74話 実は巫女だった?
座敷童子大先生曰く百鬼夜行は危ないらしい。らしいけどそもそもカボチャ出すだけで腹ペコな俺としては大量に妖怪出せと言われても、出す前に干からびる恐れが・・・。そもそもあのカボチャだってカタカタ動くだけだしな・・・。と、言うか形だけ作ってもハリボテなんじゃないかな?
でも大先生はヨチヨチ歩いてる。歩いてるけどそれはそれで問題でない?いくらなんでも小さすぎるし、そんな人いるのかな?医療ポッドとかを売る中で色々と癖のある先生達とは話したけど、人を物理的に大きくするのは割と簡単らしい。
単純に太らせて体積を増やしても大きくなったと言えるし、身長を伸ばすなら骨を継ぎ足してもいい。理想とする大きさと結果としての増大がイコールじゃないからそこまでする人はいないけど、どうしても身長が欲しい人なんかはお金を注ぎ込んで伸ばすのだとか。
海外の俳優とかは伸ばしたんだぜ!と誇る人もいる。その場合ゲームでのリハビリ+日常生活から始めて、更に高度なマシンを家に置いて水泳とか投薬とかするらしい。顔やらが変わるよりも身長伸ばすのはそこまで大きな変化じゃないから規制もそこそこ緩いのよね。
「体を調べてもよろしいのですか?元来妖怪とされる方々は体を調べられる事や、姿を見られる事さえ嫌う方が多いのですが。」
「いいぞ。小人症だっけか?柊と木本が言ってたけど、そう言っとけば医者は納得するって言ってたし、何より食えて味が何時まで分かるか知りてぇ〜。」
「物が食べれるんだ。大先生プロテインバーとかいる?」
「なんかしらねぇ〜が、食べ物ならくれ。」
プロテインバーを渡すと両手で抱えてポリポリ食べだした。割と微笑ましい光景だけど、食べた物ってどこ行くんだろ?色々と教えてもらう予定だったけど更に訳分からない状態でどうしたもんかな。
「和んでる所悪りぃんだが、百鬼夜行の話は本当か?」
「ゲームの魔法としてありますよ。妖怪呼び出してイタズラさせて相手の攻撃妨害したり襲いかかったり。最後は勝手に消えてくかプレーヤーに倒されておしまいですね。」
「仮に・・・、仮にだぞ?それってこっちでも呼び出せたり?」
「う〜ん・・・。カボチャは出ましたけど、カタカタ動くだけだったしなぁ・・・。」
「それって今出せる?」
「出せると言うよりは先生が保管してるよ華澄。昨日出したから。」
「生で見たいのよ。なにが先生たちと違った見解も出せるかも知れないし。」
「先生どうします?善良な狐娘なので許可なく先生の研究や契約を破るにはありませんけど。」
「医院長には私の方からも座敷さんの事含め報告するので出してみて下さい。狐の窓でしたか、私にはそう言ったモノは使えませんが木本さんは扱えるのでしょう?一度そう言った方達も脳波の動き等をモニタリングしたいのですが?」
「交換条件はよしてくれ先生。後で個人データを送る、コレで手打ちにしてもらえないか?」
「分かりました。しかし、カボチャを出す時は立ち合います。よろしいですね?」
「分かった。しかし、そのカボチャを出すのは医者が立ち会わなきゃならない程危険なのか?ツキちゃんどうよ?」
「危険じゃないと思いますけどお腹がすくんですよね・・・。」
「差し入れなら沢山持ってきたわよ?」
「中身は後から確認するので、一旦は私が持ってきたプロテインバー等で凌いでもらいましょう。何を摂取したのかもデータとして必要ですので。では、どうぞ。」
みんなが注目する中、大麻を持ってフリフリ。どうにも注目されて居心地が悪い。まぁ、おかしな事が出来てるから仕方ないのだけれど、コレを出した所で何か分かるのだろうか?そんな事を思いつつ呪文を唱えてカボチャを出す。うん、桃はでないけどカボチャは出るんだよなぁ・・・。
腹が減ったので近くにあったクッキーをポリポリ。やっぱり前よりもお腹の空き具合はマシになっている気がする。コレも何か関係があるのだろうか?
