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05-11

 ウィードとの口付けに合わせるために、ナナは屈む。合わさる唇と唇。


 (分かった。これも約束、なんだ。)


 あの時と同じで、そうじゃない、キス。武道に作法があるようにキスも作法がある。それは、お互いに気持ちを確かめ合うための予め決められた約束事。だから、人は分かり合える。


 『約束は大切なものだ』


 ウィードの温もりを感じながら、彼が発した言葉を思い出される。今、それを実感しながら、彼の唇を通して。頭からつま先まで幸せが伝わっていく。そして、その余韻を感じながら、彼のやわらかい胸元に崩れるように持たれかかった。


 (過去なんて、どうだっていい。私たちは分かりえたんだ。)


 そう、過去の過ちなどどうでもいい。こうして分かり合えたのなら、きっと未来が創造できる。2人の未来、それは、ほかの人たちと同じように卒業して、普通に冒険者になって、普通に恋愛して、そして普通に結婚して。


「……もういい?」

「まだ、だめ。」


 ナナの妄想は続く。 


 (2人で中王都市≪セントラル≫に住む。そうね、住むならできるだけ大きなところ、そうね、お城みたいなところがいいわ。子供は2人、男の子と女の子。私たちのこどもなら、きっと強くて、彼そっくりの美男美女に育つわ。そして、成長した子どもたちと一緒にドラゴンを倒して、王様に認められて社交界デビューするの。そうやって、晴れて貴族の仲間入りして。ヨイたちがハンカチを噛みしめながら涙を流して悔しがるのを横目に、ミユたちは祝福してくれて……)


「……満足した?」


 もう一度、ナナを制す声が聞こえた。


「まだ、よ。だいたい何よ、女のような声をだして。」


 トモじゃあるまいし、恋愛リバーシブル女がそこら辺に転がっていてはたまったものじゃない。それに、トモと違ってウィードは男だ。男に女のような声が出せるわけが……。

 

(って!?女!?)


 慌てて顔を上げると、視線の先にはミユがいた。



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