ファンタジーの夢を見た1
濁った空、見渡す限りの荒れ果てた大地。周囲には木はもとより草すらない。
そんなところに私は着た覚えのない盗賊の格好をして立っていた。
隣には僧侶の格好をした茨木さんがいるのがせめてもの救いだろう。
白い服を見に纏い黄金に輝く杖を持つ茨木さんはまさに女神だ。
私もなにか武器を持っているんだろうかと腰元を見てみると小さいナイフが装備されていた。
ちっちぇー、10cmもないよ。
これがいわゆるチートとそうでないかの違いですねわかります。
そんなことよりもだ
「ここどこだろうね。」
「さっぱりわからないわ」
なんてこった。茨木さんがわからないならもうお手あげじゃないか。
茨木さんに分からないことが私にわかる筈がない。
そんな時私の背後からなにやら気配がするが先に気付いていた茨木さんがすかさず持っていた杖で背後を殴りつけた。
「曲者!」
「ありがとうございます!」
思っていたより小さな生き物だったようで身の丈15cm程しかないその生物は殴られた衝撃でぴゅーと遠くに飛ばされてしまう。茨木さんって凄い、改めてそう思った。しかし今の声どこかで聞き覚えがある気がする。なんて考えている間に小さい生き物は驚くべき回復力で戻ってきた。
それは妖精の羽がはえた石田君だった。
私は無意識にアイテムウィンドを開いて殺虫スプレーを取り出し石田君に吹きかけていた。
シューといい音を響かせながらスプレーは石田君に直撃する。
「これは石田君じゃない虫だ虫」
「痛いいたい、やめてくれ望月」
「名前を呼ばないで!知り合い認定しないで!」
「まって望月さん!これは確かに石田君よ」
「だとしても気持ち悪いよ!茨木さんならまだしもなんで石田君が羽つき?!」
「今需要があるからな、マッチョ妖精」
「聞いたことないよ!どや顔するな!」
まともに会話できるまで30分の時間が必要でした。
「たく、少しは落ち着いたか」
「すいません」
「私も殴ってごめんなさい」
「いえ、我々の業界ではご褒美です」
あぐらをかきながら私の目の前でふよふよ浮く石田君は茨木さんの謝罪に対してとてもすんだ瞳でそう返答した。どうやら本物のようだ。
もう一度スプレーを発射してやろうかと思ってしまった。
気を取り直して近くの大きな石に座り中央で浮かんでいる石田君のほうを向く。
「それで、ここはどこなの石田君?」
「ここは100年前に魔王の子分シナナイダーネによって滅びた都です」
凄い死ななそうな名前だ。
「魔王?この世界には魔王がいるの?」
「はい、その名はイーストフィールド楓。およそ100年前僅か2ヶ月にしてこの世界を侵略した恐ろしい魔王です」
東野くんじゃん。茨木さんは特に気付いてないようで怒りに震えているのでつっこみたくてもつっこめない。
「なんて酷いことを東野!」
茨木さんもそこは気付いていたらしい
「ええ、そこで茨木さんと望月には魔王を倒してもらいたいのです!」
この刃渡り10cmしかないナイフでなにが倒せるというんだろうか。
あ、スライムと石田君くらいならいけるかも。
「分かったわ。頑張りましょう望月さん!」
「お、おう!」
こうして私と茨木さんは妖精石田を共につれて魔王東野君を倒すため旅立つことになったのだ!




