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ウィードとベル 2

 ベルの祖父、マイヤ伯は人口爆発を発端とする食糧問題に頭を悩ませていた。食料増産計画やら輸入やらあらゆる手を打ってみたものの、焼け石に水。国富計画は頓挫に追い込まれていた。


 今回の議題も議論は東の肥沃な大地に移る。


「東の大地は豊沃な土地が眠っております。やはりあの土地の開拓しかないのではないか。」

「しかし、あそこは餌が豊富なおかげで魔獣も多い。開拓には骨が折れるぞ。」


 皆、口々に勇ましいことをいうが、誰も率先して音頭を取ろうとはしない。

 決まらない結論。いや、結論はもう決まっているのだ。食料を得るには魔物を恐れず東に進軍するしかない。その覚悟が足りないのだ。


 マイヤも、東方の別荘所有者として手を出せずにいた。あれが戦地になれば、彼の持つ食料基地も失うリスクを負うことになる。そんなギャンブルに参加することなどできずにいた。これは他の議員も同じことだろう。


 誰に最終的な責任を押し付けるか。そのような小手先の駆け引きが議会を誤った方向へ導いていった。今回も、結論は出ないのだろう。いつまでも決まらない議事にマイヤは議場を後にする。


 彼が邸宅に戻ると、一人のメイドが恭しくお辞儀をして近づいてきた。


「旦那様。お帰りなさい。お戻りが早いですね。」

「ああ、ちょっとな。」

「手紙を預かっております。」


 メイドから手紙を受け取ると、封緘を開け一読した。ベルからの手紙であるようだ。思わず口元が緩みかけるが、文面を見て引き締まる。


「まったく余計なことを。」


 女、子供は知りもしない政治に口出すべきではない。それがマイヤーの自論であった。守られてる存在は、それがどんな苦労を引き起こすのかも知らないのだろう。


しかし。


 いや、待て。と考え直す。学校を建て、飯の食いはぐれた庶民を兵に訓練するのは悪くないアイディアだ。彼らが前線に立ち、血を流せば、誰も傷つかない。どうせ歴史に消えてゆく庶民である。

 

 まずは数日後だ。孫が帰ってくる。かわいい孫を歓待しよう。返事はその時に考えても遅くはないだろう。

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