62話 頑張るのは明日から
歩兵ユニットを観察してそろそろこちらへ来るかと言う時に。横から掻っ攫う様に別の領地の歩兵ユニットが現れて戦い出した。両者共に指揮官不在っぽいから後は数の勝負か。ただ面倒な事態ではある。両ユニットの使用者には詳細は別としてここで戦闘が行われていると表示されているし、それを見たプレーヤーからすれば何かあると考える。
特に先にいた歩兵ユニットを運用している所からすれば、そこそこ長くこの辺りを索敵させていたから相手が痺れを切らしたとも・・・。指揮官不在で索敵に出したユニット同士の偶発的な戦闘は珍しくないけど、近くに他のプレーヤーがいるならユニットが勿体ないと救援も考慮する。
「どっちが勝つと思う?」
「練兵しての鍛えてるかとか、どれくらいの規模で部隊編成してるかにもよりますけど純粋に考えるなら襲った方が勝つでしょうね。先にいた方はエネルギー問題がありますし。」
歩兵ユニットに関わらず全部のユニットはバイオ燃料で動いている。なので当然枯渇すれば止まてしまい回収しない限りは廃棄になって一定時間で消えていく。指揮官がいれば『飯食え』と携行燃料と言うなのバフ付き野菜を何回も配布も出来るけど、悲しいかな指揮官不在だと一度きりのお弁当を食べるだけ。単純に索敵させながら歩かせるなら25マスは歩けるかな。そこにお弁当で更に25マス。弁当食べさせて前進させたら使い捨てはほぼ確定かな・・・。
初めて飛行ユニットが出た時は燃料枯渇で落っこちるプレーヤーも多かったなぁ〜。ただ飛ぶ分にはそこまで燃料消費はないけど、空戦やり出すと戦闘に熱中して相手を見てるのに燃料は目に見えて減っていく・・・。兵站か!やはり現地調達してでも兵站か!まぁ、戦って準備8割戦闘2割とかも言うしなぁ・・・。
『秋ドンさんに聞いたんですけど、今参戦しても僕達がいるってバレないんですよね?』
『バレないよ。戦闘したら脇目も振らずに戦闘する。索敵してたら何かを見付け様とレーダーと言う名の目で辺りを見回す。早い話が子供なのよね、ユニット達って。』
基本的に指揮官のいないユニットは最初に指示された行動しか出来ない。なので雑でもいいから索敵して敵がいたら監視と待機と言われればそうするし、襲撃されたら応戦と言っておけば戦ってくれる。あくまでユニットなので視覚共有とかは出来ないのよね。ただ、倒されればそこで死んだと表示される。
『物騒な子供じゃの、力尽きるまで指示がなければ戦い続ける。』
『運営的には子供兵ダメ!から来てるらしいですよ?まぁ、その駄目な兵士を増産しまくって戦地に連れてくのがプレーヤーなんですけどねぇ。と、なんか思いついたの?』
『両軍撃破して罠設置すれば指揮官が楽に倒せるかもと。ユニット撃破が表示されたら確認に来ますよね?指揮官同士の戦闘を嫌うなら来ないかもしれませんけど、気になる地点ではあると思うんですよ。特に後から来たユニットを使ってる人からすれば、行った先で急に戦闘が始まってそのままロストだから。』
『なるほど、なら先に罠用の燃料とか取りに行く方がいいかな?倒してから取りに行ったら時間も足りないかもしれないし。』
『どうせ既にユニットを動かしとるんじゃろ?』
『バレてました?秋ドンさんからもやったれって言われたんでユニット撃破お願いします。』
エゲツない作戦と言うか漁夫の利と言うか、盤面だけ眺めてやるクローズドシミュレーションゲームとは違いMMOである以上、心理戦は切っても切り離せない。その部分を篝火さんはよく理解してるな。出したユニットが1体で撃破されてしまったなら見に行く気にはならない。なら、部隊単位で運用したいたユニットが全部撃破されたら?
