表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/70

突然届いた招待状⑥

ドラゴンが建国した国。サンヘルム(こく)は世間ではそう伝えられている国である。


それが本当なのかどうなのか、実際のところ誰にも分からない。


ドラゴンなど存在していないのだから。神話やおとぎ話の中だけの存在、空想上の生き物、ドラゴン。


それなのにその生き物が実際の国を建国して、しかもその国の初代国王になったなどと、誰が信じるというのだろうか?


サンヘルム(こく)で生まれ育った子供たちは、単なる寝物語(ねものがたり)の一つとして、親からそう言い聞かされて育つ。親とて同じ。またその親から聞かされてきたに過ぎないのだから。


特にウィンディアはその当事者、サンヘルム王家の血を引く者として、周囲の者たちからことあるごとにそう言われてきた。


『お嬢様は、ドラゴンの血を引く高貴なお方。知的で優雅であらねばなりません。』


中でもフォンテは、自身も当事者な上、そのことを信じてでもいるのか、彼女に熱心に言い聞かせてきたものである。


『ウィン、(わたし)たちのご先祖様は神の御使(みつか)いと言われているドラゴンなんだよ。だから神様はいつも私たちのことを見ているんだ。悪いことをしないように、神の御使いとして恥ずかしい(おこな)いをしないようにって。ウィンもいい子にしていなくちゃダメだよ?』


それを建前に、ウィンディアにはたくさんの家庭教師が付けられ、彼女は勉強やマナーのレッスンに、息つく暇もないほどだった。そんな窮屈(きゅうくつ)さに嫌気(いやけ)がさしては外へ逃げ出したウィンディアの気持ちも分からなくはないだろう。


結果、ウィンディアはそのことをまったく信じていないどころか、バカにしてしまうような娘に育ってしまった。


彼女のいい分はこうである。


だってドラゴンなんていないじゃない。いるならどこにいると言うの?


それにお父様も私も魔法なんて、一つも使えないわ。それなのに不思議な魔法を使うというドラゴンの血を引いてる者だなんておかしいわ。


ウィンディアは別にサンヘルム(こく)の王族を馬鹿にしているわけではない。ただ、ドラゴンの血を引いているという部分にいまいち納得がいかないだけなのである。


【作者より】




【更新履歴】

2025.3.14 Fri. 15:54 再掲

2023.10.12 Mon. 2:51 読み上げアプリ向け修正

2023.9.3 11:08 Sun. 再掲

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