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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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75話 18時より前

 ログインして取り敢えず時間があるのでデイリーから。なんと言うか、狙い澄ましたように召喚所の掃除だよ!大麻をフリフリしつつ1週してデイリーミッション完了。コレが巫女の仕事なら神様はかなりおおらからしい。中を覗くと他のプレーヤーが個人のジンクスを試したり、普通にハンマー叩き付けたりしているので祈りの場と言えるのかは微妙・・・。


 ただまぁ有料ガチャ引いてるし、お布施ではあるのかな?う〜む・・・、確かに生成AIがNPCやらを管理しているとは言え普通に話すし表情もあるから、そこに誰かいると思えばいる事になるのかも。


 そんな事を思いつつ領地へ。防柵張ってるから攻め込まれていないものの、外の様子はかなりカオスだな。最終日と言う事で森は焼き払われて焦げた木が見えるくらいで、ほぼ遮蔽物とは言えないし、残った領地が詰め込まれて来てるからすぐそこには別の領地と言う構造になっている。


 どの領地もフル戦力で打って出たいけど、終了時刻を考えると資源が保たない。確かに指揮官は強力なユニットと言えるけど倒されてからの復活を考えると深追いも出来ないし、何より防衛戦と言うだけあって攻めるよりも守る方が有利なのよねぇ。


 大軍率いて走り回りたいのは分かるけど、ワンタッチテレポート進軍なんて便利な事はないから歩きで行くしかない。行くしかないけど指揮官がいないと燃料が心伴いユニット達は行動不能になればごっつぁんPTとして美味しくいただかれてしまう。


 ユニット倒して弁当が残ってればそれで補給出来るけど、そんな事は稀で大半は食い尽くしてしまってるからなぁ・・・。飛行ユニットに関してはエネルギー切れ=墜落で編隊組まないと補給がかなりシビアになるし・・・。


 割とガチ目に戦争を落とし込んでるから補給なんかにはかなり煩いし、攻撃やらの行動しないとエネルギー減らない様なゲームをしていると資源消費の激しさに面食らう。まぁ、だからこそ逆に言えばハマる人はハマって毎日領地の調整やらユニットの強化増産、野菜の栽培に種集め肥料集めと忙しい。


「?・・・、?!?!?!えっ?なして?」


「ツキさん速いですね。」


「デイリーこなしたりしてからだけど・・・、なして?」


「秋ドンさんと僕達の勝率条件ってモノを見直してみたんですよ。上位入賞、コレって2000番以内ですよね?」


「参加領地数によって変わってくるけど概ねそれくらいかな?PTゼロの領地は参加者数を増やしてるけど、基本的には無視していいし個人でPVPやら無双ゲーしたい人はPT持ってるけどそこまで多くない。たまに傭兵プレーしてるひともいるけど、基本は斥候役として雇われるからな無視していい・・・。うん、今回は2000番までだね。そこに入れば上位賞が貰えるし、1000番以内とかになればどんどん豪華になってくる。」


 ゲームマネーやらアイテムで交渉して傭兵として雇われる。賢いプレーヤーは考えました。張り付く時間も長いし勝てるかも分からない相手と戦いまくってPT稼ぐのはしんどい。何処かに抜け道があって楽なPT収集方法はないかと。そうだ!大量に傭兵雇って無血開城してもらおう!


 そこそこプレーしているプレーヤーに話を付けて大量にユニットを増産してもらい、全て刈り取った後に領地を落とせば、それだけで数千PTを楽にゲット出来る!事前交渉も物品や金銭でのやり取りも戦のやり方だよね?ランダム配置でもそこに行けば無償でPTゲット出来るならやらない手はない!


