05-12
ミユだけじゃない、恥ずかしそうに立っていたミユの傍らにはジジとレド。3人がナナを囲んでいた。
「……ミユ?どうしてここに?」
ナナはいまいち状況を測れずにいたが、口付けをした相手がミユだったと分かると叫び声をあげる。
「キャー!」
思わず、ミユを突き飛ばす。
「きゃっ。」
転びそうになったミユの手を慌てて掴み、支える。
「つい!ごめん!でも、どうして!?あたし、ウィー…」
と言いかけて慌てて口を噤む。もし、あれがただの妄想だとしたら、大っぴらにするべきではないことだろう。
「食堂で別れた後、ちょっと気になってレドを問い詰めたのよ。」
「……そしたら白状した。」
事情がいまいちのみ込めていないナナに、ジジとミユが説明する。
「それで、一計を講じたってわけ。」
「……そう。魔術進行を妨げずにマナを促進させるための芝居。だから、あなたに幻覚を見せた。」
「幻覚……」
それを聞いてナナは少し落ち込んだ。やはりあれは幻覚だったのだ。あの男はあんなイケメンなわけないのだから。
「そう、やっぱりおかしいと思ったのよ。でもよかったわ、あのキスも幻覚で。」
「キスは本当よ。」
「えっ?」
ミユがあまりにもすました顔で冷静に言うものだから、てっきりすべて幻覚だと思っていたナナは驚いた。
(あれが本当?だということは……?)
「ご、ごめん!ミユ!」
そして頭を深々と下げて謝罪する。
「別に構わないわ。そもそも『キスなんかモンスターだと思って忘れなさい』って言ったのは私だし、それにモンスターでもない親友からキスされてもどうってことはないわ。でも。」
「でも?」
「あんなに濃厚なのは予想外だったわ。」
そういってミユはハンカチで口を拭う。その言葉にナナの顔が真っ赤になった。そしてレドはにやにやと笑う。
「濃厚、ねぇ。一体誰を思い浮かべてたんだい?」
「う、うるさい!」
「ま、想像はつくけどね。」
「こ、こいつ!」
他人事のように飄々と語る事件の張本人に対して苛立ちを覚えたナナは背を丸くし、今にも掴み掛りそうであった。それを見たジジはほっとしたように胸をなでおろす。
「……良かった、薬の効き目は切れたみたいね。」
「良くないわよ!」
「良くない?そういうことなら、もう一本飲む?」
まだ持っていたのか、レドは未開封の小瓶を取り出して見せびらかす。
「お~ま~え~は~!」
まだ懲りてないのか、といわんばかりにナナは拳を握りしめた。
「やめて~暴力反対!」
「やめてほしかったら!少しは!反省しろっ!」
首輪が必要な人間がウィード以外にももう一人いるんじゃないか、と思ったナナであった。




