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05-03

「で、これがそのプレゼント?」


 レドがかばんから取り出したのは、彼女には似合わなそうな薄桃色のかわいらしい小瓶だった。


「そ。ウィード先生の心が分かるようになる、魔法の薬。」


 それをナナの目の前で揺らすと、ちゃぷちゃぷと液体が入っているような音がした。


「魔法の薬ねぇ」


 果たして、魔法で読める薬なんてあるのだろうか?記憶を消せる魔法を使えるくらいだし、心を読むなんて造作もないかもしれないかも、なんて考える。


「ほしい?」

「別に。」

「あら、意外。ひょっとして疑ってる?」


 レドの事だ、きっとまた別の意味を含ませているに違いなかった。


(今はそんなことより!)


「飲まないの?」

「いらないわよ。それよりもやることがあるの。」


 それより、あいつを追わないと。まだ、見失うわけにはいかない。見てないことをいいことに、何かしでかすかもしれない。彼に隙を与えてはいけないのだ。ウィードを探しに、ナナは食堂を出る。


 と、なぜかレドも着いて来る。


「なんで着いてくるのよ。」

「ま、気にしないで。」


 ナナは抗議したが、レドは飄々と答えるのだった。



 (見つけた!)


 教官室にウィードはいた。扉を音をたてないようにこっそりと開くと、ナナはそこからウィードを観察してみる。


 彼は念入りに、何かを握っていた。その何かを、目を凝らしてよく見ることにする。その何かは、レドが前の晩にプレゼントしてくれたアレにも似ている気もする。


(あいつ、一体何をやっているの!?)


 彼の行動の一つ一つがさっぱりわからない。やはり監視だけでは限界があるのかもしれない。


「レド、いる?」

「いるわよ。」

「気が変わったわ。さっきの薬、やっぱり頂戴。」

「はーい。」


 ナナは手渡された小瓶のふたを開け、液体を口に含んだ。レドの事だ、劇物や毒でも入ってるのではないかとか思ったりもしたが、特に刺激もなくやわらかい口当たりですごく飲みやすい。ナナは1瓶を一気に飲み干した。


 改めて、ウィードを観察する。耳を澄ませたり、目を見開いて、心の声が漏れ出ていないか確認してみる。しかし、心が読めるようになった感じはしない。


「効果が感じられないわ。どうなってるの。」

「慌てないで。魔法は発動条件があるのよ。効果が出るまでそれまで待ちなさいな。」

「発動条件?」


 詳しく聞いたところで、魔法のことなどわかるわけがない。ナナは適当に観察しながら、その時を待つことにした。


「全く、なんて物を握ってるのかしら。」

「あれは剣よ。」

「!?」


 何気なく呟いたつもりだったが、レドとは別の、どこか聞き覚えのある返答に、ナナは思わず振り向いた。


「なんでヨイがここにいるのよ。」

「それはこっちのセリフ。あんたこそ。今更先生にアプローチしようと来たの?」

「そんなんじゃないわよ。」


 ナナはヨイを軽くあしらうと、監視を続ける。


「まあいいわ。あれが剣?」

「そ。あれはおそらく剣の柄よ。振って確かめてたし、間違いないわ。」

「それにしてはずいぶんと不格好ね。」


 やはり、どう見ても剣の柄には見えない。


「ま、先生だからね。あれでいて意外と不器用なのよ。この前も自炊してた時に……」


 そのヨイの何でも知っているような口ぶりに、ナナは一歩、引いた。


「ちょっと。どうしてプライベートまで知ってるのよ。気持ち悪いわ。」

「は?あんたに言われたくないわよ。」


 顔を真っ赤にしたヨイはすぅっと息を吸い込むと、一気にまくしたてた。


「私はね、愛情からずぅ~と、彼の事見守ってきたの。いつも性的な事ばかり考えてる、あなたのような変態と同じにしないでくれる?」

「だ、誰が変態ですって!?」


 学校を、みんなを。変態から守ろうとしているのに、変態とは。頭に血が上ったナナはヨイに掴み掛ると、彼女を壁に押し付けた。


「あんたねぇ!」


 以前から目立つ、ヨイの反抗的な態度。多少ウザかったりもしたが、対して目障りでもなかったので気にも留めていなかった。しかし、ここ最近、そう、ちょうどウィードの着任後あたりからはより対立が際立つようになってきた。


 その気持ちが積み重なる。もう、腹が立って、腹が立って仕方ない。そして、そんなヨイが愛おしくなってくる。


「……好き。」

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