 はい。初日から大量にPT持ってれば目を付けられるし、最終日だけ参加しようとしてもゼロPTだと退去させられる。なら、適当なユニットでも倒してPT持たせればいいよね?と、した所で今度は他のプレーヤーが襲撃して回る。


 結果として出来ない事はない。出来ない事はないけど余程運が良くないとPTとしての旨味は薄い。なにせ領地停止やら侵入襲撃されると資源も奪われるし、ユニットもどんどん破壊されるからね。そんなPTを取りに行くくらいなら普通に戦った方がPT稼げるし、指揮官単騎で走らせたとしても辿り着けるかも分からない。


「だから僕達は虎の威を借る狐作戦を敢行する事にしました。」


「しましたって、バルサミコスが目と鼻の先だとかなり危なくない?」


 いくつか領地と空き地を挟んでいるとは言え、ほぼバルサミコス帝国領地の眼の前に俺達の領地はある。好戦的な御三家は戦えるならどんどん戦を仕掛けてくるし、防柵が切れたら蹂躙劇が始まるんじゃないかな?いや、うん。外のカオスは多分バルサミコスと戦ってる他の領地の人達だろうし・・・。


「それがそうとも言えないんですよ。既に朝から乱戦状態の所もありますけど、基本的に防柵張ってる所が多い分、戦う相手は否が応でも限られてきます。僕達の前にある領地は僕達よりも後に防柵を張って開所まで時間がありますし、他の領地は大規模領地にまだ攻め込もとしないと。結果として、ここに攻めてくるのは迂回して来るバルサミコスか僕達の後ろの領地になる。それに、狭められたって事はそれだけ気を配る所も増えてきますからね。」


「話は分かるけど大胆な作戦だなぁ・・・。ヤバくなったらまた領地転換?」


「ツキさんオッスオッス。ヤバくなるんが狙いやで。防柵解けたらウチ等はユニットの半分使うって全方位に突撃かます。そこにプレーヤーが集まって来たら適当に間引きつつ、バルサミコスの出陣を待つ。バルサミコスが出て来たら釣ったプレーヤー達と今度はバルサミコスに突撃や。ウチ等はどう足掻いてもバルサミコスやらに戦力として勝てんさかい、他のプレーヤー達の行き先を絞るんが狙いや。」


「それって領地保ちます?戦闘狂共の進軍先にここもあるんでしょう?」


「ええ。だからウチの強みである多数の飛行ユニットを使います。初日から抑えて運用してましたけど18時頃までにほぼ使い切ってしまうか、数機残す程度にはなりますね。領地の守りは爆撃機とバリスタやゴーレムで凌いでと言う流れになりますね。不確定要素は・・・、はっきり言って多数ありますけど上位目指すならここから動けないのもまた事実です。」


「まぁ、やるならやるで楽しもうかな。」


「契約者の判断基準が狂気じみているな。いや、稀人とはそう言う者か。」


「それ酷くない?妖精王。基本的に私達の判断基準は楽しいか楽しくないかだよ?」


「我からすれば戦って死んで生き返り、更に戦って死にに行く理由が楽しいか否かと言うのはおかしく思える。それこそ痛みさえあると言うのに。」


 妖精王が微妙な顔をしてるけど、確かにVRMMOには痛みと言うか痛覚刺激をする部分がある。でもそれはちょっと痛く感じるとかだから死ぬわけではない。でも大先生が言う境界的な事を考えると妖精王の考えも分からなくはない。


 だって走り回ってモンスターやらプレーヤー・・・、稀人同士で殺し合いして、共闘して何処かに出かけては何かに首を突っ込んだり巻き込まれたりと、実際にいたらあまりお近付きになりたいタイプの人間ではないし、判断基準が楽しいか否かと言うのもまた何処かズレているのだろう。


「ケルト人じゃな。敵同士でも飯を食うなら武器を置き、それが終わればまた殺し合う。王よ、ワシ等は目的の為ならなんでもするぞ?ただし楽しければの。」


「フロムさんが来た!そう言えばケルト神話とかってそんなんばっかりだった様な・・・。」


 と、言うか妖精王ってオベロンとかじゃないの?妻の名前的にオベロンだと思ってたけど・・・。あぁ、色々混じってるからケルト風味が薄いとか?なんにしても妖精王は妖精王だし深く考えなくてもいいかな。深く考えると王に対して軽口叩いてるから不敬とか言われそうだし。


