閑話 1 クリスマスの出来事 挿絵あり
「メリクリ、メリクリ。」
「ふむ、メリクリ。我としてはゲームにいない方がいいと思うが?」
「釣れない事を言わない。リアルのイベントは別としてクリスマスから年明けはゲーム会社としてもかき入れ時よ?それこそガチャにはクリスマス限定的の文字が燦々と輝き、社会人はボーナスと話し合いつつクリスマスから年明けガチャをどうやって低価格で乗り切るかを模索する。」
「共に過ごす相手がいない者は辛いな。」
「いるけど、多少ゲームするくらいはねぇ。と、言うかティターニアとは会えるの?」
「いない時に会ったりはしている。」
クリスマス・イブと言う事でトラブルオンラインにログインしたものの、フレは全員灰色で誰もいない。まぁ、クリスマスイベント自体はあるけど珍しく戦闘メインではなくてお使いクエストがメインになる。そして、そのお使いクエストもあまり格差が出ない様にと貰えるのはお金とか。
ただ、ログイン特典のサンタコスはみんな覚醒状態で貰えるからログインだけする人もいるかな?まぁ、特典だから使うのは初心者くらいだけど、寒冷地フィールドだと結構便利ではある。砂漠で干からびて死ぬ事はなくても、寒冷地では氷漬けトラップで動けなくなる事はあるのよね・・・。
「いる時に会ってもいいよ?ちょっと捕まえるかもしれないけど。」
「人の妻を捕縛しようとするな。」
「でも、メインコアまた手に入ったら夫婦で領地運営してもらうのも・・・。」
それしたらここが妖精郷になってしまいそうだけど、現実世界でも色々あったし今更な気もするのよね・・・。なんにしても今日はクリスマスだし、さっさとイベントこなそう。じゃないと華澄が騒ぎ出しそうだし。
「それで何をするのだ?」
「簡単な事だよ妖精王。辻プレゼント贈り合い合戦をやる。」
「貰うのではなく?」
「そう!NPC相手にほかの稀人蹴散らしながら、ひたすらプレゼントを贈る。そしたらジンジャークッキーを返してもらって、そのクッキーが後日お金に・・・。」
「税金として帰ってくるわけか。強制的にガラクタ贈られて嬉しいものなのだろうか?そもそもプレゼントの中身は?1つ開けて・・・。」
「駄目!それはNPCの物だから開けたら『箱の中の悪魔』が出る。」
領地にはイベント参加の意思を示すと大量のプレゼントが山積みされる。手に取れるので開けてみたくもなるだろう?ただ、開けると強制的に上級モンスターと戦闘させられるは、ドロップ品はないはといい事がない。なので、プレゼントほどんどんNPCに投げつける方がいい。
「それがどの様な者かは知らないが、開けるなと言うなら開けずにおこう。」
「それがいい、それでいい。ではしゅっぱ〜つ!!ほかのサンタは全員雪だるまにしていいからね。」
「相変わらず稀人の行いは野蛮だな。まぁ、そう言う風にはしか振る舞えないし、死すらも遊戯に組み込む者だからこそ余裕があるとも言えるが・・・。」
参加したら限定的に乗れるソリ型チャリオットに乗り込み、街中を爆走しつつほかのソリを妨害しながらメリクリ連呼しつつNPCを見かけたらプレゼントをシュート!エキサイティング!NPC1人に付き受け取ってくれるプレゼントは3つまで。はよ配らんと配る相手がいなくなると言う、ある意味サンタ泣かせのイベントだけど、NPCからありがとうやらメリークリスマスと返されるのは嬉しい。
なんでもお礼の言葉を貰う事よる自己肯定感を上げる為のイベントでもあるらしい。流石に精神科の方は分からないけど、随所に医療に関わる事が仕掛けられてるからなぁ〜このゲーム。
「そこ!メリクリ!プレゼントを受け取りやがれ!」
「ありがとうサンタさーん。」
「アレを渡したとしていいのか?子供だったぞ?」
「いいのいいの。中身は私達の知らないいいもののはずだし。それに、襲撃イベントでもない限りNPCはダイヤモンド並みに傷付かない。」
「うむ・・・、不思議なモノだな。我とて討伐されるのに。」
「小難しい事考えてると禁則事項に勝手に触れるよ?」
「禁則事項か、それよりもオーランドを配り終えたらどうする?」
「う〜ん・・・、前ならジャイロとかも行ったけど、今回はオーランドだけでいいかな?あんまり時間もないし、妖精王も奥さんに会いたいでしょう?」
「会えるなら会ってもゆっくりしたいし、契約者がいない時は帰ったりもするのだぞ?」
「へ〜、帰れるんだ。妖精郷のクリスマスってどんなもん?と、メリクリ!プレゼントを受け取りやがれ!」
「妖精郷のクリスマスは賑やかだぞ?我々は賑やかなのが大好きで祭りとなれば飾り付けも余興も全力だ。今でも思い出される、空舞う妖精達の輝きに永遠に燃える炎、霜の巨人に邪悪な竜。メリークリスマス、プレゼントを受け取るがいい。横槍が来た様だが?」
「ここは俺達が先に配・・・。」
「ドリフトクラッシュ!からの雪玉キャノンで雪だるまになってゆっくりしていってね!ずっとでいいよ!」
ソリの取れる行動はカーチェイスにドリフトに雪玉キャノン。仲良しこよしのない仁義なきプレゼント合戦だけど、聖夜に流血はご法度なので相手を一定時間雪だるまにするにとどまる。まぁ、行動不能が1番の痛手なのよね。
「あれ配信者のツキちゃんじゃね?」
「誰それ?」
「10月くいから配信初めたリアル基準アバターの人。」
「えっ?ならあの美少女が実際すると?お〜い、攻撃しないからプレゼントくれ〜!」
「視聴どうも〜。メリークリスマス!プレゼントをどうぞ!」
「ありがとうー!!」
配信者をやっていてたまに話しかけられるけど、それだけ認知度が上がったと思えば嬉しい。収益化やらの話もあるけど今の所はお金には困ってないのよね。なにせ保険金が思った以上に高額だったし。
「NPCじゃない者にプレゼントを渡してもよかったのか?」
「別にクッキー貰えないだけだからいいよ?開けたら悪魔が出てくるけどさ。」
「それを知って欲しがる者の気持ちが分からない。」
「いいのいいの。プレゼントを貰う事に意味があって中身はあんまり関係ないからね。妖精王もティターニアからなにか貰えたら嬉しいでしょう?」
「アレとは喧嘩もするが、何かを貰えると言うなら・・・。」
「そう言う事。ほら、さっさとプレゼント配るよ!妖精王はキキャノン打って!メリークリスマス!いい子にしてたからプレゼントをどうぞ!」




