223話 ここは任せた、先に行く!
何やらじろじろ見られている気がするけど、配信者として配信しているし、クインズさんもいるから仕方ないか。そんな事を思いつつ扉を潜ると相変わらず真っ黒な供物族が・・・。
ここはリポップ式なのか、先に入ったプレーヤーが魔法を使ったり、御来光ヘルメットで闇を払ったりと、最初に入った時とは打って変わって非常に明るい。
「どうします?」
「そりゃぁ、壁側を歩いてスルーかな?ここで変に戦ってアイテム使うのも惜しいし、なにより今戦ってるパーティーにハイエナするのも悪いし。」
>> お狐様は合法的に楽することに余念がない!
>> まぁ、一緒にここでドンパチしても
仕方ないしなぁ〜
>> 相変わらず、熱線飛び交う戦場でございます
あぁ~、直撃したプレーヤーがヒール連発してる
>> ここで『助けはいるかい?』とか言うと
邪神と間違われて誤射されそう
「それなら、中腰になって駆け抜けようか。」
他のプレーヤーが戦っているのを尻目にパーティー全員でダッシュ!一応、弾除けに俺とクインズさんが中間地点を走り、邪神のところへ向かう階段までほぼノーダメで通過・・・。
「お、おい!そこのお前たち助け・・・。」
「ここは任せた、先に行く!」
「ここは任せろ!先に行け!じゃなくてええん?って、こっちにも熱線来た!」
「ナインテールガード!ほら、走って走って!」
させてもらえることもなく、何体かはこっちにも向かってくる。それを御来光ヘルメットで黒いモヤを払い、秋ドンさんが射撃して撃ち倒す。千切れ飛んだ尻尾の事も考えると、突入前に回復はしておきたいなぁ・・・。
「ええじゃろ。誰が殿になってもええ。それが戦場・・・。」
「狙いは邪神だからな、俺達。下手な消耗は避けたい。」
「次きたらアレを大剣で殴ってみよ〜。」
>> 本気でスルーした!
>> えっ!生贄いればスルーできるの!?
オールスルーではないにしても、ヘイト少い?
>> う〜ん、1回邪神に挑んでるし
パーティーとしては初でも、実力は示してるとか?
>> 他のパーティーがヘイト取りすぎなんだろ?
攻撃すればするほどヘイトは溜まる
>> 確かに・・・
でも、ヘイトは溜まるにしても
ツキちゃん最初に来た時も楽してなかった?
>> 合法的な使い捨てアーマー回復タンクには
なってたな・・・
さて。装備は整えてるしナイトメアキャッチャーも今回はONにして、負けられない戦いと言うか、負けたら後のない背水の陣は完成している。寧ろ『当方に迎撃の用意あり!覚悟完了』とか?ぶっちゃけ、これで負けたらリスポーン地点から外に出ないとちとまずい。
「おっ!篝火さんお年玉シールド覚醒させた?」
「いや、覚醒まではしてないですよ。当たって安いなら揃えようかと思ったら地味に高くて・・・。でも、500万ゴールド所有して、お年玉シールドを装備してれば1回復活って言うのは美味しいのかなぁ・・・。」
「覚醒させると50万所有で1回復活になるよ。その代わり、HPもMPも半分だけどね。」
バックラーとお年玉シールド・・・。警察なんかが持つ盾くらいの大きさだけど、見た目は明らかにポチ袋なシールドを持った篝火さんが、今の話を聞いて覚醒させるか本気で悩んでいる。まぁ、分からない悩みでもないけど、盾を使い続けるかどうかによるなぁ〜。
「そう言えば、ツキさんは大凶おみくじは使わないのか?」
「う〜ん・・・、御札系はそこそこ使うけどどうしようかなぁ〜。一応、装備してみるか。先にサクラさんと篝火さんにアイテム渡すね〜。」
「なら、ワシたちからも渡す。負けそうなら回収は頼むぞ。ロストすると痛いからの。」
そう言ってアイテムを篝火さんとサクラさんに渡し、最低限のアイテムだけ持って、バフを全員で盛ってからいざ邪神へ!チラリとフロムさんを見ると、最初から杭を持ってるあたり本気で封印狙いで動くつもりだろう。
まぁ、杭そのものは全員持ってるから、狙えるなら全員封印を狙っていくつもりだけど、それでも役割分担は大事だしいざという時の迷いも減るからねぇ。
階段を登り上がると、前回と同じように邪神は中央にいた。前回と違うとすれば、その横にツキンズも立っていた。ちっ!地味に横並びと言うのはウザい!なにせ引き剥がす所から始めないといけないし!
