5話 目覚め
八幡さんに言われて音声認証でログを表示させる。仕様書通りなら今このポッドは私にしか扱えない。一時的に認証コードを使い操作してもらったけど、それはゲストユーザー的なものでそのコードは今殺した。
スキャンデータを見るけど確かに酷い。人の生命力がなまじ強すぎるからこの状態でも生きていられたとも言えるし、裏を返せば強すぎるから苦痛が長引いたとも言える。普通なら・・・。いや、雁木 真利と言う人にとってはこれが普通なのだろう。生命力と言う不確かな物は平均化も出来ないなら個人差もある。
それこそ人は思い込みで死ぬ事もあれば、なんでその状態で生きているのか不思議な状態で生きている人もいる。医者と言う立場上、人には死んで欲しくない。でも人は死ぬしそれを看取ったからと言って、私が拒食症を発症して痩せ細り死ぬ事もない。医者とは誰かの死を伝えた次の瞬間には昼食を食べている様な生き物だ。
「・・・?八幡さん、雁木さんは成人男性ですよね?マリと言う女性的な名前ですが。」
「そうですよ?僕はそこまで親しくはないですけど、よく部長と仕事の話をしている普通の男性です。」
「・・・、そうですか。」
「どうかしました?まさか容態が悪いとか?接続は完了して電力供給も安定してますけど。」
「医者としての守秘義務から詳しくは話せませんが、容態そのものは安定しています。すいませんがこれからは医者の領分なので八幡さんは退出して下さい。」
「分かりました。部長の方には容態は安定していると伝えておきます。」
八幡さんがなにか言っているが、今はどうでもいい。生返事を返しながらログを読む。そう。容態は、だ。なんだコレ?なんだコレ!なんだコレ!?ログを読み返せばポッドに入ってからの経過は分かる。全身熱傷から始まり両足の膝下欠損に骨折脱臼、鼓膜破損にと放っておけば直ぐにでも死んだだろう。しかし、彼は運がいいのか医療ポッドに入れられ治療を受けられた。ただそこで誤りが発生した。
生体データだ。最近では健康診断結果も医療ポッドを使う際にデータとして読み込ませる。まぁ、普通のポッドなら投薬目的で使われる為、身長や体重と言ったものは重要視されない。清々太り過ぎていれば脂肪を排出する薬を投薬されるくらいだろうか?
しかしこのポッドとバイオナノマシンは違う。投薬も行えるが本質的には再生医療に重点を置いている。だからこそ今回の様なケースでは真価を発揮すると思い使用を許可した。許可したのだが、この生体データはなんだ?参照された生体データは明らかに人の・・・、普通の人間のデータではない。
「まさかアバター?ゲームデータを生体データとして保存していた?それをバイオナノマシンが再現しようと動いている?・・・、いやまさか。そんな馬鹿な・・・。しかし・・・、治療後の姿を表示。」
『モニターに表示します。』
外見年齢は10代半ばから後半。それよりも目を引くのは耳と尻尾。明らかに人なものではなく・・・、哺乳類でさえない。ピンと立つ三角の耳にやたら本数の多い尻尾は膨らんで見える。モチーフは狐か?確かに動物実験を行う際に様々な動物のデータはインプットした。それを引用して身体を形成しているのか。それに性別も変化している?
