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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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77話 大先生

「そんで俺は何をすればいい?」


「医療ポッドは使えないでしょう。そもそも表面上はナノマシンが皮膚の様に見せていますが、中身は不明ですから。ポッドに入れて不明物として扱われても困ります。」


 座敷童子・・・、形だけで言えば医院長よりも更に高度な妖怪。医学的に分類するなら抜け出た者。過去なら幽霊と言われ現代ではオカルトや神智学で言われるアストラル体。過去ならコレは否定され精神医学ではアストラル体という概念は使用されず、感情が神経やホルモンに与える影響として解釈を試みる議論も一部に存在するていどだった。


 そう。VRと言う脳波を使った世界を人は受け入れそこに存在する定義した時、神秘医学は再度注目され植物状態の患者でも脳幹が動き回復の見込みがあるなら、脳波による対話で回復が見込めるとして少数に研究されている。コレは人体ネットワーク論にも直結し、脳以外が情報伝達系統として作用するなら脳に動きを思い出させると言う工程にも繋がってくる。


 脳波を利用して姿を見せ、相手に語りかけるなら人の姿をしてはいけない。植物状態と言うのは大脳が停止していて知覚、記憶、判断、運動の命令、感情などの高度な心の働きが出来ない為、対話者を鏡として見立ててしまい自身に置き換える可能性があるから。


 座敷童子の事は一旦医院長へ連絡をし、今は私のデスクの上に座らせ触診等を行う。体温としては人よりも低く、触った感覚としては若干カサついている。口内を覗くと当然と言えば当然だが行き止まりがある。その時点で会話の方法が空気振動ではなく別の物だと定義出来る。なにせ舌的な物は作られていても声帯はないのだから。


「違和感として感じるものは?」


「全部。」


「それでは話になりませんよ。」


「だからってよぉ、俺が体合ったのなんて大昔だぞ?なにが普通かって言われたらなにも感じない、あんまり動けない、そもそも認知されない、分かる人間しか分からないだぞ?それがこうして味が分かるってだけで違和感だしな。」


「なら見方を変えましょう。桃とは何なんですか?私達の見解としてはナノマシンの集合としてあるモノと考えていますが。」


「う〜ん、仙桃とか?そもそも随想録だったか?九尾の狐より上は空狐と天狐だろ?生きた年数は別として九尾を越えたなら空狐だろうがレベルは天狐。そもそも今の御時世昔の修行なんて意味がないしな。」


「修行に意味がない?」


「ない。人に信仰されたきゃ有名になればいいし、過去の神通力は人の世なら人の手にある。残るのはその姿と存在意義で、どんなに修行したかよりもなにが出来るかが優先されるんだろ?」


「しかし修行・・・、練習は必要ですが?」


 確かに私自身に置き換えるならどれだけ患者と携わったかは必要ですが、それよりも先ずは結果を出す事を優先させられる。当然と言えば当然ですが100回の手術を行い1回の失敗で責められる。ですが、その1回を産まない為に人は練習し失敗しない様に医療技術を高め薬学を学び、ナノマシンと言う目に見えないパートナーとなる医者を生み出した。


「それは思った結果に辿り着かないから練習するんであって、マリの場合既に限界にたどり着いてんだろ?なら後は修行じゃなくて学びだ。こっちでは辿り着いてるかわかんね〜けどな。」


「限界にたどり着いている?・・・、カンストプレーヤーであると言う事ですか?」


「カンストって〜のが限界ならそうじゃね?俺はゲームだっけか?その世界は知らない。知らないけどどんな世界にだって限界ってものはあるし限界=打ち止めってわけでもない。だからそのゲームをやめろって言う木本を否定した。やって赦される世界と許されない世界があるし、マリは勝手にうろうろしてるから赦される世界がなくなると、本当に何が出来るかも分からないままやらかす。」


「なら逆に聞きますが何故マリちゃんは桃やカボチャを生み出す事が?」


「そりゃぁ国が認めたからだ。元がどうのこうのじゃなくてマリはマリとしてゲームの世界にも根を張ってるし、こっちの世界にもマリとして根を張ってる。同じ姿の者がどこにいようと同じ事が出来ないのはおかしいだろ?」


「ならマリちゃんが狐娘ではなく、人として性別が変わったくらいならこうはならなかったと?」


「う〜ん・・・、ならない事はないけどもっとおとなしいだろうな。だって人が火をつけるならライターとかだろ?出来ない事もないだろうけどやる意味がない。だって人間としてあるんだからな。」


「気になっているのですが、国が認めたからと言うのは個人データとしてマリちゃんを認めたからと言う話でいいんですよね?」


「?国が認めたは国が認めただろ?どこで誰が生まれるかなんで誰も知らない。でもお天道様は知ってるし周りも知ってる。それが昔、今は産まれたら誰もが知り得る立場になる。だってデータ?とか言う書物で管理してるからな。その管理されてる中でマリが認められたならマリはそう言う者だと形が出来る。アマテラスさんだってそれを許したなら誰にも文句は言えないだろ?それよりなんか食いもんね?腹減るんだわ。」


 座敷童子がそう言うのでマリちゃん用に買っていたお菓子を渡す。かつて神はいた・・・、のだろう。しかし、それは信仰を管理する者であって象徴としていればいいものだった。仮に本当にその様な者がいて誰かにだけ、どこかにだけ奇跡を起こすなら人は信仰せずに奪い言う事を聞かせる対処とする。