「初手はウチや!精密射撃!掃射!」
「そっちは任せたぞ!俺は邪神に向かう!フロムさん!狙いは任せた!」
「おうとも!スイッチしつつ封印を狙っちゃる!」
「篝火くん私は右から!」
「僕は左からいくつかアイテム置きます!っ!アーム来てます!」
「あれは多分芋虫排出!こら待てツキンズ!サンダーバレット!サンダーバレット!狐火!」
秋ドンさんが邪神とツキンズの中央にマシンガンを掃射し、邪神は動かなかったもののツキンズは反応して左に飛んだ、それを更に秋ドンさんが銃撃で誘導しつつ、俺が近寄りながら魔法マシンガンで更に引き剥がす!
『ファイアカノン!狐火!』
「サクラさん!」
「大丈夫!マジックガードで魔法防御上げてるから!それに、魔族は神族の次に魔法防御が上がる!ガードすれば耐えられるから気にしないで!」
「そこや!対艦ミサイル発射!ちっ!アーム邪魔やな!?って、芋虫ごっつ出てきよる!」
「ヴォルケーノ!更にも1つヴォルケーノ!燃えろ芋虫!羽化なんかさせるか!」
『影走り・・・。』
影走り・・・、当たり判定はあるのに一瞬消える技。対人戦でやられてもウザいのに、ツキンズもそれを使うか!でも、今は1人でも2人でもないんだよ!
俺の左を飛翔斬撃が、右をショットガンの弾が通過する。そうすれば、残る選択肢は2つ!だからそれを更に潰す!大凶おみくじを直線に投げつつ刀術の伏龍絶刀!弧を描くよう姿勢を低くし、そこに現れるだろうツキンズに向かい大麻を突き出す!
『フットスタンプ!伏龍絶刀!』
「後の先か!飛び蹴り!」
「ツキンズ!狙撃ライフル舐めたらアカンで?ビックリモア装填、ファイア!」
御札をやり過ごし、急降下からの対空刀術!ただ、それを飛び蹴りでギリギリかわしている間に、秋ドンさんの狙撃が腹に命中!やっぱり供物族とは距離取りたくねぇ!そんな秋ドンさんは今度は榴弾砲取り出してるし、俺が抑えて釣瓶打ちか?なら、このまま引き付ける!背後からはクインズさんのヘイト稼ぎか決闘の誓いやらも聞こえてくるし!
>> おぉ~、押せてる?
>> 即席パーティーなのに連携がいい
>> 技量の問題だろ?
邪魔とタイマン張れるクインズが凄い
「またアームです!数は・・・、6!くっ!羽化したモンスターめっ!シールドバッシュ!」
「篝火くん飛んで!そこのNPC!転送突き!よっしゃ!アームで流されて刺さった!」
「サクラさん助かりました!」
「私達は2人で雑魚狩ろう!2人で管理すればアイテム支援もどうにかなるよ!」
『2人して仲いい・・・。』
「それを通すと思うか?爆裂掌!貫通掌!双竜殴打!ちっ!巻きついたか!」
「ちっ!動きがええとは考えとったが、確かにこれは動きがいい。いや、判断かの?クインズ!動くなよ?会心の一撃!これで芋虫も外れた!くっ!緊急回避!」
「助かった!縮地:砲弾脚!」
>> 相変わらずカメラワークがいい
>> 俺たちが惜しいと思っても
ツキちゃんとかは一人称視点なんだよな・・・
俯瞰でもキツイけど、役割分担信じてるなぁ〜
>> でも、クリーンヒットは少いし
そもそも雑魚もボスもHP表記はないんだよなぁ〜
>> 壊れ具合で察しろ・・・
それがこのゲームのルール
『天空より来たりし・・・。』
「そこや!」
「大魔法なんか詠唱させるか!」
秋ドンさんが榴弾を撃ち、その中を俺が突っ込んでスライディングからの斬撃!これで大魔法は確実に崩せた!そう思った時期が俺にもありました・・・。確かに舞を崩されれば大魔法は打てない、その代わり普通の魔法は打てるんだよ!
