突然届いた招待状⑨
「贈り物なんって・・・なんだっていいじゃない?わたしだったら・・・そうね、庭に咲いているラベンダーで花束を作って贈るわ!とってもキレイだし、香りもいいもの!」
ウィンディアが両手をパチンと合わせて、さも、楽しそうにそう言うと、マニエラは他のメイド2人と目を合わせて苦笑した。
「お嬢様・・・。お嬢様がご友人に花束を贈られるのと、旦那様が王族の方に贈り物をなされるのとではわけが違うんですよ?」
マニエラはウィンディアに言い聞かせるようにそう言うと、ウィンディアはキョトンとした。
「あら、どうして?わたしがもし花束をもらったら、とっても嬉しいわ。マニエラたちは嬉しくないの?」
「いえ、とっても嬉しゅうございますよ。嬉しゅうございますが、旦那様は公爵様であられる身の上でございますし、お相手はこの国の王子様でいらっしゃいますからね。それなりに趣向を凝らした品格のあるものでなければ。旦那様の、ひいてはこのバルテシアの恥にも繋がりかねません。」
「そうなの?」
「「「ええっ!!」」」
マニエラと2人のメイドたちは力強く頷いた。
「お嬢様は、まだ社交の場にお出になられたことがないから、ご存じないかとは思いますし、私もエイドリアンから聞いた話ではございますけれど、ワテレアから遠く離れた、このバルテシアのような辺境の領地は、ワテレア近郊の都会だった領地の民や領主から、贈り物の一つをとってみても、迂闊な品を贈ったともなれば、馬鹿にされることが多いのでございます。」
「うかつな物って?」
「趣向を凝らしていない、品格のない物でございます!」
マニエラは自信満々にそう答えたが、ウィンディアには意味が分からなかった。
「・・・どんな物かは分からないけれど、お父様がなんだかとっても大変そうな物をご用意なさる必要があるのだけはなんとなく分かったわ。」
「それはよろしゅうございました。」
マニエラはウィンディアに理解してもらえてホッとしたようだったが、すぐにハタとした表情に戻った。
「そうそう!私がこちらへ参りましたのは、そのことでお嬢様にお知らせしたいことがあったのでございます。」
「あら、わたしに?なぁに?」
「旦那様から言付かって来たんですが、その招待状にはお嬢様もご招待するとの旨が記載されていたとか!」
「えっ?わたしも?」
【作者より】
【更新履歴】
2025.3.14 Fri. 16:02 再掲
2023.10.12 Mon. 3:29 読み上げアプリ向け修正
2023.9.3 11:13 Sun. 再掲