表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/167

第21話 - 5 攻城戦2 ~最終局面へと

 戦闘開始から31時間後、エディンバラ兵は、遂に地上に降り立った。階段付近に拠点を作り、次第にその輪を広げていく。


 オーシアは城壁の内側に縄梯子なわばしごをかけ、城壁上に兵を供給する。城壁上のエディンバラ兵に左右から挟撃をかければ、敵を攻城塔こうじょうとうと階段に分断できる。


 だがその動きを見せた時、複数個所でエディンバラ兵の城壁越えが開始された。その対応に追われたオーシア兵は、中央の挟撃にまで手を回せなくなった。


 城壁を取る争いは熾烈しれつであったものの、局地的な戦いであった為に被害は軽微。だが最前線に立ったアトラス隊の損傷は大きく、4人が戦死、2人が戦闘不能に陥った。ロメロ少将は、ほぼ無傷で健在である。今は前線から引き、攻城塔内で座して休憩を取っている。


「さてと、アトラス隊の諸君! 戦況は、大きくこちらに傾いている。内側から城門を取れば、このいくさしまいだ」


「ロメロ少将、もう勝ったも同然です!」


「ああ、勝ち戦だ。だが、ここで慎重に勝とうとするなよ? 追い込まれた相手に気迫負けして、無駄に命を落とすのは馬鹿馬鹿しい」


 エディンバラ軍に、実は言うほどの優位は約束されていない。事前の情報でオーシアは5000人規模に過ぎないが、それが正しい保証はない。また増援が到着するまで余裕のある計算だが、それも計算上の話だ。事前にエディンバラから情報が漏れていれば、当然、到着は早まる。もしくは既に待機し、大軍が控えている可能性もある。今、城壁を攻略しつつある状況も、何かの罠であるかもしれないのだ。


 いや、さすがに考え過ぎか……。と、ロメロは思い留まった。常識で考えれば、城壁の優位をあえて捨てる作戦など有り得ないし、モスリナ内に潜ませた間者かんじゃからの知らせもない。大きなまぎれはなく、順調に進行していると捉えるのが合理的だ。


「そろそろ、最後の大仕事と行こう!」ロメロは、立ち上がった。「今から、城門を奪いに行く! 楽をしている騎馬隊に、少しは働いてもらおう! 手柄を歩兵隊で独り占めしたと妬まれては、敵わないからな……」


 周囲の兵から、笑いがこぼれる。モスリナ攻城戦は、いよいよ最終局面を迎える。

♪ この作品を読んで、「面白い!」、「続きが気になる!」、と感じてくださった方は、下の「☆☆☆☆☆」から、応援をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