04-12
亜人が、ペット。
冗談か、本気か、ジジは淡々と話す。表情もフードで隠れており、感情を読み取ろうとしてもよくわからない。
「それにしても、ペットはないわ。他に言い方があるんじゃない?」
「……他に?」
「ほら、見習い、とか、学生とか。」
「……学生や見習いも人。でも、ジンは違う。」
「そうよ。見習いだって人なのよ?ペットを見習いというあんたの方が失礼だわ。」
「くっ。」
反論らしい反論もできずに、ナナは唇をかみしめる。
「……人でもない、魔物でもない、中途半端な存在。他に適切な言い方があるのなら教えて頂戴。」
「それにさ、別にペットだからってひどい扱いをするってわけじゃないんだし。」
「まあまあ、みんな落ち着いて話そ?」
見るに見かねたミユが間に割って入る。
「んもう、ペットでいいわよ。」
他に言い方が見つからず、ナナはしぶしぶ答えた。やっぱり考えるのは苦手と、ナナは手櫛で髪をとかす。
「それにしてもペットねぇ。」
じろじろとナナはジンを見た。サイズの合わないようなぴっちりなシャツを着せられて、今はおとなしく席に座っている。年とは不相応に、非常に幼く見えるアンバランスな瞳。気になるのは首輪だ。
「……出会った時から、すごく怯えた目をしてた。彼は、何も知らないの。……そう。まるで赤子のように。」
「だからってあんな行為が許されるわけはないわ。」
「……そう。許されない。だから、飼い主として、こうして謝罪してる。ごめんなさい。」
「飼い主の責任、ねぇ」
飼い主ならちゃんと鎖でつないどけとも思ったが、それはペットを肯定してしまうことになる。口に出すのは憚れた。
「……彼を放置すれば、いずれは魔物。でも、今なら、まだ間に合うかもしれない。」
ジジがそういいながらジンの方を見ると、言い争う二人の顔を交互に見ていたジンは不安そうに目を伏せた。
(まったく、話が分ってるのか分かってないのか)
「……ナナさん。私のジジとあなたのウィード先生、何か似てると思わない?」
「誰があなたの、よ!」
思わずナナは怒鳴ってしまったが、ジジの言葉には思う所がある。
「確かに変態さにおいては似てるわね。」
「あのねぇ。」
「冗談よ。わたしにもそのくらい判るわ。]
似たような問題を抱えてる2人。それは魔物かどうかわからない生物を人として扱っていいかの判断。
「つまり、彼には監視が必要、ってことね。」
「話聞いてた?あのさぁ、伝えたいのはそうじゃなくてさ……」
呆れたようにレドが声をあげるが、ナナはそれを遮った。
「聞いてたわよ。でもさぁ、それってあなたたちの見解なのよね?だったら、私だって言わせてもらう。被害が出て困るのは私たちなのよ!」
ジンに首輪が付いているように、ウィードにも首輪をつけなければいけない。それがナナの出した答えだった。




