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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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65話 不安定

「話はまぁ・・・、ちゃんとしてるんだがなぁ・・・。アレか?柊の場合内容がぶっ飛びすぎて頭に入ってこないのか悪いのか?要訳すれば分からん事はないんだが・・・。」


「そもそも木本さんは私の言葉をちゃんと理解しないのが悪い。指示された限りの事はしっかりとこなしています。」


「いや、まぁ、なぁ・・・。」


「その点真利はしっかり話を聞いてちゃんと考えてから返してくれる。その中で反りが合う合わないにしても、何が駄目で何がいいかはしっかりと伝えてくれます。」


 木本さんが俺に向けてコイツ引き取ってくれよと言う視線を向けてくる。う〜ん・・・、華澄は真面目で頑固な所もあるけど、結構分かりやすい性格なんだけどなぁ。単純と言う訳ではないけどこう・・・、唐竹割った感じとか?


「あ〜もう面倒になって来た。取り敢えず俺の方をとしてはツキちゃんも見れたし状態も分かったから一旦引き上げでもいいが・・・。」


「そのままココへ来られなくてもいいですよ?主治医としては別の不安事項が発生してマリちゃんに負担をかけるのはよくない事だと考えています。」


「その点は医院長先生と話させてもらいますよ三枝先生。なんにしても見過ごすべき対象には出来ませんしね。おい、柊何時までツキちゃんに引っ付いてんだ?そろそろ行くぞ?」


「木本さんは馬鹿なんですか?私は今日は土曜日で公休です。無給で働くなんてするわけないでしょう?ココに来る時にも言いましたよね?仕事でも来ないでくれと。しかし木本さんは急ぐからと休日出勤としたので代休が付くかもしれませんが、私はなんの申請もしていないのでサービス残業になります。」


「ならお前今日休日出勤な?帰る足がないのは知ってるだろ?それに座敷の奴も見ておきたい。」


「それは横暴では?これからは夫婦の時間として真利と一緒の部屋で穏やかな時間を過ごす予定です。」


「いや、華澄。メッセージも送ったけどあんまり相手出来ないよ?この後の予定もあるし。」


「予定?検査か何か?それなら私も立ち会うわよ?」


「違う違う。昨日からトラブルオンラインのイベントやってるんだよ。華澄はアバターだけ作ったみたいだから興味がないかもしれないけど、結構タスク割くからゲームしながら話し相手になるのは結構ムズい。」


「それって今から私も参戦出来る?」


「横に座ってゲーム始めようとしない。参加申込制だから無理だよ。」


「無らし方ないわね。昼を奢るなら木本さんの足になります。嫌なら公共交通機関でどうぞ。」


(えっ!?柊ってゲームと私どっちが大切なの!?的な事を言わないの?本気で3歩下がって後ろからつい付くタイプなの!?)


「あ〜、好きなもん食え。それとツキちゃんにはさっきの狐の窓の作り方教えとくわ。」


 そう言って組み方をゆっくりと見せてくれた。両手で狐を作り、片方の腕を捻って狐の耳である小指と人指をクロスさせた後、全ての指を開いて人指と中指の間から見通す。指が硬いと結構難しいし、呪文もあるらしいけどそれは教えてもらえなかった。


 でもコレでココにいる人を見ても何かが見えるなんて事はないし、逆に見えたらそれはそれで怖い様な・・・。いや、でもARとかで幽霊とかも見てるしそこまで変わりがない?だって両方とも触れないしねぇ。


「なんか見えるか?」


「窓越しの世界が見えますけど?それ以外は特にこれと言ってはないですねぇ。習っておいてなんですけど、スマートレンズで見るのとは違うんですよね?」


「・・・、どうしてそう思う?」


「何かを挟んで見るのは変わりないなかなぁ〜と。結局は手で作った窓かレンズかの違いしかないですし。それに幽霊?ってお化け屋敷とかだとよくAR演出で出てきますからね。」


 狐の窓で見た世界とスマートレンズ越しに見た世界の違いってなんだろう?本当かどうかは別として木本さんが霊能力者でそう言ったモノが見える人だとして、ARで見た幽霊達は本当に偽物かは迷う。だって紛れ込んでる風な事も言ってたし。


