プロローグ
タイピング練習のために書き始めました。昔少しだけ載せた話のリメイク版です。よかったら読んでみて下さい。
どうしてこうなったんだろう。
手足は縛られ、口を塞がれたメイ=マゼンタは考えた。
メイは早々に両親を亡くし、幼い頃から孤児院で育った。
その孤児院がなかなかに劣悪な環境だったので、
「こんなクソみたいなとこで暮らしてられっか!!」とついに限界を迎え、12歳半ばで初の脱走を試みた。
外に出るのはほとんど初めてである。
とりあえず街を歩いていたら、後ろからいきなり口を塞がれ、薄暗い場所へと連れて行かれた。
そして今に至る。
寒い。痛い。どうしてこんな目に遭わなければいけないのか。
外の世界に出ることを望んだのが悪かったのか。
あんなクソみたいなところで来るはずのない里親を待っていろと言うのか。
どうして私の人生はいつも__
ガチャリ。
綺麗な金髪の人が入ってきた。男の人か女の人かはよく分からない。
端正な顔立ちの中に光る軽蔑の念が籠った眼差しは、孤児院の園長先生よりもはるかに冷たかった。
「ふぅん、君が“ROSE”かあ。」
発した声で、男性だと分かった。
眼光は鋭くなるばかりだ。
「__やっぱり“COLOR”は、本当に汚らわしいな。
いやあ、まさかCOLORがその辺をほっつき歩いていると思わなかったよ。
君、その身なりからして、崩壊した家庭か、その辺の孤児院の子供だろう?
いつもだったら助けてあげるところなんだけど、そうもいかなくってね。君たちがいると、国民たちの安堵や国の秩序が乱れるんだよ。」
ローズ?カラー?なんの話か全くわからない。なんでもするから助けて、と泣きながら懇願するが、口を塞がれているせいで、ただ唸ることしかできない。
「君に生という道はないよ。何も分かってなさそうだから本当に申し訳ないんだけど。今ここで始末させてもらう。」
辺りが青色の光に包まれる。そして体が宙に浮いた。
あ、この人魔法を使う人なんだ。昔、本で読んだなあ。と思い出が走馬灯のように蘇る。
彼が声を発そうとした、その時。
「paracyanogen!」
誰かが勢いよく入ってきた。
その人が叫んだ瞬間光は消え、私は床に叩きつけられた。意識が朦朧とする。
光が消えたその隙に、助けてくれた男の人は、金髪の人のことを思いっきり殴った。
「大丈夫か!?」
倒れた金髪の人を尻目に駆け寄って来てくれる。
その人は綺麗な黒髪だった。
「まさかここまでしているとは思いませんでした。いくら“LIGHT”だからって、罪のない市民にそのようなことをして良いと思っているんですか?」
「猿同然の愚者のくせに、僕のやることに口を出して良いと思っているのか、シアン。
いいか、父上がいなかったらとっくに城から追い出しているところなんだ。それにこいつさえ居なくなれば、COLORが3人揃うこともない。この国の秩序が守られると言うのに、お前はこれを妨害すると言うのか?」
「そんなの、ただの昔話に過ぎないじゃないですか。
どうして兄上はそれほどに賢いのにたった一つの昔話にそこまで囚われるんですか。あの時の凄惨な事件は、確かに風化させてはいけません。だからって、まだ何もしていない民の命を奪っていいと思っているのですか!!」
「うるさい!!!!!!!僕は…!____」
私の意識は、そこで途切れた。