下半身の火傷は特に酷く、いくら再生医療に重点を置いていたとしても限界と言うものもある。外見的には正常でもその機能、端的に言えば生殖機能まで復元出来るかは微妙な所だ。それこそ竿の切断や断裂なら一般的な外傷としてまだ治せるだろうし睾丸破裂もどうにかなる。
しかし、ゆで卵を生卵に変えろと言われたら流石に匙を投げる。だがここでもアバターか。アバターの性別は女性でそもそも女性には竿も睾丸もない。さてどうしたものか・・・。
「治療シーケンスの停止は可能か?」
『治療シーケンスを停止した場合、患者は高確率で死亡します。安楽死を指示するなら同意書を読み込ませて下さい。』
治療停止=死。なら結果を変更するのはどうだろう?現状アバターを元にナノマシンは再生を試みているが、それを本来の雁木さんの生体データを用いた結果に変更すれば男性の雁木さんが復元出来るのではないか?心の葛藤はあるが大急ぎで柳田さんに連絡をして本人のデータを送ってもらい、それをポッドに読み込ませるが・・・。
『元データとの齟齬を確認。結果変更を行うと治療を一からやり直します。その場合患者の体力が保ちません。死亡リスクを踏まえた上で実行した場合、結果次第では医療裁判にかけられます。また、ポッドの実行データ及び指示データは裁判の際に証拠として機能します。新たなデータを元に治療を行いますか?・・・、YES/NO』
「NO。」
『現在の治療を続行します。』
現状からの変更も無理。確かにあの状態から治療していき途中で方針を変えろと言われたら、コイツを殺せと言っている様なモノだ。さて、なら次の手はなんでしょう?現在の治療が完了すれば雁木さんは狐娘として出てくる。意識がどの程度で戻るかは分からないものの、脳波による呼びかけに答えてくれれば比較的遅くはない。
そこまではいい。私としてもそんなけったいな生物を治療目的で調べられるなら願ったり叶ったりではある。ただ治療を許可した医者が私で、このポッドの医療認証は私しか現状出来ないと言うのが問題と言えば問題か。意識が戻り姿が変わり、それを受け入れられるのか?医療ミスとして訴えられるのは避けたい。
なら治療完了後に体力が戻るまで療養してもらい、再度医療ポッドに入れて本物の雁木さんの生体データを読み込ませて治療する・・・。無理だな。こんな代物があるのに医師が未だにいる理由、それは人の悪意を未然に防ぐ為だ。
過去、ナノマシンや医療用ポッドが実用化された黎明期には、様々な病が素早く苦しみも少なく治ると言う光の側面を多大に見せたものの、同時に違法なナノマシンやポッドを利用して他人に成りすまして悪事を働くと言う事も合った。流石に身長を小さくする事は不可能だったが整形手術の様に顔の輪郭を変える、剥げた頭に髪を生やす、髭を生やし筋肉質にする等々が行われ社会的な問題となった。
そこで医療ポッドを作る開発者と、ナノマシンを研究する医者と、それを仲介する会社とで別れ、どれか1つが揃わなければ治療が難しい状態になった。だから私は柳田さんの会社に発注はかけてもその後何処の会社がポッドを作るかは知らず、川端さん達は誰が発注したかを完成するまで知らない。そして医療ポッド自体にも何重ものプロテクトがされる様になった。
その中で病人以外には治療出来ないと言うものがある。当然と言えば当然のプロテクトだが、好きに他人に成りすましたい人に取っては大打撃で、成りすます為にはまず何らかの疾患を患う必要があり、ポッドはスキャンデータを元に投薬治療を行う。
一応美容整形の分野でも医療ポッドは使われているけど、どの審査が必要でそれ以外となれば人の手作業で行う。その際医者からもポッドからも生体データを取られ自動的にデータベースに登録されるし、闇医者や自分で勝手に整形した場合はポッドにロックがかかりすぐに警察へ通報される様になっている。そもそも医療ポッドはかなりの電気食いなので違法に使えばバレるだろう。まぁ、電力会社が電気メーターの監視や警告を無視していなければだが・・・。
と、思考がそれたが健常者として出てくる狐娘雁木さんが、元の雁木さんに戻るにはかなりややこしいプロセスを経なければならない。全身整形レベルの治療申請を国に受理してもらわなければならないし、今ある狐娘としての生体データも破棄してもらわないといけない。
ゲームではないので過去の生体データをロードすれば元通りなんて言う話はなく、更新されたデータが最新の物である以上、過去の物は個人で保存でもしていない限り自動的に廃棄される。さて、どうしたものか・・・。兎にも角にも治療が完了し本人の意識が戻らない事には協議のしょうもないか。
________________________
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『もしもーし、意識ありますか〜?』
「・・・。」
なにかが聞こえた様な聞こえない様な・・・。いつからだろう?とても怖い事があってそれから逃げようとして、でもダメで結局その怖いモノ?に捕まって・・・、捕まった?捕まったのか?ならここは?以前よりもなんだかはっきりしてきた気はする。以前っていつだ?何かをしていた気もするし・・・、怖い事から逃げていた?
