03-01
「ああ、ない、ない、ない!」
ミユは気が動転していた。
タンスをひっくり返したり、ベッドの下を探したり。
考えられる限りに、あらゆるところを探してみても見つからない。
「大事にしてたのに……どうしよう……」
その表情は、明らかに青ざめていた。
★
あれから1か月。春恒例の討伐祭もなんとか無事に終わり。
あの男は、ちょっとおかしなところもあったけど、特に目立った変態行為もなく、クラス自体も落ち着いてきた。ただ、あの3人組は例外で、相変わらずで。
(ていうか、あいつら何やってんの)
噂をすれば、というやつで。彼女たちは教室前で騒いでいた。どうやら、何かを生徒たちに配っているらしい。ナナが視線を向けると、ヨイは目を背けた。
「なーに私だけ無視しようとしてるのよ。」
「……これよ。」
渋々ヨイが手渡してきた紙切れ。そこには「皆の力で学校を変えよう!」「求む、校則変更!」「名前の二文字制度をやめろ!」などと、意識高いような文字がずらずらと並んでいた。
「何これ?」
「……校則変更の嘆願書。」
御多分に漏れず、この金星学園も変な校則がある。下着は白に限る、や、名前は二文字まで、などなど。
しかし、魔術科はともかく、戦士科の生徒はこの校則に異議を唱えるものは今まで出てこなかった。もともと身だしなみなど二の次であり、文句が出るのは食事ぐらい。男など、誤解を恐れずに言うならば、攫ってくればいいのだから。
「あほくさ。」
「はー?言われるとおもった。だから渡さなかったのよ!」
しかし、ここへきて校則変更の嘆願とは、誰のせいだろうか。ナナには、あの男の存在がちらついた。
「なんで今更。」
「だって、だって、その。とにかく!2文字で言わないで。私の名前はヨーグルトよ!」
「はぁ?だって校則違反じゃない。呼ぶわけないでしょ。」
2人で言い争っていると、ホイが仲裁に入ってきた。
「いいのよ。もともと2文字の、恵まれたナナにはわからないわ。」
「でもさ、ホイップ。」
「はいはい、勝手にやってなさい。」
居心地が悪くなったので、ナナは授業が始まるまで屋上で暇をつぶすことにした。
空を見上げていると、この1か月の事が頭を横切る。ウィードは、割とまともな男なのかもしれない。若干抜けてるところはあるけれど、強いし、あれはあれでやさしいし、生徒のことを第一に考えている節はある。それに、もともとイケメンだし、ポイントは高いはずなのだ。……あんな出会いでさえなければ。
(って、どうしてあの男の事を考えてるのよ!)
ナナは頭を振って、邪念を振り払う。そんなことをやっていると、ムギが息を切らせながらやってきた。
「あ、探したんだよ、ナナちゃん。協力してほしいことがあるの。」
「え、いやだよ。」
「えっ?」
ナナは即答した。どうせ人のいいムギの事だ。ヨイたちに頼まれたに違いない。
「校則変更でしょ?邪魔するつもりはないけど、協力するつもりもないんだけど。」
しかし、ムギは首を横に振った。
「違うの、ナナちゃん。下着泥を捕まえるの!」
「下着泥!?」




