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05-01

 じ~。


 ちょっとした動きでも見逃すまい、と、ナナはひたすら視線を教壇のウィードただ一点に向け、集中していた。


(……怪しい。)


 一度疑うと、何もかもが怪しく見えてくるものである。ナナのウィードの変態疑惑は一旦は収まっていたものの、いろいろあって再び疑い始めていた。協力を得られないのであれば、今は自分一人で何とかするしかないだ。


(監視、監視、監視。監視、監視、監視、監視、監視……)


「ン?ナナ、どうしタん……ぎゃぴ!?」


 異変を感じ取ったのかニニが声を掛けてきたのだが、横から見えたナナの形相に、思わず叫び声をあげた。


 そんな異様ではあったのだが、教室内では誰も気にも留めていなかった。ナナの挙動不審はいつものこと、クラスメイトも手慣れたもので、聖金星学園の日常は何事もなく平穏に進行していくのであった。


 はずだったのだが、そんなナナにも疑惑の視線を向ける者がいた。ヨイである。



 (……怪しい。)


 それがヨイが抱いた印象であった。ナナが怪しいのは今に限った事ではないが、いつもにも増しての、あの血走った瞳、全身から漂う禍々しいオーラ。それは何か違法な物に手を出したかのような、危険な雰囲気が彼女にあった。


 ナナは否定していたが、やはり「何も関係もない」とは誤魔化すためのフェイクではないかと、ヨイは疑っていた。好意の反対は無関心、ナナがあのような反応を示すのは何か気があるからに違いない。好意を誤魔化すのはよくある話だし、なによりも。


 (万が一、先生がナナに関心を向けることにでもなったら。そんなことはあってはならないわ!)


 ヨイは思考を巡らせる。


 ひょっとして、ということもあるかもしれない、ナナは鍛えられあげた自分の筋肉をコンプレックスにしているが、そのような豊満で肉感的な方がむしろ男受けが良かったりする場合もある。冒険者としてのライバルではあるが、恋愛に関してもなかなか油断のならない相手になるかもしれない、と感じていた。


 ヨイはナナに負けじとウィードに怪視線を送る。この状況を語るならば、恋の冷戦状態、そのような表現が相応しいだろう。



 ★



 そんなピリピリした殺気が飛び交う戦場のような空気を歴戦の戦士であるウィードが感じ取れないわけがなかった。


(最近やたらと殺気が飛び交っているがもしや……)


 ウィードは思考を巡らせると、一つの結論に達した。


(やっと彼女らも上級生としての自覚が芽生えたか。)


 ……ウィードは鈍かった。


 それは、まるでラブコメの主人公かの如く、不自然に何者かの手によって歪められたような鈍さ。何故、この手のキャラクターは不自然に鈍感になるのかいささか疑問が残るが、鈍いのだから仕方がない。


「生徒はやる気だし、天気も良いし、今日はいい日になりそうだ。」


 と爽やかに言ってみたものの、空は曇天としており、それは今後を暗示してるかの如く暗雲を漂わせるのであった。


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