いや?それは違う気がする。怖い事は突然だった気がする。ならその突然の前は?突然の前?それはいつだ?いつ・・・?なんか社で大麻を振っていた?振って・・・、なんかいい事があった?あった!
『もしもーし、・・さん意識ありますか〜?』
そうだそうだ、大麻が覚醒したんだ。えっと・・・?どこまで思い出せる?確かツキだったよな?妖怪で尻尾が10本あって、そこそこ流行ってるゲーム・・・、そうだそうだ、ツキは持ちキャラだ!そうなると・・・?
『もしもーし、雁木さん意識あります〜?』
「っ!」
「あら?良かった、ようやく脳波呼びかけで目が覚めましたか。ここが何処か分かりますか?」
「・・・?」
「声はまだ上手く出せませんか?腕や足、尻尾や耳は動きますか?うつ伏せ状態で寝ていて苦しさは?」
ガンギ・・・、雁木!そうだ俺は雁木 真利だ!なんか思い出せそう・・・?取り敢えず温いので寝る?この顔の両脇にあるベルベットと言うには毛長すぎるクッション的なモノが温い。なんか話しかけてくる人がいるのは分かるけど、身体が鉛のように重い。歳と言うには早い・・・、多分早かった?目だけであたりを見るとどこかの病室?黒い物干し竿っぽい物もあるけどなんだろう?
「雁木さん、いえ取り敢えずマリちゃんと呼びましょうか。私は三枝です。東亜メディカル技研の三枝、分かりますか?」
「・・・!」
東亜メディカル・・・、技研?そうだ!俺はそこへ行こうとしていた・・・、はず?行こうとして辿り着いた?いや・・・!!!!!!!!!!!!
「!!!!!、!!!!」
「落ち着いて下さい!ゆっくり、ゆっくり深呼吸して!・・・、駄目か。鎮静剤を打ちますね。」
火だ!炎だ!燃えた!俺が燃えた!!足が無くなった!燃える手でシートベルトが外せず指も焼け落ちた!息をするなと誰かが言った気がするがそれどころじゃない!痛い!熱い!熱い?温・・・、い?
「ゆ・・・、め・・・?」
「鎮静剤が効いてきましたね。今は微睡んだ状態でどこまで理解出来るかは分かりませんが・・・、マリちゃんは助かりました。それだけは覚えておいて下さい。」
「あ・・・、い・・・。」
薬のせいかふわふわする。動かない頭に身体だが、どうやら助かったらし。そうか・・・、助かったなら寝よう。無性に腹が減ってどうしょうもないが、今は寝よう。あぁ・・・、そう言えば連続ログイン逃した・・・、な・・・。
「・・・?」
「お目覚めですか?聞こえてるとは思いますが暴れないで下さいね。次暴れた場合は拘束して脳波呼びかけでの応答となりますので。」
寝て起きたからか妙に頭がスッキリしている。取り敢えず助かったと言う言葉は覚えているし、眼の前の女性が三枝医師であると言うのも分かる。分かるのだが身体が動かない。それこそ鉛と言うか枷と言うか、とにかく指先を僅かに動かす事さえ億劫でおまけに腹が空いている。
「・・・。」
「・・・、了解したとは受け取ります。先ずは・・・、何処から話しましょうか?マリちゃん何処まで覚えてますか?」
「マ・・・、リ・・・、ちゃ?腹が・・・、減った・・・。」
「空腹であると?う〜ん・・・、点滴はしてましたけど固形物は何も入ってませんものね。そのままでいいので食べさせてあげましょう。」
