002
この国ではかつて、大きな魔法戦争が起きた。今から600年ほど昔の話である。
まず前提として、
LIGHTが3人揃うと強大な光の力が生まれ、COLORが3人揃うと強大な闇の力が生まれる。
(これがLIGHTとCOLORが特別な魔法の使い手とされる大きな理由の1つである。)
この光と闇の力の大きさには大きな差はない。
LIGHTとCOLORがバラバラと存在することはあったが、6人全員が揃った事例は過去二回しかない。この6人の総称をBlgciateと言う。
1代目のBlgciateはそれぞれの力の均衡をうまく保って、国を平和にするように努めていた。
しかし、2代目は違った。
2代目BlgciateのCOLORたちは、3人ともが「この国を支配したい」という考えの持ち主で、自分たちの闇の力を悪用しようとした。そしてLIGHTたちがそれを食い止めようとして、戦争が勃発した。
勢力は同時くらいであるため、戦争は長い間停滞していたが、何かがきっかけとなり、闇の力が爆発的に大きくなってしまった。
LIGHTは強靭な相手の闇の力を食い止めることができず、またCOLORは大きすぎる自分たちの闇の力に耐えることができず、結局この国は壊滅状態になってしまったのだ。
この戦争のせいで、事後数十年はCOLORへの差別があったらしい。
もう600年も昔の話だから、流石に今は落ち着いたけれど、その後もCOLORであることを公表しない人が多かったという。(多かったと言っても数人だけれど)
アズールは、3代目BlgciateのLIGHT、NEMOPHILAの使い手で、
シアン様は、3代目BlgciateのCOLOR、TWEEDIAの使い手である。
王室にはもう1人COLORがいるらしい。国の政治にあまり詳しくないので名前までは分からないけど。
おおかた、アズールはCOLORを3人揃えたくないのだろう。LIGHTはすでに3人揃っているようだから、過去の例に基づき、2:3くらいの勢力を保ちたいのだと考えた。
ただここで疑問なのが、なぜ狙われたのが私であるか、と言うことである。
自分が魔法の使い手だったとして、使える魔法がわかるのは15歳だが、当時私は12歳だった。
そもそも現在17歳にして、私は、魔法を使えたことがない。私は魔法の使い手ではないのである。
人違いだろうか、どちらにせよ大きな迷惑を被った。でもあの事件があったからこそ、私は今の生活を手に入れることが出来たのだから、ある意味感謝もしている。
大好きなジャムをつくって、お客さんとおしゃべりをして、動物たちと戯れて、美しいこの街を眺める。
本当にのどかで幸せな日々だ。
こんな日々がずっと続いていくと思っていた。
しかしある日を境に、私の生活は一変するのである。