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第20話 - 5 攻城戦 ~女神のキス

 行程の中ほどで、馬の疲労にも限界が来た。長めの休憩を入れなければ、これ以上、先に進むのは難しい。


 息を切らせる馬の頬を優しく撫で、メアリーは地上に降りた。次いで、トールも飛び降りる。


「ありがとう、メアリー! 助かったよ!」


 ポッと、メアリーは顔を赤らめた。長時間、二人きりでいた事で、いつも以上に意識してしまう。


「お母さん、無事だと良いね」


「多分、大丈夫だとは思う。戦争が起こったとしても、すぐに街まで侵攻されはしないだろうし……」


 トールの見解は、願望も入ってはいるが妥当なものだった。しかし急襲を受けて一気に城壁が突破されるかもしれないし、街中に潜んだ敵がゲリラ戦を仕掛けてくるかもしれない。妥当だからと絶対とは言えず、当然、不安はある。


「トール!」


 メアリーは、決意を持ってトールの名を呼んだ。その気迫に、トールは身構える。


「は、はい!?」


 固まるトールに、メアリーは吸い寄せられるように接近した。トールの左頬に、軽くメアリーの唇が触れて……離れる。


「え、あ、はい……、と、て、あの……」


 トールの頭は、完全にショートした。今、起こった現象に理解が追いつかない。え、恋愛的な……は思い上がり? それとも、僕の知らない文化? えっと、あの……メ、メアリーさん??


「……私の故郷にある、勝利と生還のおまじない!」


 そ、そうなんだ……。トールの胸に、ほんの少しのガッカリと一緒に、くすぐったい何かが躍る。確かに不思議なことに、今なら誰が相手でも勝てそうな気がする!


 クルっと、メアリーは背を向けてしまった。うつむいて、細い肩がふるえているのが見える。自分のために、そんなに無理して……と、トールに感謝の念が湧き上がる。……どんな危険が待ち受けているかは判らないが、必ず生き延びて、メアリーと再会しよう。そして今日の感謝を、もう一度、ちゃんと伝えよう!


「ほら、早く行って!」


 メアリーの声に押され、トールは走り出した。

予告: 第21話 攻城戦2


 一人の兵が、中央の攻城塔から城壁に降り立つ。一見して冴えない風体であるが、現場指揮官は「こいつはヤバい」と直感する。これが、ロメロ少将?


「殺せー!」


 現場指揮官の絶叫と同時に、盾兵が揃って前に出た。一斉に槍を突き出そうとした時、異変が起こる。




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