口はどうにか動く。差し出されたお粥と言うか甘い重湯を味わうが、これじゃない。今欲しているのは肉だ!なんと言うか、病み上がりだから胃に悪いと言うのは分かるのだが、重湯よりも肉が欲しい。ただ頭は更に冴えて来たぞ?甘いと言う事はブドウ糖が入ってる?脳のガソリンと言われるだけの事はあるな。
しかし、今更ながらに思うけどなんでうつ伏せで寝かされている?温いクッションはいいとして普通は仰向けなんじゃ・・・。もしかして火傷が酷かったのか?いや、酷いなんてもんじゃない。助かったとは言われたが、だからといって後遺症がないとは言われていない。
流石に今の医学にも限界があるのは知っているし、超高度再生医療はかなり高額かつ難しいと聞く。思い出せば震えてくるが、確かに俺は全身が燃えたし足も失った・・・、と思う。火傷だけならなんとかなるが、深い熱傷は難しく足も多分無理だろう。つまり、俺の身体は動かないんじゃなくて動かすべき物が機能していないのか・・・。
「うぅ・・・。」
「泣くほど美味しかったですか?バランスはいいですが大して美味しいものでもなかったと思いますけど。」
「違い・・・、ます。身体・・・、動かない。」
「ふむ・・・、ログ上では健康体となっていますが点滴だけでは力も出ないのでしょう。咀嚼出来るなら固形物を食べる許可も出せますが・・・、マリちゃん。現状把握は出来ていますか?事故発生時までのですが。記憶に混乱があるならそちらの方も話せますか?」
「燃えた・・・、身体も・・・、足も無くなった。仕事してて事故に合った。」
「正解です。事故の件は辛いので無理に思い出されなくても構いません。身体の件については食事もですがリハビリテーションが必要かもしれませんね。辛いかどうかは別として、マリちゃんには医学上きっちりと動く手足もあります。ちょっと失礼しますが・・・。」
そう言って三枝さんは布団の中に手を突っ込んでまさぐった後に俺の手を引っ張り出す。そう、俺の手だ!肩や肘が引っ張られる感覚も鈍いがあるし、手にはちゃんと5本の指もある!ある・・・、あるぇ?なんか縮んだ?元々色白な方だったけど更に白いし、手の甲やら指に毛もない。いや、火傷で燃え落ちたならなくても仕方がないのだろうが・・・。
「これはマリちゃんの手です。感覚はありますね?」
「あり・・・、ます。」
「なら大丈夫ですね。両手両足指も全てありますし、外見的な傷はありません。まぁ、多少の誤差は発生していますが・・・。」
「誤・・・、差?」
「ええ。生きている以上、人には変化が付き物です。老化により軟骨がすり減って身長が縮む事もありますし、深い切り傷を縫えば治療後が残る事もあります。まぁ、その話は追々しますので今は食べて休んで下さい。」
そう言って口の中に重湯をスプーンで掬って入れてくるが、どうにも食べた気にはならないしマリちゃんと呼ばれるのもなんだか違和感がある。まぁ、友人からはそう呼ばれる事もあったのでいいと言えばいいのだけど、30過ぎてマリちゃん呼びはねぇ。
頭ははっきりしているのだが、身体は動かないし暇と言えば暇だな。そもそも俺はどれくらい寝ていたのだろう?酷い事故だったのは分かるが、思い出したくないので深くは考えない。考えればまた発作的に暴れたくなる。まぁ、この暴れる身体が動かないから叫ぶだけかな?
