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第三章:神と人の狭間で
「ミコトを渡せ」
神の使いが、無表情に告げる。
黒い羽を持つその神は、ミコトを「帰還させる」ために現れたという。
「断る。あの子は嫌がってる」
「神界の秩序が崩れる。貴様一人の意志で抗えるものではない」
「俺は誰の命令にも従わねぇ。人間だし、神様でもねぇからな」
創真の言葉に、空気が震える。
神はひとつ息をつき、手をかざした。瞬間、雷が走る。
だが――その一撃は、創真の足技によって砕かれた。
「お前、何者だ……!?」
「ただの何でも屋だよ。だけど俺は――守ると決めたもんは、絶対に守る」
戦いは短くも激しかった。
幼なじみの緋人が援護に入り、柚葉が結界を張り、アマネが神力で神の術を打ち消す。
最終的に、ヨリトモが後方から神界との通信を断ち切り、神の使いは撤退する。
「……創真。あたし、行かなきゃダメかな」
戦いのあと、ミコトはぽつりとそう言った。
「たぶん、私がいなくても、誰かが“扉”を開ける。でも私がいたら、それが早まるだけ……」
「だったら、自分で決めな」
創真は静かにそう言った。
「自分の生き方くらい、自分で選べ。神でも、人間でも関係ねぇ」
ミコトの瞳に、涙が浮かんだ。
「……ありがとう、創真」




