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私の変態おじさん  作者: いちごぱんつ大佐
第一章(ここから書き直し↓)
21/85

01-2

「唾液を少々、譲ってはくれないだろうか?」

「は?」

 

 ナナの特上の笑顔が凍り付く。

 聞き間違えだろうか?唾をくれとか言われたような。

 

「いま、なんておっしゃいました?」

「もちろん、ただとは言わない。1万バルダは出そう。」

「……」


 こういうのを何と呼べばいいのだろうか?

 ナナの頭に浮かんだのは2文字。そう、『変態』である。


「ミユ、逃げるよ!」


 クマは背を向けると襲ってくるという。それが変態に通用するかどうかはわからないが、振り返らずに、ナナはとっさにミユの手を握ろうとした。


 が、いない。見れば、すでに逃亡しているではないか!さすがミユ、非常に判断が早い。と感心してる場合じゃない。


(薄情ものぉ!あんな奴、友達じゃないんだから!)


 スライムからジャイアントスパイダーまで、この辺に出るモンスターの対処法については学習したことはあるが、変態に対する戦闘方法、そんなものは一切習っていない。


「ギャー!変態!」


 ナナは声の限りに叫ぶと、無意識にミユとは反対方向に逃げだした。


 考えてみれば、暖かくなるこの季節、全身を覆うようなトレンチコートは明らかにおかしい。よく見れば、足元。大きな旅行鞄の陰で見えなかったが、ひょっとして何も履いてないのでは……?


 ナナは寒気がした。


「待ってくれ!私は変態というものではない!」


 そんなこと言われても、そんな姿で追いかけてくれば、説得力皆無である。早く、寮まで戻らないと――



                            ◇



 ナナが決断する前に、ミユは一人逃げ出していた。不慣れな私服であっても、魔術師だとしても、一通り冒険者として訓練を積んだ身である。凡人より体力は自負していた。途中、ナナの叫び声が聞こえる。


(ナナは変態といったけど、ア・レ・はそんな生易しいもんじゃない、もっと危険な……別のもの。一緒に逃げて、一緒につかまるよりか、どちらか犠牲になったほうがいい。それがナナか、私か――)


 不吉な思考が頭をよぎると、ミユは慌てて頭を振り払う。


(余計な情報は邪魔。これが最善の策、であることは確か。ナナちゃんを犠牲にするわけじゃない。どちらかが生き残る事が大切なのだから。)


 一心不乱に逃げた甲斐があって、学園の寮まであともう少し。あそこまで行けば助けが呼べるだろう。そんな安堵しかけた、ミユの背後から、幼子のような声がした。


「お姉さん、鬼ごっこしてるの?」

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