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03-06

 2人がムギの元に向かうと、そこにはすでに、トモもいた。ムギはウィード先生が同行しているのに少しびっくりしていたが、ナナを見つけると、堰を切ったように話し始めた。


「大変なのナナちゃん。あのね、制服が。」

「制服?パンツじゃなくて?」

「うん。制服がね。空を飛んで行ったの。」

「は?飛んでった?鳥みたいに?」

「うん。」


 なんだそれは。窃盗事件と関係ないんじゃないか、とナナはずっこけた。


「まさか、生きてるわけないじゃなんだし、鳥みたいに飛んでいくわけないでしょ。」

「うん。だからね、魔法だと思うの。多分、犯人は魔法で衣類を動かして、盗んでるんじゃないかな。」

「あ、魔法か。」


 なるほど、魔法ならゾゾたち警備の目を盗んで窃盗をすることは可能かもしれない。


「じゃあ、泥棒は女性の服を窃盗して喜んでいる邪悪な魔法使い?」

「そうかも。」


 制服や下着に囲まれてニヤニヤするエロ魔法使い想像して、ナナはぞっとした。魔法まで使って盗もうとする犯人。いったい、何に使われるかわかったもんじゃない。


 3人が思い思いに推理している中、ウィードが口をはさむ。


「私たちは時間がないはずだ。ぼさぼさしてると見失ってしまうぞ。行先は把握してるのだろう?」

「はい。あそこに向かっていきました。」


 と、ムギは街とは逆の、学校裏手の方角を指した。


「追いかけるぞ。」

「ちょっと待って。確か、あの辺りは。」

「うん。禁足地。」


 ムギとトモが顔を見合わせるが、ナナは首をかしげる。


「禁足地?そんなのこの学校にあったの?」

「ナナちゃん……。ちょっとは授業を聞こうよ。」


 面倒見のよいムギにも呆れられてしまって、ちょっと凹んだナナであったが。


 (禁足地かぁ。)

 

 決して足を踏み入れてはいけない、なんて言われなくても、山の中の何もない所だ、誰も来るわけがなく、犯人が隠れるとしたらうってつけの場所だろう。でも、それなら気になる点が一つ。


「それって、入っていい場所なの?」

「それなら大丈夫だ。ごく最近だが、指定から解除されている。」


 ナナの疑問に、ウィードが答える。


「なら、追いかけても安心ってことか。」

「だね。」


 ウィードはコートの中から護符を取り出し念ずると、護符は消滅し光の玉があたりを照らす。少し目立ってしまうかもしれないが、これで山の夜道でも大丈夫だろう。

 

 4人はその光を頼りに、獣道というには綺麗すぎる道をたどりながら、制服の後を追いかける。


「でもさ、どうして禁足地だったの?」

「うーん。大抵の場合、近寄ってはいけない場所って、強力な魔物が出るから、とかじゃない?」

「それはないかな。魔物なら討伐祭の時にはそこを重点的にやっておくはずじゃないか。そんなことはやってないだろう。」

「危険ってのは、魔物に限らないのかも。例えば、土砂崩れが激しい地域とか?なんにせよ、注意しないと。」


 3人が思い思いに推理していると、ウィードが神妙な面持ちで答えた。


「……あの一帯は研究所だったのだよ。だからいろいろな噂があったんだろう。」

「研究所?まさか、人体実験でもやったわけじゃないでしょうね。」

「違う!あれはただの研究室だ!」


 ナナが研究所にありがちな都市伝説で茶化そうとしたが、ウィードが激昂したので驚いて彼の顔を窺う。どうやら地雷を踏み抜いたらしく、ウィードの顔が険しい。だが、それもほんの一瞬、次の発言では、ウィードはいつもの口調に戻っていた。


「すまない。そんなことは決してないので、安心してくれ。」

「は、はぁ。」


 気圧されたナナたちは、気の抜けた返事して何事もなかったのように振る舞ってはいたものの。


 (安心とか言っておきながら、あんな態度されたら、まるで、何か曰く付きみたいじゃない!)


 ナナは内心、憤慨していた。


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