婚約破棄をされて、国外追放中の悪役令嬢を襲う暗殺者の話
「ねえ、ちょっと聞いている?この暗殺者の中に、実は高貴な身分の人だとか、仕事そっちのけで女に惚れる人は本当にいないでしょうね?失敗したら私がざまぁされるんだからね」
「はい、人選はしっかりしております・・」
ストロベリーピンクの男爵令嬢が熱心に暗殺者の身元調査をしている。
いや、暗殺者なんてものは、その~王家や、門閥貴族に所属しているカゲたちで、看板を掲げて市井で暗殺ギルドなんてやってないよ。
第一、貴族学園の学生が暗殺を依頼出来るワケないだろう。
それに依頼書を書きやがって、書類が残る。何を考えているのだ。
俺はギルバート、暗殺ギルドではなく、単に使用人派遣ギルド長だ。
一応、用心棒の派遣もしている。この国では合法だよ。人相の悪いのも個性、奴らが立っているだけで、もめ事がへるものだ。
そいつらがギルドの前に立っていたからかな。男爵令嬢と何だか高貴な人がやって来た。
どうゆうワケか、その高貴っぽい人と男爵令嬢が、うちに暗殺の依頼に来た。
変な奴が来たで、適当にあしらって、衛兵隊に通報したよ。
だって怖いし、何か背後に高貴な人がいるみたいだし、若気の至りで、補導、注意するぐらいでいいんじゃないかな。
だけど、衛兵隊から、泳がせておけってきたものだ。困っている。
何がしたいのさ。とっとと補導しておくれ。
あれ、誰か来た。
「やあ、僕は第二王子だ。君がギルバート殿か?」
「ええ、そうですが、何か?」
「当日、僕が現れるから、知らせにね。適当な暗殺者を派遣してくれないか?僕が現れて、令嬢を救う役をやるよ。だから君たちは適当に戦って逃げていいよ。そっちの方が得だろ?」
「大変ですね」
「そう、兄上が、卒業パーティで、婚約者の侯爵令嬢に婚約破棄を突きつけて、国外追放にするのだ。王都近郊の森で侯爵令嬢が暗殺者に襲われているところをさっそうと僕が現れて救うのさ」
「へえ、左様でございますか?」
うん。婚約破棄バレバレだ。
男爵令嬢のお嬢ちゃんに教えてあげよう。
「お客様、実は・・・」
「・・知っているよ」
「な、なんと!」
「それでもやるのが、真の悪役、私は前世の記憶がある。私はこの役をやりきるよ。書類を残したのもざまぁされるため。私のざまぁされっぷりをしっかりみてごらん!」
・・・・
当日、暗殺者役を派遣するのはやめて、森の中で見ていた。
おい、第二王子、ガチで騎士団を連れて来たな。着剣しちゃっているよ。
うちが派遣したら、間違いなく、殺されていたな。
良かった派遣しなくて・・
☆☆☆☆☆使用人派遣ギルト商会本部
ドドドドドド
「ギルバート、お前を暗殺者として、逮捕する。令状はここだ」
「はい、左様でございますか?ところで貴方方はどちらの衛兵隊の所属でございまか?」
「言う必要はない。男爵令嬢が書いた暗殺の依頼書を出せ!」
「いや、依頼書なんてないよ。だけど、魔道録音機で依頼の会話とっておいたぞ」
☆☆☆☆☆裁判当日。
「被告、男爵令嬢サリー嬢、貴殿は暗殺ギルドに侯爵令嬢の暗殺を依頼したな?」
「ちょっと、証拠あるの?証拠を出しなさいよ!」
「ふん。見苦しいぞ。私が知らないとでも思っているのか?魔道録音機を再生せよ!」
「はい、第二王子殿下!」
・・・・再生中
「やあ、僕は第二王子だ。君がギルバート殿か?」
「ええ、そうですが、何か?」
「当日、僕が現れるから、知らせにね。適当な暗殺者を派遣してくれないか?僕が現れて、令嬢を救う役をやるよ。だから君たちは適当に戦って逃げていいよ。そっちの方が得だろ?」
・・・
ザワザワ、何と。
「何だ、これは?いつの間にすり替わった!いやこの声は偽造だ!」
「第二王子よ。静粛にしたまえ」
「誰だ!父上?陛下!」
余は息子達の教育を間違ったのか?
「・・・裁判は閉廷にせよ。男爵令嬢は、修道院にてお尻たたき10回の刑を執行せよ。
その他の関係者はしばらく謹慎じゃ」
・・・
使用人派遣ギルドのギルバートは王直属のカゲだ。情報収集部門のな。
各家門に入り込み。お家騒動や謀反などの情報を収集するのが役目だ。
まさか、そこに息子達が来るとは思わなんだ。
王太子は・・余が妃と頑張ってこれから作るかのう。
・・・
はあ、これで面倒なことは終わった。さて、仕事だ。
あれ、ストロベリーピンクの後ろ姿の令嬢がギルドの前で仁王立ちしている。
ヤバイ。逃げようか?
あ、見つかった!
「ちょっと、お尻ペンペンされたじゃない。私はこれからどうすればいいの?」
「はあ、取りあえずお茶でも出すから飲んでいきなよ」
そして、男爵令嬢は、まだ、当ギルドにいる。
今度は、義妹のいる家にメイドとして入り込ませようか?
最後までお読み頂き有難うございました。