不穏な影
「んで、私とは友達になってくれるの?」
改めて質問としてきた西原静乃。
や、ヤバイ。いや、あと5分もすればHRが始まる。そこまで誤魔化し続ければ…!
「時間を待ってるの?無駄よ。私が何も考えないでこのタイミングで話しかけたと思ってるの?」
人を見下すように嘲笑している。
これだから才女は嫌なんだ。
俺はわざとらしくため息を一つ吐き問う。
「じゃあ、才女様は俺なんか凡人に何の用なんです?」
「だから言ってるじゃない。あなたと友達になりたいのよ。それに私は才女なんかじゃない。本当の天才はあなたのほうでしょ?」
こうはんから真剣な表情で喋る西原静乃。
その言葉を聞いて一瞬顔が強張るのを感じたが、なんのことやら。という風に肩を竦め首を横に振る。
しかし、強張った時間を確認されたらしい。
口の端を歪めて笑い言った。
「まぁ、いいわ。今はそういうことにしといてあげる。改めてよろしくね、加羅北涼くん♪」
「お、おい!俺はまだ何にも──」
──キーンコーンカーンコーン──
俺の抗議が言い終わる前に無残にもチャイムが鳴り響く。
それが合図だったかのように他の奴らも各々席に着きはじめた。
しかし、どいつの顔を見てもみな悪夢でも見ていたかのように恐怖の表情を浮かべていた。
しかし、神野紅だけはずっとニコニコとしていてそれがより一層不気味に思えた。