04-07
元牢屋といったものだから、もっと仰々しいような、例えば奥まで続く底の見えない螺旋階段を想像してみたものの、底が浅くすぐに次の階にたどりつける作りにナナは拍子抜けした。
(思ったほど大したことなさそうね。)
「……ここが、第一層。」
「第一層?」
見れば奥の方にも同じような螺旋階段がある。なるほど、こうやって端と端とで交互に階段を設置することによって、より逃亡しずらいような作りになっているのだろう。
「そして……ここからが私たちの研究室。」
「これって全部で第何層あるの?」
「……3層まで。でも、隠し部屋のようなものがあるのなら、知らない。」
「ふーん。で、この奥は?」
「……これ以上聞きたいの?」
「え?なんかまずい事言った?」
ミユがナナに耳打ちする。
「ナナちゃん、思うんだけど。聞きたいこと以外は色々聞かないほうがいいんじゃないかな。」
「ん?どうして?」
「……記憶消去の契約。」
「あっ!」
ナナは思わず口を塞いだ。学ぶのは得意ではないが、学ばなくてもいいことはなぜか知りたくなるものだ。
「……余計な事を知ると、話してはいけないことも増えるから。」
「あはは、そうだね。さすがミユ、頭いい!」
(好奇心は猫いらず?って聞いたことがあるし、余計なことは聞かないほうがよさそうね。)
第一層。地上とは違って採光用の窓もないのでその分暗く感じるが、魔法の光によって補完されているので不便は感じない。いくつかある部屋の内の空き部屋にナナたちは入っていく。
中は黒板と机とイスが配備してあり、細部こそ違いがあれど普段の教室とは変わりなかった。ミユたちはその内の一つの机にイスを集める。
「……座って。」
ジジの合図で円を囲むようにして座った。
「ここで行ってるのはモンスターについての研究なの。」
「モンスターの研究?なるほど、ここでウィードのことを教えてもらえるってわけね。」
(ん?でもモンスター研究ってことは、やっぱりウィードはモンスター?)
ナナの頭上に疑問符がつく。
「……そう。」
「その前に、確認しておきたいこと。ナナちゃんが聞きたいのはウィードはなぜ、追い出されないのか、って話よね?」
こくり、とナナは頷く。
「……では、私たちがどうして彼をモンスターと認定しないか。……それに答えるにはこれを知ることが必要。」
ジジは立ち上がり、白いチョークでこう黒板に書いた。
『命題1 吸血鬼とはモンスターであるか?』




