04-04
放課後、ナナは学校の入り口でミユを待つ。
(知ってほしい事って何だろう?)
心当たりはない。それが大切なものなのかもさっぱりだ。しかし、それはすぐわかる事だろうと、ナナは気にしないことにした。
「ごめん、まった?」
少し待っていると、下校中の生徒たちの中から聞き馴れた声がした。ミユだ。
「全然。今来たとこ。」
「ほんとう?よかった!」
ナナとミユがお互いを確認し合った後。
「でね、今から向かうのは、とある研究室なんだけど。」
と、ここでミユはすこし間を置いた。
「ね、ナナちゃん。黒魔法と聞いて、どう思う?」
「突然そんなこと言われても。」
魔法といっても、特段勉強したことがないナナにとっては、一般人ぐらいの知識しかない。
「う~ん、胡散臭い魔法使いが使う怪しげな魔法?」
大体の物語に出てくる魔法使いは、老人、それも老婆。黒ずくめのローブを着て、ぶつぶつとよくわからない呪文を唱える。ナナはそんなイメージを頭に浮かべた。
「そうね。否定はしないわ。でもね、それってただの色分けの区分なの。」
「色分け?」
「そう。一口に魔法学といっても、研究は様々。例えば、治療を目的にする白魔法が有名だけど、鉱物や物質を対象に研究する黄魔法や魔物やその生態を研究する青魔法など、いろいろね。」
ミユは指で小さな丸を書くジェスチャーをした。白、黄色、青、それぞれの魔法を丸で表現する。そして、今度はそれを両手で大きくまとめるような仕草をした。
「そして、それらをひっくるめて、魔法すべてを研究する学問、それが黒魔法。」
「だったらそれ一つでよくない?どうして分類しなきゃならないの?」
ナナの疑問にミユはずっこける。
「あのねぇ。さっき言ったわよね。魔法は多岐にわたるって。すべての研究をするなんて、一生かかっちゃうわよ。」
「ふ~ん。なるほどねぇ。」
(一生、かかっちゃうのかぁ。)
誰ともかかわらず、一生研究室にこもりっぱなし。そんな生活を続けている人たちをナナは想像した。
「だから、黒魔術師って老人の世捨て人や変人見たいな人が多いのか。」
「変人って、言わないでくれる?魔法技術を使えるのも、その人たちのおかげなんだから。」
「そうね。なんか、ごめん。」
「ううん、いいの。ナナみたいに思ってる人が大半だと思うから。」
ミユは悲しい顔をする。
「でも、もうちょっと研究者にやさしくしてもらいたいかな。」
「……努力します。」
「よろしい。」
ナナが素直に頭を下げると、嬉しそうにミユは答えた。
「で、ミユは何を研究してるの?」
「私は冒険者希望よ?研究してる暇なんてないわ。」
「そっか。」
ミユが冒険者を目指しているということは、以前に聞いていたことだった。上級に上がる前、魔術科にも関わらず冒険者希望ということで、よくナナたちに混ざって野外訓練をしていたから。そして、いつの間にか仲良くなって、友達になったのもその時で。
「でね、注意点。今から会わせる人は、変かも知れないけど。でも、私の友人なんだからそのつもりでいてね?」
「大丈夫よ。ミユの友人なら私も友人だわ、まかせなさい!」
ナナは自信たっぷりに力強く胸を叩いた。根拠がないわけではない。
(だって、ミユの人を見る目は私を選ぶくらいには優れてるし、それに変人といっても、ウィード以上の変態がいるわけがないからね!)