「カボチャカボチャって言うから緑のカボチャを想像してたけど、黄色い西洋カボチャなのな。」
狐の窓を作って覗いていた木本さんがそう言う。ジャック・オー・ランタンが緑だと変な感じもするし、ゲーム中でもこの色だからそこまで意識してなかったなぁ。寧ろイベントでヘッドショットしていたカボチャヘッド達は殆どこの色で、たまにレアなのかメタリックカボチャがいたくらい?
「本人がジャック・オー・ランタンと言うからにはアチラのものでしょう。コレって口とか目があるけど噛みついたりしない?」
「昨日はしてなかったけどどうだろう?三枝先生わかります?」
「咀嚼と言う話であれば、今の所その様な行動は取っていませんね。昨日貰った時点から観察を開始し、眼の前に様々な食べ物や植物の栄養剤等を置いてみしたが減った事は確認されませんでした。それが必要ないからそうなのか、それとも吸収出来ないからなのかは分かりません。」
「座敷と柊は何かわかるか?」
「私にそう言った事を求めないで下さい。実態がある系の妖怪やらは殴れば済みますが、ない系の怨霊や幽霊の類は指示してもらわないと何も出来ません。」
華澄がやれやれだせと言う感じに首を振ってるけど、なるほど華澄の体が結果筋肉質だったのはそのせいか。流石にベッドを共にしてゴツゴツしてるとは言えないし、女性らしい柔らかさもあるから単純に仕事柄鍛えてるもんだとばかり思っていた。
「なにかも何もコレは依代だろ?なんだ木本、まだ吐き足りないのか?それとも狐に化かされたつもりで事実を見ないつもりか?」
「なんだよ座敷、藪から棒に・・・。あ〜・・・、吐く。今度こそ本当に吐く・・・。悪いがちょっとトイレ行ってくる。」
木本さんは顔色悪く出ていったけど大丈夫だろうか?でも、大先生は分かってるみたいだしそっちに聞こうかな?そもそも依代て言われてもピンと来ないし、何が出来るわけでもないからどう扱ったものか。
「座敷童子、依代はいいとして危険性は?」
「あん?そりゃぁ巫女次第だろ?」
「その前に私の巫女設定ってゲームからのモノで、本当に巫女として修行したとかはないんだけど?」
「巫女の修行?そんなもんいらねぇよ。未婚で踊れて綺麗で境界に立ち間を取り持てる者。ほかで言えば人が集まり祈る場所をたまに掃除したりするとか。」
「いや、神社とか掃除したことないし・・・。地域の清掃活動とか顔さえ出した事ないよ?」
「でも真利は神社に行ったら拝礼の作法とか言ってなかったかしら?」
「それは書いてあったりするからで、他の人とおんなじレベルだよ。」
「なら稲荷神社に行って油揚げを置いたりはされませんでしたか?狐が好きならその様な事もされたかもしれませんが。」
「流石にイタズラだと言われて怒られますよ・・・。」
「神社とか関係ねぇよ。八百万の神々って言う様に人が信じればそこには神も仏もなんなら妖怪もいる。俺は出来ねーけど、ゲーム?VRMMO?ともかくそう言った世界で誰もが足を運んでお布施して願う場所を掃除でもしてんだろ?」
「誰めか足を運んで・・・。」
「お布施して・・・。」
「願う場所・・・。あっ!召喚所。」
鍛冶神が治めているらしい召喚所。デイリーで掃除して回ったり、金塊注ぎ込んでいい物出ろと思いつつジンクスで大麻振って、ゴミが出たらお布施と割り切る。この前は召喚所の近くでカボチャも売ってたし、大先生の言う事を考えていくと巫女服着て巫女っぽい事してたわ。
「やってんだろ?」
「でも遊びだよ?」
