夢わたり・表紙絵コレクション
夢わたり
少女が自転車に乗ってやってきた。
黒くて長い髪をした少女だ。俺はそれを暗いところから見ている。
俺は少女に走り寄ると、少女に向かってナイフを振り下ろした――。
霞野署新米刑事の常磐は、連続して発生している婦女暴行・傷害事件を追っていて、ある奇妙な夢をみる。
それをきっかけに常磐の追う事件が、次々と新たな展開を見せ始める。
夢と現実が交錯する、ミステリーサスペンス『夢わたり』
夢わたり《其の弐》
少女は男を蔑んだような目で見ながら、通り過ぎていく。
大丈夫。僕は君を分かっているよ。
男は少女に手を差し伸べた。
すると少女は、先ほどとは打って変わって、嬉しそうな微笑みを浮かべ、男の手に自分の手を重ねた――。
霞野署の刑事、常磐はときどき他人と同じ夢を見る。
奇妙な夢の意味を探っているうちに、一人の少女の失踪に行き当たって……。
夢と現実が交錯する、ミステリーサスペンス『夢わたり』第二弾。
夢わたり《其の参》
「ねぇ灯ー。あんたバスケ部の佐藤先輩と寝たって本当?!」
灯が長い黒髪をかきあげて、クラスメイトの質問に否定の言葉で答えると、クラスメイト達は笑った。それと一緒になって灯も笑う。しかし、心の中ではそんなことで騒ぐ彼女らにうんざりしていた。
そう、寝ていない。
寝ていたのはあいつだけ。
私は寝ていない。
私は眠れないのだから……。
夢と現実が交錯する、ミステリーサスペンス『夢わたり』。
灯と鈴の出会いを描いた回想の第三弾。
夢わたり《其の四》
私は死ななければならない。だって、私は大きな罪を犯したのだから。
もうすぐ通過電車がやってくる。私は線路に向かって足を踏みだした……。
犯罪者に同調し、同じ夢を見ることができる霞野署の刑事、常磐 要。
今回、常磐が同調したのは、自殺願望と朝日奈 鈴への恋心?!
夢と現実が交錯する、ミステリーサスペンス『夢わたり』第四弾。
夢わたり《其の伍》
雨がしとしと降り注ぐ夜、大酉が店のドアを開けると、そこに少年が一人うずくまっていた。
少年がゆっくりと大酉を見上げる。それは十三年前に死んだはずの少年だった。
和菓子の美味しい喫茶店、蜃気楼。
店主の大酉と十五年前の『朝日奈一家事件』の関係とは……。
夢と現実が交錯する、ミステリーサスペンス『夢わたり』。
大酉と鈴の出会いを描いた回想の第五弾。
夢わたり《其の陸》
「今回の同調者は正義の味方でした」
他人と同じ夢を見る刑事、常磐要はまたしても他人の夢に同調する。
その頃、別の事件で張り込みをしていた東田昇は一人の幼い少女と出会う。
少女の複雑な家庭環境が気になる東田だったが、ある日、少女の家が炎に包まれて――。
夢と現実が交錯する、ミステリーサスペンス『夢わたり』第六弾。