「ケルト人がマッチョなら私はバイキングの嫁になる!」


「食べ放題の嫁とな?」


「ツキさんそれは寒いで?」


「当然ですよ、なにせアイルランドは日本より寒いんですから。と、言いつつも実は思ったほど寒くなかったりもするんですよねぇ。」


「結局どっちなんかい!」


「おっ!秋ドンさんウイスキーでも飲みました?温まってますね〜。と、サクラさん用事は大丈夫でした?」


「思ったよりも速く終わったよー。何もなければ夜まで行けるかな。」


「夕飯はちゃんと食うんじゃぞ?」


「栄養バーとかで・・・。」


「あっ、私は普通に夕食の時は落ちますよ?」


「病人やからしゃあない。ローテで17時頃から夕飯タイムにしよか。18時にぬけられるんは厳しいし。ツキさんは時間決まってるなら言うてな。」


「あ〜・・・、先生にメッセージ送っときます。」


「病院ってそんなでしたっけ?と、詮索はやめときます。」


 用事と言われれば詮索しないし、リアルも詮索しない。それがネットマナー。まぁ、スマートレンズは起きてたら付けっぱなしだし、上級者になればログインを維持しつつ日常生活も送れる。でも、それをしないのはどこかで一旦区切りをつけたいからかな。


 1人飯が寂しければAR表示させたアバターやらキャラクターともご飯は食べられるし、他人から見えなくても確かにそこに本人が呼んだ何かはいる。昔は独り言をブツブツ言う人は変な目で見られたらしいけど、今だと壁に向かって話している人もいれば誰もいないのに手を繋いでる様な姿勢の人もいる。


 基本的に他人のAR表示画像をスマートレンズを通しても視る事は出来ない。そこはプライベートだし、なにを表示させていようと自由だしねぇ。ただ特定の個人をR18状態にするのは違法なのですぐに捕まるし、そんな改造をしてもやっぱりすぐに捕まる。やるならそう言う配給元から買って部屋でやればいいよ。わざわざ外でやる必要はないしねぇ。


「取り敢えずツキさんには話しましたけど、再度この後の流れを言いますね。」


 秋ドンさんと篝火さんが作戦を話だしみんなで聞き入る。もうすぐ防柵も切れるけど色々意見も出るのよねぇ。割と配信者として美味しいと言えば18時以降はライブ配信してもいいとか?


 確かに18時以降は防柵も使えないしずっと指揮したり戦ったりする羽目になる。作戦を立ててその通りに事が運べば確かに楽なんだろうけど、領地防衛戦って大規模PVPだから常にイレギュラーは出てくる。だから作戦が漏れたとしてもその場で臨機応変に対応すれば済む話。出来なかったらって?死んで幽霊になるだけだよ!


 秋ドンさんから各自1回は復活出来るだけの資源は残しておくと言われたけど、逆を言えばその資源もユニットやらに注ぎ込みたい。う〜む、時間次第ではそれさえも吐き出してもらうかな。


「ならワシ達はもうすぐバルスとは逆に突撃カマせばいいんじゃな?」


「14半くらいやから、約3時間半は好きに暴れてええで。但し死ぬな。それだけや。今死んだら18時以降のパーティーは1回こっきりのダンスになるで。」


「そのパーチーには出るぞ?ただ、それまでの感も暴れさせて貰うがな。」


「だね、お兄ちゃん。暴れる為に来てんだから楽しみには参加しないと!」


「我は空か・・・、最高度で指示があるまで隠れていればよいのだな?」


「それが防衛の要にもなります。防衛が切れたらすぐに空に向かってビーム砲を撃つので、それに紛れて飛び立って旋回待機してください。でも、交戦に入りそうならすぐに降りてくださいね。」


「心得た。」


「そいで私が秋ドンさんの補佐として残ると。篝火さんは思いっきり前線指揮してきてね。」


「すいません、我儘言っちゃって。」


「ゲームだから楽しもうぜ!思いっきりやりたい事やらないと楽しめないよ。入賞出来ればなおよし、出来なかったら出来なかったでまた考えればいいさ。」


「ほな、みなさん頼んます!」


 陣形的にはフロムさんとサクラさんが遊撃手でユニット指揮は篝火さんに集約する。わざわざ前線で指揮しなくてもいいじゃないかって?マップだけ見ててもプレーヤーの動きは追えないのよね。確かに通信で誰が来たとか有名人なら分かるかも知れないけど、大多数は有名でもないただのプレーヤー。