「遊びだからこそ目をつけられやすいんだろ?大神を見ろよ。神楽は裸踊りが始まりで楽しそうだから岩戸から出て来た、なら楽しそうな所にはそう言った者達が集まる。俺だって家を栄えさせるのは笑い声があるからで、勝手に金儲けに走られたら面白みもない。」
大先生が言う事は確かに筋が通ってる。日本神話だったかな?弟が乱暴でそれを憂いている意味ないからと引きこもったけど、そしたら辺りは真っ暗で神様達は大慌て。集まってどうしようか話し合った末、宴会開いて出てこないからアメノウズメノミコトが更に裸踊りして、それをこっそりと覗いていたアマテラスを他の神様が引っ張り出して世界に光が戻ったとさ。うん・・・、取り敢えず神様達はお遊びがお好きと。でも俺って狐なんだよねぇ〜。
「取り敢えず・・・、どうしたらいい?」
「どうしたら?人の世の話は人の世で決めろよ。勝手に境界を越えて勝手にそこから出た者を認め、祀ろわぬ者ではなく巫女とした。まっ!自由に生きたらいいんじゃねぇーの?」
「うっぷ・・・、そうもいかねぇーのが人の世だぞ座敷。」
「木本か。でもデータとか言うもんで人かどうかも判断してそれがなきゃ、俺達みたいに妖怪として弾かれる。お前達が信じる電気仕掛けの絡繰りはマリを人として落とし込んだ。だからマリは人だし俺達側に立てたとしても、人側にも帰る場所がある。境界に立つのは巫女で狐の仕事だ。」
「・・・。柊、一旦帰るぞ。ある程度話は聞けた。先生、座敷は預けますから数日以内に連絡をください。」
「どうぞ木本さんは帰ってください。私は真利との時間を楽しみますから。」
「柊さんも帰られてください。基本的にマリちゃんへの面会は私か敷田と言う者が同伴しないと許可しません。そして、私は今から座敷童子さんを調べます。」
「私は妻ですが?」
「私は医者です。マリちゃんはこれから用事があると言っていましたし、妻と言うなら夫の用事に無闇矢鱈と首を突っ込むものではないのでは?」
「ぐぬぬ・・・。分かりました、真利としても考える時間が必要でしょう。また来るからね、真利。」
嵐の様に話されて三枝先生含めて出ていったけど、考える時間って必要なのかな?今の所何もしなければ何も起こらないわけだし、魔法やらも無闇矢鱈と使う予定もない。そうなると、元の場所に戻って健康な毎日を送れるように配信しつつ認知度を上げるしかないわけで・・・。
「取り敢えず早めに昼を食べてログインするかな?遅れても悪いし。」
ヨガをしていたのでさっとシャワーで汗を流して、入念にドライヤーで尻尾を乾かしたら月桃の香水を尻尾に塗り込む。華澄が差し入れしてくれた物を食べていいか先生にメッセージで聞くと成分表を共有してくれればいいと言うので、スマートレンズで眺めて共有完了して食べる。
ネギ塩豚丼は美味しい。ネギとかニンニクとか入ってるけど、多少臭うかな?くらいの感覚で食える。よし、ここを出たらか最初に焼肉食べに行こう。
でも判断メッセージどうするかなぁ・・・。基本的にOFFと言うか、国としては食ってるものをスマートレンズを通して検知して、栄養バランスが悪いやら飲み過ぎ食い過ぎと教えてくれるけど、大半の人はメシが不味くなるとOFFにしていて人気がない機能なのよねぇ。
それに指示通りの生活をしていたとしても、病気になる時は病気になるし、俺の様に死ぬ寸前まで行く時は行く。なんにしても誰かから食い物まで決められるのは嫌な人は多い。だからこそ太ってる人もいるわけで・・・。
「どの道今更コレをONにしなくてもいいか。さっと食べて様子を見に行こう。」




