第13話
「はぁ…はぁ…、もう走れん……」
門からは近くに見えたんだけどな……。
想像以上に遠かった。全力でなんて走らなきゃ良かった……。
「とりあえず、山には着いたな」
高い。そこまで山が広い訳では無いが、高さは凄い。どうやったらこんな山が出来んだよ。
「ベビーコドラはどこかな〜」
〜〜 10分後 〜〜
いない……。下の方にはいないのかな?
ただ探すのもつまらない。どうせなら、頂上を目指そう! そうと決まれば……
「ダァァッシュッ!!」
あれ? 目的変わってね? いや、楽しければそれでいいんです。
なんだ? 前方にモンスターの群れが……
「邪魔だあぁぁぁああっ!」
ズパッ! ズパパン!ズパパパパッ!
「くっそ〜、木も邪魔だなぁあ!」
「オラッ!」
剣を思いっきり地面と水平に一閃する。
ズドドドドドォン……
「あっ………!」
「あーーっ! やべっ! やり過ぎたぁぁ!」
うっそ〜ん。目の前100m位が切り株だけになっちゃった。 めんご、めんご〜。
………………って、許されるかっ!
う〜ん、どうする? 幸い周りには誰もいない。だとしたら……やる事は一つだ。
「逃げるっ!」
今は兎に角、頂上を目指せぇぇえっ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ……」
「今日……走ってばっかだな……」
疲れた。いや、これガチで。
もう暫く動けないっす。休みましょう。
「そういえば途中に何か狩ったな。あれ、なんだったんだろう?」
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・ベビーコドラ 討伐数5体
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「 oh…………」
「依頼……終わったな………」
そんな、そんな馬鹿なっ! コドラって言うからにはドラゴンなんだろ?! 見たい! 見たかった! なんで良く見ずに倒したぁぁ俺はぁぁぁああ!
「うっ……うう…」
マジか。俺はこんな事で泣くのか。生き物の命を奪った時の方がよっぽど泣けると思うけどね。
〜〜 30分後 〜〜
「ふぅ……。落ち着いた」
「これからどうしよ〜かな〜」
まだ昼くらいなんだよな〜時間が。
う〜ん、やる事が無いな。だったらコドラが出るまで狩りをしましょう。モンスターが消えるのが先か、コドラが出てくるのが先か勝負だっ!
あこにゴブリンの集団がいるな。早速斬り伏せて……、たまには魔法を使おう。
『拡! ファイアボール!』
でかっ! 前はあんなでかくなかっただろ?! なんだ? ステータスが関係あるのか?
ドゴォォオンッ!!
「くっ!」
意外に爆風が来るな。ファイアボールがこの威力か……。これはこれからに期待が出来る!
「あら〜、ゴブリンの面影ないな」
一気に十数体も倒せた。やばい、すげー楽しい!
「はっ、はははっ! あははははははっ!!」
ズドォン!
ズドドォン!
……………
…………
………
……
…
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「やり過ぎた………」
完全にやり過ぎちゃいました。今、山からは全く物音がしない。樹々の葉の擦れる音が聞こえるだけだ。
「モンスターが……、減ったな」
でも良かった。MP半分切った辺りで気付けて。おかげでモンスターはまだ少なからずいるようだし、木もちゃんと残ってる。
「軽く一時間は動いてた気がする」
「討伐数の確認は必須だな」
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・ゴブリン討伐数 83体
・ニアホース討伐数 51体
・ベビーコドラ討伐数 16体
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結果、コドラには会えました。
期待以上にトカゲでした。ちくしょう!!
まあ、今回は初見のモンスターも見れたし良しとしましょう。…………ゴブリンごめんね?
「それより、問題はこっちだよな〜」
さっきの魔法の爆発で山の一部分がえぐれて、そこに洞窟があったんだよね〜。
気になる。中がとても気になる。
「…………おじゃましま〜す」
勿論、挨拶は怠りません。だって私は礼儀正しいですから!
「ん?……扉があるな」
大分古びているな。木製なのに朽ちないのか?
ガッ ガンガンッ
「あっ、開かねぇ!」
「しょうがない」
『ファイアボール!』
ドゴォン!
うっぷ……、砂煙が酷い。
「ごほっごほっ……。どうだ?!」
嘘だろ、傷一つ付いてねぇ! 何故だ?
どう見ても、ただの扉の筈だ。
「火すらつかねぇとかどうなってやがる……」
何か特殊な加工でもしてあるのか? 魔法の可能性もある。何にせよ分からない事が多過ぎだ。
「はぁ……。ここにいても時間の無駄だな。後は街に戻ってゆっくりするか」
「あっ! 宿の昼飯を食ってない! 急げぇぇ!」




