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初恋少女  作者: 真矢裕美
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冬の日のハプニング

今朝は冷え込んでいて寒い。

二月だから当然だろうけど、寒いのはやっぱり苦手なオレ。

そんな時に彰は懐かしい友達からメールがきていた。

「おいっ、和彦。秀幸からメールがきているぜ」

「秀幸って中学の時の生徒会長の?」

「あぁっ、そうだよ。和彦、今長崎は雪が積もっているぜ」

「雪が積もっているの!?長崎は雪なんか積もらないのに」

「大阪でも、この寒さだからな。明日あたり雪が降るかもな」

「ホントに、この寒さだけはなんとかしてほしいよね」

そんな中で、オレと尚志は教室に入っていった。

「おはよう、今日は寒いね」

「おはよう。拓哉、尚志」

「オッス、オレ寒いの苦手だから憂鬱だよ」

「拓哉の場合は、朝が起きられないだけだろ?

毎日迎えに行く身にもなってくれよな」

「拓哉、おまえ朝は毎日親に起こされているようだな。しっかりしろよな」

「この寒さで人間が耐えられると思っているのかよ?」

「そんなこと言っていたら北海道に住んでいる人間に怒られるぞ。

なにしろ北海道の冬は、マイナス何度の気温で暮らしているんだぜ」

「それって冷凍庫の温度じゃないか!?オレ、そんなところで暮らすのイヤだぜ」

しかし、今日はかなり寒い。雪でも降りそうな雲行きだった。

「長崎は、今日雪が降ったんだぜ」

「長崎は温かいのに雪が積もるなんて珍しいな」

「だろう?中学の古馴染みがメールで知らせてきたんだよ。

雪は降っても積もるなんて珍しいからな」

「大阪でも雪なんか降らないからな。まして雪が積もるなんてないな」

「雪が珍しいと思うのとそうでないのとでは違うからな」

「そうだな」

「どうやら先生が来たぜ」

今日の一時間目は数学だった。

「この間の学期末テストの答案を返す」

そうなんです。

実は、オレも期末テストが終わって答案の点数にビクビクしていたんです。

そして出席番号順にテストの答案が返ってきました。

「城島」

「はい」

オレは、先生から答案をもらってびっくりしていた。

だってオレにしては、すごい点数だったから。

それから彰、尚志そして和彦がテストの答案をもらって答えあわせをしていった。

「このクラスの平均点は70点と他のクラスに比べて優秀だった。

その中で、今から点数の良かった3名を発表する」

小川先生は、必ず点数の良かったヤツを発表する。

クラスの中でかなりザワザワしてきた。

「そんなの決まっているじゃん。ベスト3は彰、大森、木下が毎回の

指定席なんだから先生もわかっているのに…」

和彦がそういうと、彰は

「そんなことないぜ。もしかしたら、大どんでん返しがあるかもしれないぜ」

と言った。

「それでは、このクラスのベスト3を発表する。最高点98点、城島拓哉」

そうなんです。オレ、数学でクラス1番になっていたんです。

「第2位95点、飛島彰」

オレ、彰に勝ったんだ。信じられねぇ。

「第3位90点、大森孝志。以上、このクラスのベスト3だ」

オレ、夢見ているのかな?彰にも大森にも勝っちゃっているよ。

「拓哉、よかったな」

「彰、なんかオレ夢見ているみたいだよ」

「おまえが1番なんだから自信持てよ。今回は負けたが、次は勝つからな」

それから学校が終わってオレはひろみの部屋に行った。

そして、今日の数学のテストで彰に勝って1番になったことを話した。

「拓哉、よく頑張ったわね。数学の公式を覚えるのを

嫌がっていたのがウソみたい」

「そうだよな、ひろみもびっくりだよな。オレが1番取るなんて」

「拓哉がそれだけ彰くんに近づこうと思った証拠よ」

「ありがとう、ひろみ。オレ、嬉しいよ」

「あっ、拓哉見て。雪が降っているわ」

「ホントだ。夜だから綺麗だな」

「こんなに雪が降ったの久しぶりね。明日の朝には積もっているかもよ」

「なぁ、ひろみ。『WhiteLove』ってあったよな。

なんか、今のイメージにピッタリだと思わないか?」

「そうね、素敵ね。『WhiteLove』は

あたしが気に入っている曲なんだ」

そう言って、ひろみは『WhiteLove』を歌っていた。

ひろみが歌うのを聞くのは舞台の時以外ないことだ。

さすがひろみは、寛さんがドリームランドで、

プロの声楽の先生をつけているだけに歌もうまい。

ドリームランドの女優でいるのがもったいないと思うことがある。

なんか惚気ちゃったかな、オレ。

「なぁ、ひろみ。おまえ、歌手でもやれるんじゃないか?」

「実は、ドリームランドの声楽科の先生から

本格的に声楽の勉強を薦められているの。

今声楽の勉強をしておくと舞台でも歌姫として活躍の幅が

広がるからって言われて…」

「ひろみ、歌姫で出られるなんて大きなチャンスじゃないか。

声楽の先生が、おまえのことを認めてくれた証拠だよ。

やってみる価値あるぜ。頑張ってやってみろよ」

「うん、あたしやってみる」

ひろみが歌姫として舞台に立つ。

ひろみも新たな向上心が芽生えてきたようだ。

「ひろみ、よかったな。歌姫で舞台に出るのが楽しみだぜ。

声楽のレッスン、頑張れよな」

「うん、ありがとう。拓哉に励まされるとやってみようと思ってしまう。

あたし、頑張るわ。拓哉、見ていてね」

その勇気をくれたのは、ひろみがそばにいたからだよ。

おまえの笑顔を見ると安心していられる。

おまえの笑顔に、オレは何度も励まされてきたんだからな。

頑張って歌姫になってくれよな、ひろみ。

「拓哉、もう一つ知らせたいことがあるの」

「なんだ?」

「あたし、今日成績表もらったの。そしたら進級が決まったの」

「それじゃ、赤点なしのクリア?よかったじゃん、ひろみ」

「ありがとう。今回大変だったけど、成績表見てホッとしたわ」

「オレも数学のテストが返った時点で進級決定。今朝、学年の成績表張り出されていて、オレは学年で15番、クラスで2番だったよ」

「すごいじゃない、拓哉」

「彰が2年になったら負けられないなって言っていたよ」

オレも彰と同等に張り合える力がついてきた。

クラス委員をやるようになってから、彰と好敵手になりたいと思っていたオレ。

それが今、形になっている。

彰とは、いろんな意味で負けたくないとオレは思った。

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