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初恋少女  作者: 真矢裕美
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微妙な関係

五月になり、大学3回生になったひろみは、

オレの学校に教育実習に来ることになった。

「教育実習か。大学生も大変だな」

「そうなのよ。私の三年生の担任だった吉村先生は、

男子部の生活指導で異動になったから、

私の教育実習は男子部のクラスを受け持つことになりそうなの」

「そうか。吉村は、オレたち3年の英語を受け持っているから、

おまえがオレたちのクラスを受け持つこともあるってことか」

「おそらくね」

「オレは嬉しいけどな。おまえと毎日学校で会えるんだから」

「だけど、学校では先生と生徒で接していくからそのつもりでいてね」

「厳しいなぁ。オレたち彼氏彼女なのに」

オレは、ひろみにわざとむくれてすねていた。

「拓哉、何をすねているの?ほんとに甘えんぼなんだから」

「いいじゃん」

「小さな子供みたいにすねてないの」

「なんだよ、ちょっと大人になったからってオレを子ども扱いしてさ」

「どうしたら機嫌が直るのかな?」

そう言ってひろみが聞いてきたから、オレはもっと甘えてやろうと思い、

「キスして」

と言ってオレはひろみを抱きしめてキスをしていた。

「もうっ、拓哉ったら甘えんぼなんだから」

「男は好きな女の前では甘えてみたくなるもんさ。ほんとだぜ、ひろみ」

オレとひろみが付き合ってから4年がたった。

中学の時に出会って、今では高校生になったオレ。

ひろみも今ではオレを一人の男として愛してくれている。

ひろみに告白した時が懐かしい。

あの時、オレが拓哉くんという呼び名を終わりにしてと言った時から、

オレたちはいろんな形で絆を繋げてきた。

今では、お互いを思いやり愛し合うようになったオレたち。

もうすぐひろみを迎えに行ける。

結婚もオレが高校卒業したらと条件が付いて、まもなく秒読みになってきた。

そして次の日、学校で学年集会があった。

教育実習で来た大学生や短大生のなかに、ひろみの姿があった。

そして今日の英語の授業から、さっそくひろみが教えることになった。

英語担当の吉村先生とひろみが教室にやってきた。

「やったね、拓哉。ひろみさんだよ、よかった」

「これでしばらくは吉村の授業から解放されるな。Standup!」

英語の授業では必ず英語で起立のかけ声をかける。

これが結構面倒くさいんだよな。

「Goodmorninng,Ms.Yoshimura」

「Goodmorninng,everyone」

「Sitdown」

「今日から教育実習で、皆さんの授業を受け持つことになった

石川ひろみさんです。みなさん、1か月間しっかり勉強をしてくださいね。

それでは石川さん、ご挨拶をしてください」

ひろみが初めてオレのクラスで挨拶をしていた。

ひろみの落ち着いた様子にオレは安心していた。

「それでは、今日から石川さんが皆さんの授業をします。

しっかり勉強してくださいね」

そして先生からひろみに授業を任すと伝えられたみんなは、

嬉しい気持ちになっていた。

「今日は授業の第1日目なので、私も早く皆さんの顔を覚えていきたいと

思います。出席番号順に皆さんの自己紹介をしてください。

そうですね、皆さんが興味を持っていることを聞いてみたいと思っています。

それでは、1番の人から順に自己紹介をしてください」

それからみんなは、出席番号順にそれぞれ自己紹介をしていった。

オレの出席番号は20番。オレの番がまわってきた。

「オレが興味を持っていることは、芝居や舞台を観ることです。

いろんな芝居や舞台を観ることで自分の演技に役に立てようと勉強しています」

「城島くんの頑張りがきっと役に立つ時がくるといいですね」

そして出席番号28番の彰は、

「オレは、今軽音楽部でやっている仲間とバンドを組んでいます。

将来ミュージシャンになりたくて、いろんなオーディションを受けています」

と答えた。

「飛島くんの夢が実現するといいですね」

それから出席番号38番の尚志は、

「僕は、俳優で活躍できるように父の付き人をしながら勉強しています」

と答えた。

「西崎くんの努力が実るといいですね」

最後に近い出席番号42番の和彦は、

「僕は、声優になりたくてミュージカルや声優の勉強をしています」

と答えた。

「岬くんがミュージカルの舞台に立つ時がくるといいですね」

みんなの自己紹介が終わり、ひろみから一つ提案をしてきた。

「さて、1か月私が授業しますが吉村先生から授業内容を任せてくださる

ということなんで少し内容を変えてやってみようと思います」

クラスの仲間がざわざわしてきた。

ひろみ、おまえ何を始めるんだよ?

「皆さん、静かにしてください。私が変えたいのは授業の挨拶です。

このクラスの委員は、城島くんと飛島くんですね」

「はいっ」

と言ってオレと彰が答えた。

「このクラスの正委員は飛島くんですね。

まず、飛島くんが『Standup』と号令をかけてください。

次に私が今日は午前中なので『Goodmorninng,everybody』と

皆さんに声をかけていきます。

そこで皆さんは、『Goodmorninng,MissIshikawa』と声をかけてください。

最後に私が、『Sitdown,please』と声をかけていきます。

そこで皆さん着席してください。

それから授業の終わりの挨拶ですが、

サブの委員の城島くんが『Standup』と号令をかけてください。

そこで私が『Goodbye,everybody』と皆さんに声をかけていきます。

そこで皆さんは、『Goodbye,MissIshikawa』と私に声をかけてください。

最後に私が『Goodbye,everyone』と言って授業を終わります。

皆さん、わかりましたか?」

さすがひろみ、オレたちのクラスの連中をすっかり手懐けたみたいだな。

この1か月間の英語の授業が楽しみだぜ。

しかし、オレも英語の号令をやるとは考えてなかったぜ。

まぁっ、いいか。

関係は違っても1日学校で会えるんだからな。

頑張れよ、ひろみ。








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