 いや、今もそうなのでしょう。奪い合いはしないまでも人はこれだけいるとデータを国へ送っている。神さえシステム構造としてしまったなら、確かにここは人の世でそこで認められたならマリちゃんはマリちゃんとして成立してしまう。それが歪でもナノマシンの奇跡としても。 


「昨日からどれほど食べました?」


「どれほど?結構食ったけど多分そろそろ限界だと思うぞ?」


「限界?」


「おう。ヨチヨチと動くだけで疲れるし、何かを食っても味は楽しめても腹は膨れねぇ。多分、あの桃があればそれだけでいいんだろうけどな。」


「それはナノマシンの機能限界です。再生産されるわけでもないナノマシンが張り付いただけなら、その機能を持続させるにしても限界がありますから。」


「ならやっぱり仙桃だな。食い続けりゃ生きてるフリをしてられる。そういやぁ、時間はいいのか?」


 時計を見れば17時半。少し早めですがマリちゃんのご飯の時間です。座敷童子を部屋に残すのも悪いので日曜日で人の少ない廊下を歩く。特にこの作業を手間とは感じない。患者を健康にして正常にする事を医者として目指した時から、容態を確認し状況を理解するのは私の仕事だ。


「マリちゃん、夕食の時間ですよ。」


「ちょっぱやで食べます!」


「イベントですか。プレーしながらでも食べられるでしょう?わざわざログアウトしなくてもいいですよ?」


「いや、コレはケジメ的なものでして。プレーしながら食べたら透過しても何食べてるか分からないじゃないですか。あら、座敷童子大先生も来たの?」


 一人暮らしの時はそんな事もしたけど、それはデイリーとかの比較的簡単なクエストだったから。今のイベントだとそっちに気を取られてしまう。何事もリセットするタイミングは大切だよね。ついでに言うと犬歯で舌切そうだし。


「肉ばっかりだな。」


「体的にコレが1番!」


「だろうな。草食うのもいいけど体は肉の塊だから肉食わないと身にならないし。」


「大先生も食べる?さっき栄養ゼリー食べたから分けられるけど。」


「いらね。桃あるなら貰うぞ?」


「桃はないけどカボチャなら出せるかな?」


「ありゃダメだ。」


「ダメなの?野菜っぽいなにかだけど。」


「桃は食いもんだけどカボチャは依代だろ?」


「なにか違うのですか?座敷童子。」


「違う違う。カボチャはあくまで眷属として血肉を分けて呼び出してるから動く。でも、桃は食いもんとして出してるから普通に食える。そう言う法則でルールがあんだろ?」


「確かに桃は燃料兼銃弾とかでカボチャは召喚枠だけど・・・。それなら桃は今の所出せないかなぁ〜。」


 領地防衛戦が終わるまではへそくり禁止だからインベントリにはしまえないのよねぇ。終わって自分の領地で収穫すればまた出せるのだろうか?なんにしても終わらない事には色々と試せないのかな?


「イベント終了は今日でしたね?」


「ええ。23時半までですよ。それまでは周りと戦いまくりですね〜。いや〜、久々に防衛戦やってますけどガチでやる人はよく時間やら体力が保つと思いますよ。」


「マリちゃん的には楽しいのですか?そこまで気に入っているイベントとは思えませんが。」


「う〜ん・・・、面白いですよ?基本的に1人で無双するイベントでもなくてみんなで協力してなにかするタイプのイベントですし、ライブ配信OKって話も貰いましたからね。敷田さんにもメッセージ送ったから今頃SNSやらで告知してると思います。」


「それは気が散らないのですか?割と激しめのイベントだと思いますが。」


「激しいからコメント拾えない時は流しますね。全部が全部コメント拾えるわけでもないですし、戦略やらを流す訳にもいかないからスルースキルも必要ですよ。でもそれってこの姿に対して色々言ってくる人をあしらうのにも役立つんですよね。」


 間違いなく外に出れば尻尾や耳に言及してくる人はいる。アーカイブとして残した映像にしても何で作ったコスプレやらの話は結構出てくる。出てくるけどコレは本物で体の一部。なら、意図的に話を避けるスキルも必要になって来るのよねぇ。


「狐なら化かせるんじゃねぇの?」


「頭に葉っぱ乗せるとか?それが出来たら苦労はしないよ。そもそもトラブルオンラインだと亜人として種族がいるから隠す必要もないし。」


「ふ〜ん・・・。」


 なにか意味ありげに大先生が見てるけど、18時には間に合わせないといけないからガツガツ食べる。棒々鶏でよかった。焼き物だと熱くて冷まさないといけないしね。そんな事を思いつつご飯を食べてログイン!相手あんまり出来ないと言ったけど、大先生がちょっと居座るらしい。


 三枝先生的にも大先生を1人には出来ないと言うし、取り敢えずお菓子やらをお供えして暇つぶしにテレビでも付けておこうかな?普段華澄の所で何してるか知らないけど、多分大丈夫だよね?


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― 新着の感想 ―
座敷童はツキさんに異様にビビってたけど、もう克服したんですかね? 受肉させてくれたから懐いた?
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