ソロなら領地があると警戒して近付かない。でも盟主を決めて複数人でやってたらプレーヤーにどの規模の領地なのか、或いは本当に偶発的な戦闘だったか領地があるなら自陣から近いのかを確認させに行く。流石に葦束炊いててもね、近距離までプレーヤーが来れば領地は露見してしまう。それが発見される5%でもあり、敵ユニットに気付かず放置したプレーヤーの不備。
悪い運営はねぇ、複数人でやる前提で領地防衛戦を作ってるんですよ!まぁ、VRMMOである以上複数人で参加が本来の形なんだろうけどさ。そんな事を考えている内にユニット同士の戦闘は後から来た部隊が優勢な様だ。どうも後から来た方はそこそこなユニット数で部隊編成しているし、燃料もまだ潤沢なのかな元気に殴り付けている。
「さて、数も減りましたしやりましょうか。」
「だな。ワシは右から、ツキさんは左から頼む。」
カウント3で一気に動き、索敵行動を取る前に背後から叩き伏せていく。昔あったオービスとか言うものじゃないけど、目が光ると見つかった判定でいい。それを光らせない為にユニットの影に隠れつつアサシンプレー。残っていたのは5体と無傷じゃないからさっさと倒せるな。
そうこうしている内に燃料の詰まった爆弾用の樽を担いだ援軍が到着。そのまま穴を掘らせて樽を埋めて地雷件ブービートラップへ。上手く引っかかってくれれば結構な被害が出せるだろう。
「しかし、新手は元気な分領地が近そうですね。」
「どうだろうな?使い捨て前提で走狗の様に手当たり次第に交戦しろと命じてればユニットはそれを完遂する。ソロで参戦するならユニットは惜しいが、そこそこの規模なら索敵優先もあるじゃろ。」
「その辺りは盟主のバランス感覚ですね〜。戦力が減るのを嫌がるか減っても指揮官がいればいいと考えるか。そもそも防衛戦と言うだけあって攻めるよりも守る方が有利ってのは変わりませんし。」
そんな事を話しつつ樽を持ってきたユニットを監視と索敵と言い残して領地へ。コレで指揮官かユニットか判断もしてくれるし不用意な戦闘も避けつつ連絡してくれる。何気に落とし穴作る魔法ってこう言う時便利なんだよなぁ〜。頭だけだして穴に入っててもらえばいいし。
「戻りましたよ〜。全体マップに動きってありました?」
「結構戦闘が盛んみたいやな。身バレした領地なんかがマップに表示されとるけど、今やと殆どは参加賞狙いやない?」
「篝火さんが見付けたうちの近くの領地も表示されてるから敵が来るかもね。でも、先に私と王様で中身は掻っ攫ってきたよ。」
「やっぱり空だったか。」
「いんや?大きいのになんかレベルの低い領主しかいなかったから、ボコって大樹まで伐採してこの地域からご退場してもらった。」
「勿体ないと言うかなんと言うか。」
領主防衛戦の勝ち方には2パターンある。1つは相手の領主や盟主、ユニットを倒してポイントを稼ぐ。もう1つは完全に領地を停止させてポイントを稼ぐである。戦闘して倒せばユニットなら10pt、指揮官撃破なら50pt、盟主、領主撃破なら100ptとなる。なら戦闘を繰り広げるのが早いと思うかもしれないけど、溜め込んだポイントは領地を完全停止させられると停止した相手に60%持っていかれるし停止ボーナス事態も200ptが入る。
つまり、空領地を見つけてガンガン停止ボーナスらやを稼げは初日にソロでも上位に顔を出せるけど、そのポイントを見た他の領主からは常に狙われ続ける。なので初日は派手に動かずある程度周辺状況を確認しながら、中間くらいの位置にポイントを置けると最終日にも1位の目が出てくる。
「アサシン撃破にユニット撃破、サクラの領主と完全停止でワシ等の所は800ptくらいか。既に上位陣が既に1万ptくらい稼いどるが。」
「ええんよええんよ。それだけ稼いだっちゅう事はそれだけ資源を使い潰したって事やし、明日になれば目を付けた他の領主から狙われるんは目に見えとる。ウチ等は人少ないから作戦立てて動かんと潰されるやろ?なぁ、篝火参謀はん。」
「ですね、ルール考えると明日の夕方から動くのが吉で今は資源増やしたり小競り合いくらいが・・・、あっ。指揮官消し飛んだみたいです。結構ポイント入りましたよ。」




