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02-02

 ニニは一切興味を示さなかったので、ナナとムギは二人で1階にある教官室に行く。


 そこには同じように噂を聞き付けたであろう生徒たちが数人集まっていた。彼女たちはうろうろと周りを歩いてはひそひそと何か言い合っている。そしてムギも怖気づいたのか、ナナの袖を引っ張る。


「ど、どうしよう。誰が最初に入る?じゃんけんで決める?」

「何言ってんの。ぼさぼさしてると次の授業が始まるわよ。」


 大勢の生徒が何も行動できずに見守る中、ずかずかと前に進んだナナはドアノブを回すと半ば強引に扉を開けた。


「失礼しまーす。」


 さて、くだんの人物はと。ナナは部屋を見渡した。


「ん?からっぽ?」


 室内には誰もいなかった。読みかけの本が机の上に無造作に置かれていたぐらいで、特に目立つものはない。


(おかしい。気配はしたんだけど。)


 部屋を繰り返し眺めたが、やはり誰もいない。


「……いないみたいね。それとも、部屋間違えた?」


 振り返ってナナはムギに話しかけたが、どうもムギの様子がおかしい。ナナの後ろ上部に視線を向けてぼーっとしている。頬がすこし赤い。

 

(まさか背後に?)


 ナナは慌てて後ろを確認する。が、振り返っても、何も見当たらない。


(ああ、もうどうなってるのよ!)


 考えがごちゃごちゃになり頭を掻きむしる。ムギの視線を追うと、男が階段の方へ向かっているのが見えた。


(逃げた?どうして?)


 考えてもわかるわけがない。熊が逃げる動物を追う習性をもつように、ナナは直感的に反応した。


「ムギ、追いかけるわよ。」


 しかし、反応がない。ムギは魅了がかけられたように動かない。


「ムギ…?」

「あ、あぁ…うん、わかった。」


 分かったようなわかってないような生返事でムギは頷く。


 男は二階、三階へと身軽に飛んでいく。ナナたちも後を追うが、差が開くばかりだ。これは追い付かない、そう思った時。ちょうど昼食まで待てなかったニニが、コロッケパンを口に頬張りながら通りかかった。


「ニニ!その男を捕まえて!」

「ふぁ?」


 口がふさがっているニニは、手で大きな丸印を作りそれに答える。


(よし、これで挟み撃ち。これで男を確保できる!)


ニニが男を確保しようと両手を広げると、男はそれを察して、窓からひらりと地上に降りた。


「まさか!」


 魔法なしの高所落下は、高度な技術が要する。失敗すれば、大けが。高さによっては、当然、死ぬ。ナナたちは慌てて窓の下を確認したが、男は見事地上に着地した。近くの生徒から歓声が上がる。


 …と思われたのもつかの間、男は正面から倒れた。歓声をあげていた生徒たちも、慌てて駆け寄って男を運んで行く。その様子を見てナナは、あの男の正体を確信した。やはり、()()()なのだろう。ナナは駆けだした。


 「ナナ、どこに?」

 「ちょっと文句を言いにね。」


 さあ、何から問い詰めようか。腕まくりをしながら、ナナは彼が担ぎ込まれたであろう保健室に向かっていった。


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