 そんな何するか分からないプレーヤーが山程いるなら、引きこもって指揮するよりも前線で見ながら指揮した方が細かな指示も出来る。防柵が切れると同時に歩兵ユニットが弓を撃って下がり、多数のゴーレムが進軍しつつそれに追従する棍棒持った歩兵。今領地にあるユニットの半分、それが今フィールドに解き放たれた。


「もったいないけど対空砲火!妖精王、合図したら上がって!」


「分かった!」


 防柵はドーム型に見えて直上は飛行禁止区域である。コレは少ないけど上空待ち伏せをさせない為の措置である。けど裏を返せば周囲はいくらでも飛べるし、禁止区域に入っても特に何のペナルティもない。単純に直下攻撃不可とされるだけて、爆撃されても弾いてくれる。


 でも今の狭まったフィールドでは待ち伏せしなくても上空には飛行ユニットと指揮官が飛んでるんだよねぇ!ビーム砲を照射しつつグリグリ動かしてダメージを出していく。バリスタやらとは違ってトリガー引きっぱなしなら延々と極太ビームが照射出来るので目眩ましには丁度いいし、飛行ユニットにはダメージボーナスも入るから楽とは言わないまでも落とせる。落とせるけど、エネルギー消費がパない。


「上がって!」


「っ!」


 妖精王の乗る爆撃機群が太陽目指して一直線に浮き上がる。人だとGなんかの影響を受けたって出るんだろうけど、妖精王ってどうなんだろう?まぁ、元から羽生えてたし大丈夫かな?


「ツキさん左からゴーレム来てるで!」


「大砲の餌食にしてやんよ!転がれ転がれ!!」


「ユニット!バリスタ発射や!取り付かせたらあかん!」


『下は僕が食い止めます!右舷50いけ!』


『指揮官来いよ!PTよこせよ!!その首貰った!』


『思ったよりこっちに来とる!サクラ、回復忘れるなよ!』


『分かった!ヘマはしないよ!って!はやっ!』


『骨があるならワシに回せ。ユニットもアサシンも引き受けちゃる。篝火、ゴーレム1体爆破頼む!』


『消耗が激しい!各ユニットは集まってスリーマンセル、ゴーレムは距離を取って領地に任せる。秋ドンさん、ツキさんお願いします!』


『こんな時くらいしか亜人はトリガーハッピーになれないぜ!直撃じゃなくてローリング狙いで発射!秋ドンさん、エネルギー管理どう?保ちそう?』


『まだ想定の範囲内や!抑えてきた分、余裕はあるでぇ!ちっ!バルサミコは他んところと・・・、カレーが攻めて来とるな。先にバルサミコ潰して夕餉と遊ぶ気かいな・・・。』


 オープンチャットでそれぞれの状況が聞こえてきて、それが文章ログとして残る。これがあると聞き返さなくても読めばいいからね。ただ当初の予定と違って虎の威であるバルサミコスがマハラジャ・カリーとやり出した様だ。


 全体マップで見れば確かにユニットや指揮官が集まってきているのが分かる。他の領地としては結構判断に迷う局面だろうな。18時までやり過ごして少しでも消耗したところに打って出るか、今からPT稼いで順位を上げておくか。


 ゲームと言っても集中力には限界もあるし、状況を見て戦わずに折れる場合もある。俺達としてはワンクッションになってるまだ防柵使用中の領地が折れないことを祈りたい。頼むよ、本当に。勝手に盾にしてるんだからさ・・・。


 無双ゲーしつつPVPする乱戦開始から約2時間。遊撃手を組み替え、ユニットを再整備して出撃させ、危なくなったら空爆して仕切り直す。タスクが積み上がっているというのは時間を忘れて没頭させてくれるし、それが楽しい事なら時間も忘れる。


 ただもう少ししたら夕ご飯ローテをしようとした時に・・・。


『あ・・・、ごめん死んだ!』


 そんな声がサクラさんから上がった。

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― 新着の感想 ―
バルサミコ酢とかマハラジャ・カリーとか食べ物系のチーム名聞いていると、お腹が空いてきそうですね!
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