 それに飛蚊症とかの眼病もあるから更に見えてるモノは人によって変わってくるのよね。木本さんが何を見たかは教えてもらってないし、それを自分で見られないならどうこう言う判断も出来ないし。


「なるほどな。境界線って言うのは常にそこにあってふとした瞬間には超えちまう。それこそツキちゃんだって越えようと思って超えたわけじゃないんだろうし、超えたって意識も希薄で何かなんだか分かってないんだろ?」


 木本さんが言う様に確かに何も分かってない。それこそ最初は姿が変わって性別が分かったと思っただけでそれだけだと思っていた。それはそれで大変な事なんだけど、それでもまだ日常と言うかどうにかなる範疇だと思ってたし、先生達もサポートしてくれて日常に帰れると思っていた。


 でもこの人は・・・、木本さんはどこか違う。医院長もそうだけど遠い世界に連れて行こうとしている気がする。それがとても怖い。俺は日常生活に戻りたいと思ってるけど本当に戻れるのかな・・・。姿は変わっても偽ればどうにかなる。ゲーム的な事が出来てもやらなければ知られない。


 俺はここに・・・、普通に生きててもいいんだろうか?この姿になったのは俺の責任で先生達にも迷惑をかけてるし、別かれた華澄の事は信じてるけど、こうならなければ会いに来ることもなかった。なら、それは俺と言うよりはツキとしてこうして存在しているからであって、雁木 真利としての価値はあるのだろうか?


 向き合いたくなくて目を逸らしていたのかもしれないけど、それは多分許される事だと思う。何もかもを真正面から受け止めて常に向き合い続ける事はとても辛くて逃げ出したくなるし・・・。


「お二人とも、それ以上はいけません。選択を迫ると言うのは追い詰める行為です。医者としてこれ以上追い詰めるなら面会謝絶を医院長へ打診します。」


「しかし先生。置かれている状況も分からない人が正常な選択を取れるのかい?」


「正常な選択が取れないからこそ突拍子もない事もします。はっきりいますが木本さん、私達も貴方達もマリちゃんが置かれている状況に対して何1つ正確な判断は下せません。先ずは本人がどう向き合うのか?そして、同行動をしていきたいのか?そこから始めなければ何が起こるかも分かりませんよ?」


「・・・、分かった。柊、やっぱり帰るぞ。」


「ですが木本さん、誰かが側にいると言うのはそれだけで安心感も与えますし、私は今のも真利も肯定します。」


「それでもだ。お前が肯定しても本人の整理がついていないなら薄っぺらい。薬も医療も進んだが、時間が必要な時はやっぱりある。会うなとは言わないが、好きな人の事を考えるなら少しは控えろ。ツキちゃん、俺達はこれで帰る。何が力になるかは分からないが、必要だと感じたらでいいから連絡してくれ。」



________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



 あ〜、久々に不味った。部屋を出て私室で話すと言う三枝の言葉に従い部屋を出る。窓を通して見たから気がはやったと言うのは否定しないが、病室を出る時に見たツキちゃんの顔はかなりかなり不味い。しかし俺達が・・・、妻とのたまう柊も含めて出来る事はない。


 妖怪と言うのはイタズラ好きではあるが、それと同時にとても脆い精神構造をしている。軽口にしてもそうだ。重い状況を軽する為に自身を防衛して『そんなに大変じゃない』と言い聞かせる様に話す。


 ツキちゃんの精神ははっきり言うと限界に近い。そこのバランスを取るのにゲームをしたり、何か好転出来るかもと行動をしていると受け取れる。俺達としても追い詰めるつもりはなかった、しかし結果としてそうなってしまっま。


「木本さん・・・。」


「お前はそのままでいい。」


「そうなのでしょうか?私は真利が好きですが彼に甘えています。それを公転するべきなのでしょうか?」


「しらん。夫婦とのたまうなら2人で話せ。先生も俺もお前よりは深い仲とは言えない。なら、逆を言えば深い仲であるお前が動いて支える以外にない。」

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ツキさん精神的にやばくなってたんですか?!
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