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狐と言えば・・・巫女!  作者: フィノ


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60話 空爆

 いい行動が出来るからと言ってプレーヤーに取ってのって最善とは限らない。はっきり言うならプレーヤーとは機械である。いいとか悪いとかではなく、出る結果にしか興味はない。物凄く汚い気言い方をするなら、綺麗な選択肢を選んだとしてもそれが正解である確率はほぼゼロ。それはテキストでまざまざと書かれる。


 千人を指揮したからと言って、それを全員死ぬしか結果の見えない場所に送るのか?勝率を上げるためならプレーヤーはやる。寧ろ、プレーヤー自身が個人勝利ではなくチーム勝利を目指したら必要な時はさっさと死地に飛び込む。


『ごめん!アサシンに見つかった!』


「あら、サクラさん見つかったか。倉庫から運搬してたから仕方ないけどどうします?声の感じ的に救援に行けば間に合いそうですけど。と、言うか妖精王は何してんの?」


『我は歩兵を屠っている。ただ、稀人相手では分が悪い。』


「サクラ、相手は手練か?」


『分かんないよお兄ちゃん。多分魔族だけど早い!』


 真正面からやり合うタイプのサクラさんにアサシンは確かに分が悪いか。ここで指揮官が殺されて資源を使うのも勿体ない。なにせせっかく倉庫から強奪して来た物だしね。時間経過で復帰するのを待ってもいいけど、アールさんも見かけたしなぁ・・・。


「僕が加勢に行きましょうか?瞬殺されるかもしれませんけど、サクラさんを残した方が勝率は高いでしょう?妖精王は分かりませんけど。」


「いや・・・、ワシが行こう。お前等を連れて来たのはワシだしな。それに、アサシン相手ならやりようもあるわい。」


「フロンさん勝てるんかいな?」


「サクラのレベルが150に足りないくらいで、森とは言え相手を魔族と分かるならレベル200はいっとらんだろ。流石にカンストアサシン相手に1人なら負けか相打ちを覚悟するが、そうじゃないならやりようもあるわい。」


「ウチは今日知り合ったばかりやけど、ツキさんどない?」


「う〜ん・・・。下剋上ありありのゲームですけど、魔族アサシンならまだ勝てますよ?まぁ、倒しきらなくても撤退させてもいいですし、初日で始まったばかりって考えると相手も深追いはしないでしょうね。」


「ならお願いしよか。なんかいるもんある?」


「いるもの・・・、空爆は頼むかもしれんな。」


「なら換装しとくで〜。」




________________________

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



 因果なものだ。医療に携わるからとゲームをして、それが思ったよりも面白くてハマって娘や知り合いの息子さんを連れてこうしてプレーをする。現実世界の体はそこそこの歳で働き盛りも少し過ぎ部長と言う地位も得た。そして、その中であの事故があった。


 カウンセリングを受け本人からも無事だと言うメールを貰い、悪夢として見る事は少なくなったが出来れば彼とはもう一度会いたい。しかし、会って何を話せばいいのかと言う部分で動きが止まる。助かって良かった!それは事実だが、その前の部分で私は恨まれているのかもしれない。


 彼にトラックに乗る様に指示したのは私だ。その末の事故で彼は炎に包まれながらも助かり、彼自身からも助けてくれてありがとうと感謝の言葉も貰った。ただ彼の姿を見ていない以上、本当に五体満足で無事なのかは分からない。


 いくら医療が発達し、夢の様な再生医療の方法があろうとも、本人の記憶にはあの事故の事が残り続ける。面会謝絶が続いているならやはり後遺症があるのだろうか?よそう、会ってもない彼を勝手に推測するのは。


 カウンセリングの敷田先生からも『考え過ぎもよくないので、なにか別の事に打ち込んで下さい。陳腐と思われるかもしれませんけど思い詰めれば心は弱りますし、そうすればまたマイナス方向に考えてしまいます。趣味があるならそれに没頭して一時的にでも思考をリセットして下さい。』と言われた。だから、定時退社してこうしてゲームを楽しんている。


「ぅお兄ちゃ〜ん!!ヘルプ・ミー!」


「分かっとるから叫ぶな。・・・、HPは?」


「我がヒールを施した。危険推移ではないが半分を切ったところか?」


「そりゃあ助かった、ありがとうよ王様。ココはワシに任せて物資持って領地に帰れ。」


「分かった、お願いね!」


 引き連れは兵は殆ど倒されたか。運搬している時に兵をやられると回収した物資は水の泡。最初からなかったものにされてしまう。プレーヤーではなく先に兵を倒しまくったと言う事はソロではないな?どこぞのクランの狗か、はたまたプレーヤーをいたぶるのが好きな変人か。なんにせよアサシンプレーをやるならPVPに飢えとるんじゃろ。


「亡国の騎士マント、破城槌、足軽サンダルに近衛兜。森も平地も水場も山も、どこでも戦える装備をそれぞれ1式持ってきたがさてはて・・・、礫舞!」


 サクラと王が動けば木の上からカサリと言う音が。地面を掬い上げる様に槌を振るい石の散弾を飛ばす。目眩ましも兼ねた攻撃だが、木をに当たるだけでダメージは出てないな。しかし、サクラ達を逃がすならここでスキルを使うしかないな。


「追従投げ、斬首。」


 連続して礫舞を放ち視界を悪くする中で投げナイフが飛んでくる。アサシン御用達のナイフの影にナイフを隠した投げ技に、高速移動系のスキルで移動してからの首狙いのクリティカル攻撃。プレーヤーに対するクリティカルは頭部や心臓、首はその頭部に含まれるから決まれば大ダメージじゃろう。しかし、このアサシン焦ったな?