「どれくら・・・、寝て?」
「事故後約10日です。無理に喋る必要はありませんので今はゆっくりと休んで下さい。と、言っても既に寝過ぎて寝られないでしょう・・・。VRゲームされてましたよね?リハビリテーションの一環としてやりますか?必要だったので毎日ログインさせて頂いていましたが、フレンドから話しかけられないようソロモードにしておきました。」
ゲームにログインが必要?わざわざ乗っ取られる様な重課金データではないから構いはしない。それにソロモードか、みんなでワイワイやるのがVRMMOの醍醐味と言えば醍醐味なのだが、それとは別に綺麗なグラフィックを見ながら静かに観光したいと言う人もいるし、重課金故に協力してくれと付きまとわれて嫌気が刺す人もいる。
そんな人向けのなのがソロモード。モンスターも出現しなければNPCもおらず、ある程度制限はあるものの好きな様にVR世界を歩き回ったり乗り物で移動して観光したりする。ゲームによってはこっちが本編と言うものもあり、ゲーム内で現実世界の車の運転方法を学んだりする事もある。
俺のやってたトラブルオンラインにその機能はあり、ソロモードだと本当に長閑な世界を観光するくらいしかやる事がない。一応、魔法やらアーツやらモーション確認は出来るのでやり込む人はソロモードで練習するらしい。
頭ははっきりしているけど、喋り方がなんだか怪しいのでゲーム内で身体を動かす感覚を取り戻そうかな?先生曰く健康体ならゲーム世界のフィールドバックで身体も動く様になるだろうし。
「やり・・・、ます。」
「分かりました。脳波も確認するのでヘッドギアタイプを使いますね。普通に遊ばれてもソロモードでも構いません。では準備しますね~。」
そう言って出て行った三枝さんが戻りヘッドギアを付けてくれるけど、なんで頭のてっぺん辺りを触ってるのだろう?脳波を確認すると言ってたからそのせい?ただ何かを押し込まれて・・・、押し込む?長髪ではなかったしなんで貼り付けられるとかではなく押し込まれると言う感覚が?
「準備出来たのでどうぞ。」
「はぁ・・・。」
言われるがままにダイブするとそこは見知った街中。戦闘中以外はどこでもログアウト出来るし、ログアウト後は何も残らない。前はカカシやらピンやら縫いぐるみが残るなんてゲームもあったけど、それって墓標なんじゃと言う話から残らなくなった。まぁ、いつまでも同じゲームをしているとは限らないしなぁ。
「さてとソロモードだから誰もいないし、最初にやる事と言えば・・・。」
ドカリと座り込んで右足を持ち上げて足の裏を見る。続いて右足を下ろして左足を持ち上げて足な裏を見る。なんて事ない動作だけど左右のバランスやら全身を使うやらで身体を動かす感覚を感じるにはちょうどいい。
「おっとっと・・・、尻尾がなければ寝転んでい。って、本当に鈍ってるな。」
人にはないはずの尻尾がやけに動かしやすいが、それよりもバランス崩す方が問題かな?いや、その前にこっちなら口動くし舌も回る。まともに話せる事の偉大さと身体がまともに動く事に感謝しつつ誰もいない街を走り回る。現実の身体は正常だからゲームから脳にフィールドバックされれば病室の身体も少しは動かせる様になるだろう。
街を走り回りジャンプして飛び乗った屋根を走り、ムササビっぽく滑空しつつ尻尾でバランス取ったりと色々してみる。一応身体を動かす練習なのでリンゴを積んでみたりもしたが、腹が減ったのでパクリ。データなので腹は膨れないけど味の再現は脳波刺激なので、その人が食べた1番美味し味を再現してくれる。
その代わり異世界グルメになると不味くはないけど、なんとも言えない味になるし、食べた事ない料理だと平均的な味を再現するらしい。結局の所好きも嫌いも旨いも不味い本人判断なのでそう受け取れればいいのだろう。
誰もいない街のど真ん中で大の字になって空を見上げると、途端に怖くなる。事故は事実だ。あの熱さも怖さも夢と言うにはあまりにもリアル過ぎる。そして生きているのもまた、事実だ。
「誤差か、なにがどう変わったんだろうな?感覚は少しづつ戻って来てる気もするけど、よく分からない事の方が多いのよね・・・。」




