた分だけ一瞬刀身が伸びるらしいな」
「おい、早めに出てこないとミンチにするぞ?」
「………出るわよ。ほらお前も出なさい」
「ちっ、めんどくせぇーな」
おっ? 割と素直に出てきたな。
「お前らなんだ? 俺とあった事があったか?」
「おぉい! この女はともかく、俺は闘技場であるよなぁ!」
「この女って……、そういう言い方はやめろって言ったよなっ!」
おーおー、襲ってきた身分随分とでかい態度だ。それに喧嘩まで始めたし。
こいつら自分の立場分かってんのか?
「お前ら、少し黙れ」
すご! 見事にピタッと止まったよ。おもしろっ!
「お前は確か……、闘技場でダイトに注意してた奴だな。まあそれはどうでもいい。」
「それより、お前らは何故俺を襲った?」
「それは言えないわ。依頼主の事は言えないし、 内容も言えない」
やけにしっかりしてんな〜。俺こういうの絶対守んないわ。っていうか……
「お前、誰?」
「私はこいつと一緒に冒険者やってんのよ」
「ふ〜ん。別にどうでもいいわ」
「で? その依頼はこの状況からでもやろうと思うの?」
「いや、それは無理かな。この状況から出来るとは思わないし……」
「そうか、だったら早く依頼主のとこに戻れ」
「あっ? 俺らを逃していいのか?」
「? 何言ってんだ。別にいいだろ。
どうせお前らがまた来ても勝てるし」
「あ……、いや、そうじゃなくてだな…」
「いいから早く行くよ! 逃げれるうちに逃げるんだ!」
「あっ! おい! ちょっと待てって!」
おっ、足は速いな。もう大分遠くにいる。
さて、俺もそろそろ帰ろうかな。
「あー、手から血が出てたな。ポーションは直接掛ければいいのかな?」
ビチャビチャ…ビチャ……
ジュワアァァ〜
凄い。傷一つ無くなった。流石ポーションは期待を裏切らないな。
「さ〜て、面倒も無くなったし、さっさと帰ろ〜」
…………何か忘れてるような……?
まっ、いいか!