『メテオ!』
「ふざけんな!着弾地点見てみんな回避ーー!!!普通なら10カウント隕石が残る!」
「マジか!ツキンズのは何カウントや!?」
「フロム!端に走るぞ!」
「・・・、オヤジギャ・・・。」
「言ってる場合か!」
「サクラさんは僕の後ろに!」
「ジャストガード気にしなくていいからね!後ろから支える!」
>> メテオ使うのかよ・・・
>> ツキちゃんもメテオ使うし、ツキンズが使っても
しゃぁない
仕切り直しと言わんばかりに、フィールドのド真ん中に落下地点マーカーが!隕石は何カウント残る?流石に20カウントなんて言わないよな?落下して余波が振りまかれる。まぁ、端っこが安置だからそこに逃げ込んだんだけど・・・。
『まだまだ楽しもう!』
「へっ?」
「アームがなんかフィールドに・・・、回転しだした!」
『狐火!イフリートハンマー!瀑布!』
「ツキンズが上から魔法撃ってきてるぞ!」
「耐えろーー!!アームに当たっても、魔法に当たってもただじゃすまないぞ!」
>> なんかどっかで見たような・・・
>> 年末年始特番じゃね?
ポールがグルグル回ってバレーボールとか
飛んでくる・・・
>> 確かに元日的だな
>> これって近寄れないの?
>> 隕石はスリップダメージあるぞ
『遥かなる雷雲の果て・・・。』
「セコ!隕石の上で大魔法詠唱し出した!」
「でも、ツキさんやれるならやるんとちゃう?」
「MPポーション挟めばやる!でも、それなら!秋ドンさん全力射撃よろ!」
アームが止まり隕石が消えていく。面倒なことにツキンズと邪神はフィールドド真ん中!消えるタイミングまで読んで舞ったのか、着地もスムーズで舞に狂いはない。そんなツキンズに向かい秋ドンさんの全力射撃、俺の走りながらの魔法、フロムさんとクインズさんの邪神へのヘイト稼ぎと攻撃に、篝火さんもハンドガンで射撃しつつ、サクラさんも斬撃を飛ばす!
『俺のことを忘れたかい?』
「覚えてるよ邪神!だけど、今はお前じゃない!」
「そうだ!お前の相手は俺で、俺の相手はお前だ。」
スコンっと頭をぶん殴られるけど、それはナインテールがガードしてくれる。クインズさんがそこに割り込んで邪神を殴って誘導しつつ、フロムさんが背中への封印を試みるも多分、顔から伸びた芋虫で阻止されるだろう。
そんな中で俺は目の前のツキンズに向かい御札を投げつける!発動しろ!ノックバックでもスタンでもいいから発動しろ!ギリギリで足の裏に滑り込ませた大凶おみくじは、そのままツキンズをすっ転ばせた!これで大魔法は阻止!
「ツキさんナイスや!すっ転んだなら避けられへんやろ!クリスタル・ビット射出!精密射撃!ピンポイントシューター!炸薬弾頭装填!おまけや!MP持ってけ泥棒!フルバーストや!」
「秋ドンさんMPポーション投げます!」
「おおきに!」
秋ドンさんから放たれる無数の弾幕。全ての回避するのは流石に無理だろう・・・。でも、そこまで真似てくるのかよ・・・。確かにそれはできる。寧ろ、尻尾が10本現実で生えた俺もできるかもと思ったし、自分の尻尾を椅子にしたりもできる。
尻もちを付くようにスタンしたツキンズは、ある程度の弾を受けると起き上がることもなく、そのまま尻尾のように生えた芋虫を使いフィールドを走り出した!
>> うわっ!キモっ!
>> なんかエクソシスト思い出した・・・
>> スパイダーウォーク的な?
>> 俺は触手の生えた椅子とか?
「そなアホな!どんだけギミック積んでんねん!」
「罵倒はあと!秋ドンさんいくよ!」
>> 押して・・・、るのか?
>> 分からん
クインズの方も邪神が中々隙を見せない
>> フロムも上手いんだよなぁ〜
封印狙いだけど、上手くクインズをカバーするし
>> ある意味、カンストとかだからできる名人芸?
>> カンストと言うよりは、プレー時間だろ?
単純にカンストしただけなら、知らない技とかで
死を量産する
>> 邪神のノーモーション芋虫と言うか、アームはセコい!
>> での、行動する前にはなぜか気遣いの言葉が
『おつかれさま!』
「グフっ!」
「クインズさんスイッチじゃ!」
「一瞬頼む!レバーにいいのを貰った・・・。防御何割か無視も入ってるかもしれない・・・。」
「クインズさんポーション行くよー!!!」




