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第21話 - 1 攻城戦2 ~ロメロ少将、立つ

 モスリナ攻城戦は、膠着状態に入った。城門は巨石に閉ざされ、断念。攻城塔こうじょうとうが掛けた跳ね橋の出口は、一進一退。防御に徹するオーシアは固く、突破の糸口が見つからない。攻城塔こうじょうとう以外の城壁から突破を試みるも、高所の利を崩せない。石や熱湯、煮えたぎった油などを落とされ、エディンバラ兵の士気までもが折られてしまう。


 跳ね橋の出口での小さな攻防に限定される形となり、エディンバラは数的優位を活かせずにいた。双方ともに、死傷者は極端に少ない。オーシアにとって敵兵を殺すことに意味はなく、ただ場の死守に専念する。援軍が来るまで、このまま膠着させておけば良い。戦況は、オーシアに優位と言えた。


 限定された攻防は、双方とも前線の兵士を何度か入れ替えるも、均衡は崩れない。夜を徹してなお、膠着状態は続いた。大きな動きを見せぬまま、二日目の朝を迎える。


 戦況は動かずの報に、ロメロ少将は立ち上がった。


「そろそろ、私が出ますよ」


 黙して、指揮官、ネウロ=フレイゲル大将は首肯した。ロメロは、エディンバラ屈指の武官である。他国からの政治亡命者という異例の経歴ながら、その自身の武勇とカリスマ性によって、現在の地位にある。エディンバラ軍にあって、戦場の現場を知る貴重な存在だ。


 ロメロは、自身の置かれる立場を熟知している。祖国では、政治犯として追われる身。上官の汚職のスケープゴートにされ、30代半ばにしてエディンバラ公国に逃げ延びた。その後の約5年間は、一兵士として国軍に所属。しかし2年前、現国家元首にその経歴を買われ、この少将の地位にある。戦場で価値を示す以外に、自分の道はない。


「第二歩兵部隊、アトラス隊、前へ!」


 隊長の呼び掛けに、11人の屈強な兵士が前に出る。ロメロ自ら鍛え上げた、第二歩兵部隊最強の精鋭である。


「今から、この戦況を動かしに行く。それぞれ散って、塔を上がれ!」


「はっ!」


 特に相談する訳でもなく、11人はバラバラに攻城塔こうじょうとうに走っていく。ロメロは何度か全身の筋肉を伸ばすと、中央の攻城塔こうじょうとうに入っていった。

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