04-11
「ぅう、なんかまだお腹に感触が残ってる……」
「ははっ、わりいわりい。」
その悪いという言葉とは裏腹に悪びれもなく愛想笑いをする、この場には似つかわしくないような派手目の女。狼亜人もぴっちりとした服を着せられて、今はおとなしく座っている。
(……変な液体なんかがついてないでしょうね。)
一応、おなかのあたりを確認をしてみるが、ここの明かりじゃよくわからない。
「どうかした?」
「ううん、なんでもない。」
そう取り繕ってみたものの、気持ち悪さは残ってるわけで。
(後で洗濯しないと)
「ハハハ、すまない。久々に外の人を見たのか、こいつもなんだか興奮しててさ。」
「全く、笑い事じゃないわよ!」
ナナはドンと机を叩いた。万が一でも間違いが起こっていたら、冗談では済まされない。
「そうよ。レド、謝りなさい。あなたが遅れてきたからこうなってるのよ。しかも勝手にジンを解き放って。」
珍しくミユが怒っている。仲が悪いのだろうか、いや、そんな表情を見せる程の仲なのかもしれない。
「まあ、起きてしまったことはどうしようもない、て事よ。」
「それ、謝罪してるの?」
そもそも、悪いのはあの『ジン』と呼ばれていた亜人だ。見れば、先ほどの威勢はどこへやら、さっきから視線を下げて目をあわせようともしない。狼耳も塞ぎ切ったまま、しょんぼりと全身から申し訳なさそうなオーラを出していた。
「で、そいつの謝罪は?」
「……ごめんなさい。」
「なんでジジが謝るのさ。」
予想をしてなかった方向から謝罪されて、ナナは驚いた。こう見えてもジジは冗談好きで、実は笑いを取りに行くタイプなのかもしれない。
「……その子、言葉があまりしゃべれないから。」
「えっ!?」
その大声に驚いて、ジンはびくっと背中を丸めて縮こまる。
(失礼ね。そんなに怖くないわよ。)
そんなジンの様子を見て、ナナは音量を抑えて言った。
「で、どういうことなのよ。説明して。」
「……拾ったの。」
「拾ったって。」
ナナは絶句した。亜人なんてそこら中で拾えるものではない。
「あのねぇ。拾ったってペットじゃないのよ!」
「……ペットよ。」
「え?」
その断定した言い回しに、ナナは亜人を二度見する。やはり、どこからどう見ても外見上は人である。愛玩動物にしていい対象ではない。
「ペット?」
ジジはうなずいた。




