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第25話 - 1 オーシア地上軍士官学校 ~セイ=クラーゼンの新天地

 エディンバラ公国に亡命したセイ=クラーゼンは、有力貴族の元に身を寄せていた。長男を亡くしたばかりのガブリエラ=バカラ男爵にとって、同年代のセイは引っ掛かる存在だった。冷静さを欠いていたのかもしれない。感傷的になっていたのかもしれない。このタイミングで出会ったセイに、神の導いた因縁のようなものを感じた。


 銀髪の少年は、少しの会話だけで豊かな知性の持ち主と知れた。物腰も優しく、礼儀正しい。このような少年が、どのような事情で亡命など? という問いには、概略だけが明かされた。オーシア内でとある貴族の子として生まれたが、爵位継承を巡って異母弟と対立。その母から命を狙われ、死んだ事にしてエディンバラに逃れたのだと言う。


 なるほど、よくある話だ。身元の安全のために名は明かせぬと言うが、それも現時点では妥当であろう。


 ガブリエラも、この少年に警戒しない訳ではない。オーシアから送り込まれた諜報員という線も、十分に有り得る話だ。だがその疑念は、不遇の身の上にある少年を救わぬ理由にはなるまい。ガブリエラは義侠をもって、この少年を迎え入れると決めた。


 名無しという訳にもいかないので、カブリエラは少年に呼ぶ名前を尋ねた。少年が決めかねている様子を見て、ユリエルを提案。少年は、快くその名を受け入れた。次に産まれる男子に付ける予定の名であったが、この年齢ではと諦めている。


「……これ程までに良くして頂き、感謝いたします。御恩はいずれ、何らかの形で必ずお返しいたします」


「ユリエル、子供が恩返しなど考えずとも良い。この国で立派に成長して、何かで人民に貢献しなさい」


「はい! ご期待に沿えるよう、尽力いたします!」


 セイ=クラーゼンは、新天地で新しい名前と基盤を手に入れた。

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