突然届いた招待状④
「何の関係があるの?ではございません。いいですか?お嬢様。私たち平民もそうでございますが、国王様は、主君であらせられるんですよ!」
「ええ。知っているわ?」
ウィンディアにはマニエラが何を言いたいのか、いまいち分からない。
「主君である国王様のご子息は、次期主君、つまりは次期国王様になられるかもしれないお方なんですよ。旦那様はそのお方の大事な式典をお忘れになっていたんですよ?数ある式典の中でも成人の儀は、生誕の儀以降はじめて国民が王子、王女様方のお姿をご拝顔できる、とてもありがた~い、王族の皆さま方、そして私たち国民にとって大事な行事なんでございますよ?」
「あら?エスカランテ様もその他の方々も普通に街を出歩いてらっしゃるってお聞きしているわよ?みんなお顔はご存じなんじゃないのかしら?」
「王都ではそうでございましょう。ですが、それ以外の街や村の者はそういった機会はほとんどございませんでした。成人の儀では地方からも、王子、王女様方のお顔を拝見したいと、大勢の者たちがやってまいります。他国の王族や一部の高位貴族も招待されているそうですよ。」
「当然、国内の貴族も招待されるのね?それでお父様にその招待状が届いたってわけね?」
「左様でございます。」
「・・・招待状がきたのなら、お父様が忘れていても問題ないと思うんだけど?」
「いいえ!旦那様はそこいらの貴族・・・あ、失礼いたしました。国内外のいずれの王族や貴族様方とはお立場が違うのでございます!」
「それは・・・知っているわ。国王様と王妃様の間に、お子様がお生まれにならなかった場合は、お父様が王位を継ぐはずだったのよね?」
「左様でございます。」
「でも国王様と王妃様にはお子様が8人もいらっしゃるから、大丈夫じゃないかしら?」
「はい。一国の主君にしては大変珍しいと世間では言われております。我が国の国王様は、側室をもうけることなく、王妃様との間だけでそれだけの王子、王女様方をもうけられた、と。
私たち国民からしたら、王族はもう今の国王様のご家族と、傍系では、フォンテ様だけとなっておりましたから、それだけで国家安泰が保証されたようなもので。それはそれはめでたいことだ!と、王子様や王女様がお生まれになられる度に国民たちは大きく祝福をしたものです。」
「なにせ、龍の一族ですものね。」
ウィンディアは苦笑した。
【作者より】
【更新履歴】
2025.3.14 Fri. 15:48 再掲
2023.10.12 Mon. 2:27 読み上げアプリ向け修正
2023.9.3 11:04 Sun. 再掲