「パンプアップ!天地轟雷!ほりゃ!どう凌ぐ?」


 飛んでくる1本目のナイフを槌を振り上げて吹き飛ばし、振り下ろす挙動を一瞬我慢して斬首のタイミングで振り下ろす。如何にクリティカルと言えど、一撃で即死するわけでもなく兜を装備すれば視界は若干悪くなろうとも頭は守られる。


「ちっ!駿馬脚、韋駄天!」


「逃がすと思うか?アサシンの欠点は速度に振る代わりに低い防御力じゃろ?チビマッチョドワーフの防御力と体力舐めなや!決闘の誓い!」


「サクリファイス、それは面倒だ。妖精召喚、シャドウステップ、ミラージュボディ、アストラルアーム。」


「デバフ逃げか・・・。どうしたアサシン、ワシはピンピンしとるぞ〜?」


 数が増えて蜃気楼となり召喚した妖精達をボルダリングの突起を持っようにして登り木の上に消えていく。そして、置土産のナイフ。ガードしたがベノムナイフか。本当にいたぶり系のアサシンじゃの。しかし、姿は捉えた。阿修羅型で腕は4本、長身痩躯でスピードとリーチ重視。


 アサシンと言っても色々なタイプがいる。それこそ供物族ならシモ・ヘイヘの様に狙撃ばかりする奴もいれば、神族だからと見つかる前に魔法乱射して来る奴もいる。割と人族のアサシンが厄介だな。平均として欠点がない分、どんなプレーにも対応しおるし。


「それを料理するのが楽しいからこそのアサシンプレー。安い挑発には乗らんよ。」


 木々の合間からカサリカサリと音がする。増えた分だけ環境音を囮にしやすいからな。よく使われるスキルと言うのはそれだけ有効な場面が多いから使われるもの。しかし、ココは決闘PVPする場所でもなければ真正面から捻り潰す場所でもないんじゃよ。


『空爆頼めるか?』


『ええけど、どんくらいの範囲?』


『ワシを中心に2マス分、100mくらいを消し飛ばせばアサシンは死ぬじゃろ。回避は勝手にするから景気よく頼む。』


『分かったわ。今から空爆ユニットを高高度で飛ばすさかい空爆指示頼むで〜。』


「それは隙だな?」


「嫌よ嫌よも好きのうち、逃げんで遊んでやるよ。ほら、サイクロンハンマー!」


「舐めるな!」


 ツキさんじゃないけどスキルを雑に放つ。いや、あの人は瞬時に判断してスキルを出してるから雑と言ったら怒るか?何時も飄々として図太い人だから酸いも甘いも知った人だと思ってたが、まさか女性だったとはな・・・。今更女性に接する様には出来ないし、本人もそれは望まないだろう。と、言うか結構下ネタも話したがセクハラと訴えられないか?いや、本人が性別をバラさない限り分からないはからそれはないか。


 相手を引き寄せ真空の竜巻で切り刻むスキルは、分身を何体か引き寄せて消していく。しかし、舐めるなの言葉の通り更に分身を出して木の上を走りつつ背を狙ってくる。そりゃあ、目の前にダメージ判定のある竜巻があれば真正面からはこんだろ?


「精密射撃、ダブルショット!」


「ホームランバッティング!ちっ、当たったか。草結び!エリアルバインド!」


「駿馬脚!ミラージュボディ、シャドウステップ!四十八手、スパイラルエッジ・・・。」


 撃ち出された弾丸を大振りで相手に打ち返すが、タイミングがズレて何発か当たる。スタンと拘束狙いの魔法は超加速によりやり過ごされて、またもや分身と更にヒット数を増やすスキルを積んだか。まっ、そうやって熱くなってくれた方がワシとしてもやりやすい。それに、マップには飛行ユニットの当地を知られすアイコンも出とるしの。


「亡国の騎士は復国まで死なず、彷徨い願い夢を見る。」


「そんな飛来物避けのマントなんか切り裂く!」


「空爆開始!」


「っ!駿馬脚!スピードチェイサー!クロックアップ!因果逆転!」


「無駄じゃよ。ここを中心に100m範囲は消し飛ぶ。」


「くっそーーーー!!!!」


 マントに包まり落ちてくる爆弾をやり過ごす。ツキさんとなにか面白い事しようと話して、どこまでが飛来物判定なのか調べてみない?と言う話で試してみたが飛来物とは何も銃弾や矢だけではなく、飛んで来るものならなんでも避けてくれる。


 まぁ、5カウントと言う制限は付くがけどな。防御スキルをどんどん盛りヒールも使って絨毯爆撃を耐える。流石に死なんよな?ここで死んだらカッコ悪い事この上ないぞ?・・・、ヒール!ヒール!ヒール!


「終わったか。どれどれ・・・、地形破壊がないから分からんが・・・、キル出来とるな。」


 初日からこの調子だと最終日付近では更に激しさが増すな。しかし、久々に防衛戦やってるから高揚感もある。

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