01-4
そこにはすっかり変わり果てたミユがいた。
焦点の定まらない目。力の抜けきった手足はだらりと下がり、開けた口からは形容することができないほどみっともない液体が噴き出ていた。その姿は人間というより、ゾンビそのもの。
「ミユに何をしたの!?」
「そんな恥ずかしい事、僕が言えると思うのかい?」
少年はまともに答えてくれない。推測してみる。薬?魔法?呪いの類かもしれない。元に戻すにはどうしたらいいのか。頭が混乱して解決法が思い浮かばない。
ナナは頭を搔きむしる。
(バカバカバカ!そりゃ普段からショタとだったら奴隷になってもいい、って言ってたけどさ。本当に奴隷みたいになることないじゃない!)
ミユの生気の抜けた目。
「こいつ!許せない!」
「許せない?この状況で?何をするつもりだい?」
どうやって戦うべきか。今まで学習をおろそかにしていたことに、ナナは後悔した。さらに手にする獲物は貧弱で心もとない。
ナナは目測を図る。
(学園まであと少し、か。女の子っぽくなくて、この技はあまりやりたくはないんだけど。)
ナナは深呼吸をすると、声を張り上げ、力の限り叫んだ。鍛えられた腹筋から放たれる、緊急用の咆哮。
「おお、こわいこわい。仲間を呼んだのかな?これでは僕もうかうかしてられないね!」
美しかった少年は豹変し、牙を剥いた。だが、少年の攻撃は稚拙で、力任せに右、左と爪を振るばかり。
「なんだ、大したことないじゃない。」
しかし、ナナも武器がないお陰で攻め手を欠いていた。そんな膠着状態の中、ナナはたった一度の攻撃を受け流し損なって、枝が折れる。
(やばい!)
一瞬にして血の気が引くナナ。
「もらったよ!」
その好機を見逃さず、的確な一撃を見舞う少年。しかし、その攻撃は何者かに防がれることとなった。横からの不意打ちに、少年が吹き飛ぶ。
「ちっ、もう仲間が来たのか?」
ナナは安堵した。誰が助けに来たか知らないけれど、これで助かったのだ。
「増援早かった……わ……ね?」
その何者とは、例のおっさんだった。そして、そのおっさんに唇を奪われるのであった。




